改訂新版 世界大百科事典 「オニク」の意味・わかりやすい解説
オニク
Boschniakia rossica (Cham.et Schltdl.) Fedtsch.
ミヤマハンノキの根につくハマウツボ科の寄生植物。茎は多肉質の太い円柱形の暗紫色で,円柱形の花穂に多数の花をつける。茎は直立して高さ15~30cm,密に黄色の狭三角形の鱗片葉で包まれる。夏,全長の1/2ほどの長さの花穂に,多数の暗紫色の花をつける。黄色の苞葉のわきに1花ずつつき,萼は杯状で不ぞろいに5裂する。花冠は筒部がつぼ状にふくらんだ唇形。おしべは4本で,花柱と共に花冠の外へ伸びる。蒴果(さくか)は卵形,多数の小さな種子がある。東アジア北東部,北アメリカに分布し,日本では本州中部以北,北海道の高山にみられる。和名は“御肉(おにく)”で,中国で強壮薬とされるホンオニク(肉蓯蓉(にくしゆよう))Cistanche salsa Benth.et Hook.に誤って当てられ,珍重される。木曾御嶽山や富士山で採集され,全草を乾かしたものを強壮薬として用いる。一名キムラタケといい,これは金精茸(きんまらたけ)の意味である。
執筆者:山崎 敬
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報