消費支出に占める食費の割合のこと。ドイツの統計学者エンゲルが19世紀に発表した論文で、所得水準が高くなるほど食費のウエートが小さくなるという法則を示した。この法則は「エンゲルの法則」と呼ばれる。日本では総務省の家計調査を基に算出し、暮らしの豊かさを把握する指標として使われてきた。食文化や食品の価格体系の違いから各国で差があり、米国や英国は日本に比べて低い。
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…すなわち,〈世帯所得が高くなればなるほど,総消費支出に占める食費の支出割合が低下する〉という経験法則である。エンゲルはさらに,95年《ベルギー労働者家族の生活費》を出版したが,その中で,総支出に占める食費の割合,いわゆる〈エンゲル係数〉を求めて,それを5分位所得階級別に比較した。その結果は第1階級71.4%から第5階級64.9%まできれいにエンゲル係数は低下し,ここでもエンゲル法則が成立することが確かめられた。…
…前者はマーケット・バスケット方式とも呼ばれているが,標準的世帯が一定の標準的生活水準を維持していくのに必要な飲食費,衣料費,住居費およびその他の生活必要費用を算出し,これをもとにして生計費を算定する方式である。後者はエンゲル方式ともいわれ,基本的にはさきの飲食費をエンゲル係数(勤労世帯の家計支出のうちで飲食費の占める比率を百分比で表したもの)で除して生計費を求める方式である。 理論生計費は公的扶助における最低生活費や労働組合の賃金要求の基準の作成などに利用されているが,算定上,たとえばマーケット・バスケット方式については社会生活の内容の多様化に対応していくことの困難さ,エンゲル方式については飲食費だけを基準とすることによる偏向などの注意すべき問題が多々ある。…
※「エンゲル係数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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