秋ないし初冬に,晴天が続き,日中は高温,夜間は冷えこむ特異な期間をいう。北アメリカ東部のニューイングランド地方で最もひんぱんに使用される語だが,現在では英語を話す各国で用いられ,日本の〈小春日和(こはるびより)〉にほぼ相当する。その使用の歴史は1778年にさかのぼるが,起源は不明である。この時期を利用して,アメリカ・インディアンが冬のために収穫物を貯蔵する作業を行う慣習をもっていたからというのが一説である。秋に入って,一度冷気が支配した後に戻る暑気が本来のインディアン・サマーである。しかし,気温は夏ほど高くはならない。この天候の成因は,この時期に高気圧が発達しやすい傾向をもつからとされる。毎年きまって出現するわけではないが,北アメリカでは10月ないし11月初旬,ヨーロッパでは9月下旬に起こる傾向がある。ドイツ語では〈老婦人の夏Altweibersommer〉,ロシア語では〈婦人の夏bab'e leto〉と呼ぶ。なお聖ルカ祭(10月18日)のころの秋晴れを〈聖ルカの夏St.Luke's summer〉,万聖節(11月1日)のころの秋晴れを〈万聖節の夏All Saints' summer〉,聖マルティヌス祭(11月11日)のころの秋晴れを〈聖マルティヌスの夏St.Martin's summer〉と呼ぶ。
執筆者:前島 郁雄
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北アメリカで、中秋から晩秋にかけて異常に温暖な日が続くことがあるが、この期間のことをいう。一般によく晴れた天気であるが、煙霧のかかったような状態で夜間はかなり冷え込むような天候である。インディアン・サマーになる前に顕著な霜が降りるような低温の日があると、インディアン・サマーはことさら目だって感じられる。日本の小春日和(こはるびより)に相当するが、ヨーロッパでは「老婦人の夏」old wives summerとか、「カワセミの日」halcyon daysという。イギリスでは聖者の名前をとって「聖マルチンの夏」St. Martin summerあるいは「聖リュークの夏」St. Luke summerとよばれることがある。
[根本順吉]
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…小春とは陰暦10月の別称で,新暦の11月から12月初めにあたる。同じような日和を英米ではインディアン・サマーIndian summer,中欧・北欧では老婦人の夏(たとえばドイツ語ではAltweibersommer)などと呼ぶ。 時雨(しぐれ)晩秋から初冬にかけて晴れたかと思うとまた曇り,曇ったかと思うとまた晴れるような空模様のとき,ときおり断続して降る雨をいう。…
※「インディアンサマー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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