日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローゾフ」の意味・わかりやすい解説
ローゾフ
ろーぞふ
Виктор Сергеевич Розов/Viktor Sergeevich Rozov
(1913―2004)
ロシアの劇作家。1941年、戦線で重傷を負い、以後劇作を志す。1943年に書かれ、1956年にようやくソブレメンニク劇場で成功裡(り)に初演された戯曲『永遠(とわ)に生きるもの』は、ミハイル・カラトーゾフMikhail Kalatozov(1903―1973)監督によってシナリオ化され、その映画『戦争と貞操』(原題『鶴(つる)は翔(と)んでゆく』1957)は1958年にカンヌ映画祭でグランプリをとった。最初の戯曲『彼女の友だち』(1949)、その後の『ごきげんよう!』(1954)、『夕食の前に』(1961)、『不均衡な戦い』(1960、邦訳『初恋』)、『婚礼の日に』(1963)、『同窓会』(1967)、『弟アリョーシャ』(1971)などで人気劇作家の地歩を占めた。その作劇の特徴は、平凡な市民生活の葛藤(かっとう)を通じて、人生の岐路ともいうべき青春期を描き出す点にある。
[中本信幸 2016年1月19日]
『泉三太郎訳『初恋』(1963・未来社)』