トゥーラ(読み)とぅーら(英語表記)Tula

デジタル大辞泉 「トゥーラ」の意味・読み・例文・類語

トゥーラ(Tula)

メキシコ中部、イダルゴ州にある遺跡。首都メキシコシティーの北約70キロメートルに位置する。10~12世紀にメキシコ中央高原で栄えたトルテカ文化の代表的な遺跡。ピラミッドの基壇上に戦士の石柱が残っている。

トゥーラ(Tula/Тула)

ツーラ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゥーラ」の意味・わかりやすい解説

トゥーラ(メキシコ)
とぅーら
Tula

メキシコ中部のイダルゴ州にある、トルテカ文化の中心地とされる遺跡。主要部は約300メートル×600メートルの広さをもつ。約100メートル四方の大広場の東に、ピラミッド形の基壇C、北に戦士の石柱の立つ基壇B、さらにその西に多くの列柱をもつ「宮殿」が位置する。基壇Bの北には浮彫り漆食(しっくい)の壁コアテパントリがあり、そのさらに北に小広場を隔てて長さ60メートルのI字形球戯場がある。大広場の西と南、南西にも球戯場その他の基壇群がある。基壇Bの石柱に彫られた戦士は槍(やり)、投槍(とうそう)器、盾をもち、蝶(ちょう)形の胸飾りその他で身を飾っている。宮殿と基壇Cからは、仰臥(ぎょうが)して上半身を起こし、腹に鉢をのせた人物のチャクモルとよぶ石彫が発見されている。

[大貫良夫]



トゥーラ(ロシア連邦)
とぅーら
Тула/Tula

ロシア連邦西部、トゥーラ州の州都。モスクワの南、オカ川支流ウパ川の河岸にある。人口51万3100(1999)。16世紀末以来、ロシアの古い製鉄中心地で、1713年ピョートル大帝により兵器工場が当地に建設された。現在はロシアの工業都市の一つで、鉄鋼、機械(コンバイン、繊維機械、道路工事用機械、ラジオ、スクーター、武器)、軽工業、食品工業が発展している。また、サモワール(ロシア特有の湯沸かし器)、猟銃、バヤン(ロシアの弦楽器)の生産には伝統がある。市は12世紀より知られ、16世紀はタタール人の侵入に対してモスクワを守る防御地点として重要であった。市内に16世紀建造のクレムリン(城塞(じょうさい))、18世紀建立のウスペンスキー寺院が保存されている。市の主要な教育・文化施設は、工科、医科、教育の各大学や兵器博物館。郊外のヤースナヤ・ポリャーナはトルストイの生地で博物館がある。鉄道分岐点で、モスクワとシンフェロポリを結ぶ幹線鉄道、道路が市を経由している。

[中村泰三]

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改訂新版 世界大百科事典 「トゥーラ」の意味・わかりやすい解説

トゥーラ
Tula

メキシコ中部,イダルゴ州にあるトルテカ文化の遺跡。正式の名はトゥーラ・ヒココティトラン。トゥーラは本来〈都市〉を意味する語であった。テオティワカン没落後の主勢力ショチカルコテオテナンゴの影響下に町がつくられ,次にユカタン・マヤ様式の建築が建設されるが,伝承によれば完成しなかったという。11世紀半ばチチメカ族によって破壊され,以後,文明地帯の入口として移動民の目標となる。後古典期の指標とされるが疑問が多い。
執筆者:


トゥーラ
Tula

ロシア連邦南西部,同名州の州都。人口46万6000(2002)。モスクワの南193km,炭田地帯の中心にあり,交通・運輸の要衝。冶金,兵器製造,農機器製造,織物,染色,製粉,製糖が盛んである。12世紀の中葉に建設され,16世紀以降モスクワの南の要塞となった。18世紀初頭に製鉄所,続いて兵器工場ができて発展。L.N.トルストイの墓のあるヤースナヤ・ポリャーナはトゥーラの南14kmにある。
執筆者:


