エフレーモフ(英語表記)Ivan Antonovich Efremov

改訂新版 世界大百科事典 「エフレーモフ」の意味・わかりやすい解説

エフレーモフ
Ivan Antonovich Efremov
生没年:1907-72

ソ連邦のSF作家。元来は古生物学者で,ゴビ砂漠の探検隊長なども務めた。病気のために研究の第一線を退き,SF小説を書き始める。最初の作品集《五つのポイント》(1944)で彼は,自分の科学的仮説短編の形で表現しようとした。代表作は紀元3000年代の人類社会を描いた壮大なユートピア小説《アンドロメダ星雲》(1957)であり,これによって彼はソビエトSF界の第一人者となった。その他のおもな作品としては《星の船》(1947),《蛇座心臓》(1959),《かみそりの刃》(1963),《丑の刻》(1969)などがある。
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エフレーモフ
Oleg Nikolaevich Efremov
生没年:1927-2000

ロシア演出家俳優。1949年にモスクワ芸術座演劇学校卒業同校教鞭をとりながら俳優・演出家として働く。57年に若手俳優や弟子をひきいてソブレメンニク(現代人劇場)を創立し,演劇界の〈雪どけ〉派の第一人者として活躍。70年,若返りをはかるモスクワ芸術座の主任演出家に迎えられ,斬新な演出と演技で注目を集め,大胆に外部の演出家や俳優を招いて,同劇場を名実ともに刷新した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エフレーモフ」の意味・わかりやすい解説

エフレーモフ
Efremov, Oleg Nikolaevich

[生]1927.10.1. モスクワ
[没]2000.5.24. モスクワ
ロシアの演出家。モスクワ芸術座付属の演劇学校を卒業後,1957年「青年俳優研究劇場」を結成翌年「サブレメンニク (現代人劇場) 」と改称ローゾフの『とわに生きるもの』などを上演して,形骸化したスタニスラフスキーの理想をよみがえらせた。 71年モスクワ芸術座の首席演出家,87年芸術監督に就任,斬新な演出で注目を集めた。

エフレーモフ
Efremov

ロシア西部,トゥーラ州の都市。州都トゥーラの南南東約 120km,ドン川支流クラシーバヤメチャ川にのぞむ。 17世紀後半建設された要塞を中心に発展した町で,現在,合成ゴム,食品 (チーズ,野菜缶詰,食肉) などの工業がある。トゥーラとエレツを結ぶ鉄道が通る。人口約5万 5000。

エフレーモフ
Efremov, Ivan Antonovich

[生]1907.4.22.
[没]1972
ソ連の SF作家,古生物学者。科学者としてのすぐれた知識を文学作品に開花。『人間の世界』 Lezvie britvy (1963) などで広く知られる。

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百科事典マイペディア 「エフレーモフ」の意味・わかりやすい解説

エフレーモフ

ロシアの俳優・演出家。モスクワ生れ。モスクワ芸術座演劇学校卒業。改革派文化人で,同校で教鞭をとるかたわら俳優・演出家として活動した。1957年に弟子や若手俳優を率いてソブレメンニク(現代人劇場)を創立。1970年には若返りを図ろうとするモスクワ芸術座の主任演出家となる。チェーホフ作品などの斬新(ざんしん)な演出で知られた。

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世界大百科事典(旧版)内のエフレーモフの言及

【ラーダ】より

…戦前から存在したウクライナ知識人の組織〈ウクライナ進歩主義者協会〉を基礎に成立したこの中央ラーダは,事実上のウクライナ自治政府の役割を果たした。議長には歴史家フルシェフスキー,副議長には作家のビンニチェンコV.K.Vinnichenkoと文学史家のエフレーモフがなった。中央ラーダはウクライナ自治を各分野で実現していったが,その過程でロシアの臨時政府と厳しく対立した。…

【SF】より

… ソビエト連邦では革命の前後にユートピア小説の名作ザミャーチンの《われら》(1924)やロケットの生みの親の一人といわれるチオルコフスキーの《月世界到着》(1920)など,さまざまなSFが書かれたが,《われら》は国内での刊行は認められず,ようやくイギリスで刊行されたものであり,ソ連では社会や科学技術の進歩に貢献する作品が歓迎された。そうした社会主義リアリズムSFともいうべきソ連SFの代表的な作家がI.A.エフレーモフで,結果的には彼の作品は黄金時代と呼ばれたころのアメリカSFと共通する面が多い。また大衆小説作家としてのベリャーエフの人気にはアメリカでのスペース・オペラの人気に共通するものがあり,ソ連時代のSFを代表するストルガツキー兄弟,ゴルG.S.Gor,ワルシャフスキーI.I.Varshavskiiといった作家たちの作品にはエフレーモフ的なものに対する批判の姿勢もうかがうことができるし,人間の内面性を扱うことで結果的に自由の問題をとり上げているものも多い。…

※「エフレーモフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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