オットーサイクル

化学辞典 第2版 「オットーサイクル」の解説

オットーサイクル
オットーサイクル
Otto cycle

内燃機関の基準サイクルであり,二つの等容変化と二つの等エントロピー変化からなる.シリンダー内に吸引された燃料空気の混合気体は,断熱的に(等エントロピー)圧縮され,点火による燃焼 Q1 により圧力が上昇(等容圧縮)し,ピストンの移動により断熱的に(等エントロピー)膨張し,排気弁からの排気 Q2(等容放熱)によりもとの状態に戻る.オットーサイクルの理論的効率ηは,以下の式で与えられる.

ここで,γは内燃機関の圧縮比であり,κは断熱指数(定圧熱容量と定容熱容量の比)である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

法則の辞典 「オットーサイクル」の解説

オットーサイクル【Otto cycle】

通常ガソリンエンジン動作の最も理想化したモデル.図のように六つステップからなる.1:燃料および空気の注入,2:断熱圧縮,3:等積燃焼,4:断熱膨張,5:等積冷却,6:廃ガス放出である.

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百科事典マイペディア 「オットーサイクル」の意味・わかりやすい解説

オットー・サイクル

定容サイクルとも。1876年N.A.オットーが確立した内燃機関の熱力学上のサイクル。吸入,圧縮,膨張,排気の4行程からなり,一定容積加熱と冷却が行われる。現在のガソリンエンジンの基礎サイクルである。

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世界大百科事典(旧版)内のオットーサイクルの言及

【オットー】より

…72年G.ダイムラーとW.マイバハを迎えドイツ・ガス原動機製作会社を設立,この機関の改良を続けたが,好成績を得るにいたらず,結局放棄する。代りに,ボー・ド・ロシャAlphonse Beau de Rochas(1815‐93)の4サイクル機関の理論(1862特許)によって,内燃機関の開発に向かい,76年,現在,オットー・サイクルとして知られる4サイクル方式の内燃機関を製作,翌年には特許を得た。この機関は,爆音の激しかったルノアール機関に比べてはるかに静かであったところから,〈無音オットー〉と呼ばれ,78年のパリ万国博覧会でも評判を集めた。…

【内燃機関】より

…理想化された内燃機関が行う熱力学上のサイクルは,加熱(燃焼)様式により3通りある。図1-aの定容サイクル(定容燃焼サイクル)は一定の容積で加熱と冷却が行われ,圧縮と膨張が断熱的に行われるもので,オットーサイクルとも呼ばれ,火花点火機関の基礎となるサイクルである。図1-bの定圧サイクル(定圧燃焼サイクル)は一定圧力の下で加熱が,また一定容積の下で冷却が行われ,圧縮と膨張が断熱的に行われるもので,ディーゼルサイクルとも呼ばれ,初期のディーゼルエンジンの基礎サイクルともいえるものである。…

※「オットーサイクル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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