ローゾフ(その他表記)Viktor Sergeevich Rozov

改訂新版 世界大百科事典 「ローゾフ」の意味・わかりやすい解説

ローゾフ
Viktor Sergeevich Rozov
生没年:1913-

ロシア劇作家。1938年,革命劇場付属演劇学校卒業後,俳優,演出家となる。第2次世界大戦後,文学大学(モスクワ)で学び,劇作の道に入る。処女作《彼女の友だち》(1949初演)以来青少年主人公としてその倫理道徳面の純潔さをうたう戯曲《グッド・ラック》(1954初演),《とわに生きる者》(1957初演),《結婚式の日》(1964初演)その他を書いたが,最近は第2次世界大戦を知る世代と若者たちの心の断絶や,ソビエト社会のもろもろ悪徳を鋭い筆致で非難する作品が多い。《四つの滴》(1974),《山鳥の巣》(1979)などがそれである。人気作家で作品も多い。日本でも《不つりあいな闘い》《グッド・ラック》などが上演されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローゾフ」の意味・わかりやすい解説

ローゾフ
ろーぞふ
Виктор Сергеевич Розов/Viktor Sergeevich Rozov
(1913―2004)

ロシアの劇作家。1941年、戦線重傷を負い、以後劇作を志す。1943年に書かれ、1956年にようやくソブレメンニク劇場で成功裡(り)に初演された戯曲『永遠(とわ)に生きるもの』は、ミハイル・カラトーゾフMikhail Kalatozov(1903―1973)監督によってシナリオ化され、その映画『戦争と貞操』(原題『鶴(つる)は翔(と)んでゆく』1957)は1958年にカンヌ映画祭でグランプリをとった。最初の戯曲『彼女の友だち』(1949)、その後の『ごきげんよう!』(1954)、『夕食の前に』(1961)、『不均衡な戦い』(1960、邦訳初恋』)、『婚礼の日に』(1963)、『同窓会』(1967)、『弟アリョーシャ』(1971)などで人気劇作家の地歩を占めた。その作劇の特徴は、平凡な市民生活の葛藤(かっとう)を通じて、人生の岐路ともいうべき青春期を描き出す点にある。

[中本信幸 2016年1月19日]

『泉三太郎訳『初恋』(1963・未来社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ローゾフ」の意味・わかりやすい解説

ローゾフ
Rozov, Viktor Sergeevich

[生]1913.8.21. ヤロスラブリ
ロシアの劇作家。代表作は映画『鶴は飛んでいる』の原作になった『とわに生きるもの』 Vechno zhivye (1957) ,青春を描いた『不均衡な戦い』 Neravnyi boi (60) 。

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世界大百科事典(旧版)内のローゾフの言及

【ロシア・ソビエト演劇】より

…近年は劇場ロビーなどを使う若手演出家の実験的仕事もにぎわいを見せている。劇作家もベテランのミハルコーフSergei Vladimirovich Mikhalkov(1913‐ ),アルブーゾフ,ローゾフViktor Sergeevich Rozov(1913‐ ),サリーンスキーA.D.Salynskii(1920‐ )らと並んで,中堅のローシチンM.M.Roshchin(1933‐ ),シャトローフMikhail Filippovich Shatrov(1932‐ ),ラジーンスキーEdvard Stanislavovich Radzinskii(1936‐ )ら興味深い作風の若手が大活躍している。このところ劇作で目だつのは,職場や私生活における現代人のモラルを問題提起した戯曲が多いことで,老人問題もその一例である。…

【ロシア・ソビエト演劇】より

…近年は劇場ロビーなどを使う若手演出家の実験的仕事もにぎわいを見せている。劇作家もベテランのミハルコーフSergei Vladimirovich Mikhalkov(1913‐ ),アルブーゾフ,ローゾフViktor Sergeevich Rozov(1913‐ ),サリーンスキーA.D.Salynskii(1920‐ )らと並んで,中堅のローシチンM.M.Roshchin(1933‐ ),シャトローフMikhail Filippovich Shatrov(1932‐ ),ラジーンスキーEdvard Stanislavovich Radzinskii(1936‐ )ら興味深い作風の若手が大活躍している。このところ劇作で目だつのは,職場や私生活における現代人のモラルを問題提起した戯曲が多いことで,老人問題もその一例である。…

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