トゥーラ
Cosmè(Cosimo) Tura
生没年:1430ころ-95

イタリアの画家。フェラーラ生れ。パドバとベネチア滞在後郷里に戻り,フェラーラ派の創始者となる。A.マンテーニャやドナテロからの影響を初めとして,中部イタリアに交錯するさまざまな画派の影響を受けて作風を確立。その針金のように鋭い描線を強調した硬質な形態感覚は,後のF.delコッサ,ロベルティErcole de'Roberti(1450ころ-96)らフェラーラ派の様式的特質を方向づけた。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トゥーラ」の意味・わかりやすい解説

トゥーラ
Tula

ロシア西部,トゥーラ州の州都。モスクワの南約 170kmにあり,オカ川支流ウパ川にのぞむ。 1146年の記録に現れる古都で,モスクワの隆盛とともに重要性を増し,16世紀にはタタール人の侵攻に対するモスクワ南方の防衛拠点となった。 1530年建造の石造の要塞が保存されている。 17世紀にはロシアの主要な鉄冶金都市となり,1712年ピョートル1世によりロシア最初の兵器工場が建設された。現在,鉄鋼,コンバイン,道路建設用機械,繊維機械,ラジオ,ゴム製品,猟銃などの工業があり,サモワールの製造で知られる。ポドモスクワ炭田の採炭中心地の一つで,褐炭の採掘が行われ,化学工業用に利用される。医学,鉱業,教育の各大学,兵器史博物館などがあり,郊外にはトルストイの生地ヤースナヤポリャーナがあって,その生家は現在記念博物館となっている。鉄道分岐点で,モスクワとウクライナのシンフェローポリを結ぶハイウェーが通る。人口 50万1129(2010)。

トゥーラ
Tura, Cosmè

[生]1430頃. フェララ
[没]1495. フェララ
イタリアの画家。フェララ派の代表的画家。Cosmèは Cosimoとも書く。アンドレア・マンテーニャピエロ・デラ・フランチェスカの作品に影響を受けたと推定されている。フェララのエステ公ボルソ,エルコレ1世の宮廷画家として寓意的で装飾的な絵画を得意とした。サン・ドメニコのサクラーティ礼拝堂の装飾(1467~68)や『エルコレ1世とルクレツィア・デステの肖像』は失われたが『ロベレラの祭壇画』(1472頃,ロンドン,ナショナル・ギャラリー,パリ,ルーブル美術館などに分散),『聖ゲオルギウスと竜』(1469,フェララ大聖堂美術館)などが現存する。

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百科事典マイペディア 「トゥーラ」の意味・わかりやすい解説

トゥーラ

ロシア,ロシア平原中央部の都市で,同名州の州都。モスクワの南約193kmにあり,ウパ川に面する。製鉄,各種機械,化学,織物,食料品などの工業が行われる。12世紀中葉に建設された古都で,17世紀以後銃器製造で知られ,1712年ロシア最初の造兵廠が建設された。18世紀末サモワールの製造がここではじまった。付近のヤースナヤ・ポリャーナはL.トルストイの生地。49万4017人(2009)。

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世界大百科事典(旧版)内のトゥーラの言及

【スクアルチオーネ】より

…画家としての経歴は不詳で,彼の作とされる2点の凡庸な作品が残るのみである。彼は,養子にしたA.マンテーニャ,C.トゥーラ,スキアボーネSchiavone(1434ころ‐1504),ゾッポMaro Zoppo(1433‐78)ら,いわゆるパドバ派の画家たちの師であった。しかし,彼らとの雇用関係をめぐる係争の記録が残されており,その師弟関係の実態は必ずしも明らかでない。…

【フェラーラ】より

…【萩原 愛一】
[美術]
 ロンバルディア様式の大聖堂は1135年に起工され,13世紀末に大部分が完成した。大聖堂付属美術館には,幻想的・怪奇的表現に傾くC.トゥーラのオルガン扉絵《受胎告知》(1469)がある。彼は〈フェラーラ派〉の開祖とされ,続くF.delコッサはボルソの注文でスキファノイア宮殿〈月暦の間〉に特異な図像で知られるフレスコ(1470ころ)を描いた。…

※「トゥーラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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