オプション取引(読み)オプショントリヒキ(英語表記)option trading

デジタル大辞泉 「オプション取引」の意味・読み・例文・類語

オプション‐とりひき【オプション取引】

通貨・債券株式などについて、一定の期間内または一定の期日に、あらかじめ定めた価格で買う権利あるいは売る権利を売買する取引。選択権売買。→コールオプションプットオプション

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共同通信ニュース用語解説 「オプション取引」の解説

オプション取引

株式や債券といった金融商品自体ではなく、あらかじめ定められた期日に定められた価格で金融商品を売ったり買ったりする権利を取引するデリバティブ(金融派生商品)の一種。権利の買い手は売り手に「プレミアム」と呼ばれるオプション料を支払う。少ない資金から取引できるため、現物への投資に比べて高い利益を生む可能性がある一方で、損失が拡大するリスクもある。(共同)

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精選版 日本国語大辞典 「オプション取引」の意味・読み・例文・類語

オプション‐とりひき【オプション取引】

  1. 〘 名詞 〙 ( オプションは[英語] option ) 買付選択権の保有者が、一定期間内にいつでも契約時の価格で売買ができる取引。オプション。〔外来語辞典(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「オプション取引」の意味・わかりやすい解説

オプション取引 (オプションとりひき)
option trading

有価証券そのものを売買する取引ではなく,有価証券を将来の特定の期日にあらかじめ定められた価格で買付けまたは売付けすることが可能な権利を売買する取引。欧米ではすでに制度化されている。〈オプション〉は自由な選択を意味する言葉であるが,ここにいう〈オプション〉は買付けまたは売付けすることのできる選択権付証書のこと。もともと16世紀のオランダでチューリップ球根の売買においてオプション取引が始まった。球根栽培業者は将来の球根収穫時に一定の値段で一定量の球根を引き渡す旨を記したオプションを売り出し,球根取引業者はそのオプションを買うことにより将来の価格ヘッジを行った。有価証券売買についてのオプション取引は1690年代にロンドンで始まった。もっとも,これらの時代におけるオプション取引は,オプション自体に信用の裏付けがない,オプションは相対取引で市場性がない,など制度的に不備なものであり,事故も多かった。

 制度的に整備された現在のオプション取引は,1973年4月アメリカのシカゴでオプション取引所創設をもって始まった。同取引所はオプションに信用性を付与し,オプションの規格を統一し,大量の需給を集中させ,公正なオプション価格の形成可能な流通市場を整備した。同取引所のオプション売買高は創設後5年にして3倍になり,ニューヨーク取引所株式出来高の1/3にまでなった。シカゴ取引所での成功がきっかけとなり,その後,アメリカで3ヵ所,ヨーロッパではロンドン,フランクフルトアムステルダムなどでオプション取引所が設立された。

 オプションにはコール・オプションプット・オプションの2種類がある。コール・オプションとは将来の特定日に一定数量の有価証券を一定価格で買い付けることができる選択権であり,プット・オプションは売り付けることができる選択権である。たとえば,時価30ドルのA株式を3ヵ月後に35ドルで買い付ける選択権を付したコール・オプション,6ヵ月後に25ドルで売り付ける選択権を付したプット・オプションなどがある。前者の場合,もし大半の投資家が3ヵ月後にA株式価格が40ドルになっていると考えるなら,このコール・オプションは5ドルの価格をもつことになる。株式相場の強調が続きA株式価格が50ドルをつける勢いになれば,このコール・オプションは15ドルの価格をもつことになろう。シカゴの例でいえば,1オプションが100株で構成されるため,当初500ドルの投資額が1500ドルに増価していることになる。もしA株式が不振でオプション行使の期限時点で35ドルを下まわっている場合,投資家は買付けを放棄する権利を有しており,その場合損失は当初投資額の500ドルにとどまる。このようにオプション投資は少額で大きな利益を得ることが可能で,しかも損失も限定されるところから個人投資家に大きな人気をもっている。日本でも89年から株価指数のオプション取引が導入された。
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百科事典マイペディア 「オプション取引」の意味・わかりやすい解説

オプション取引【オプションとりひき】

〈特定の期日・期間に特定の資産をあらかじめ定められた価格で売買する権利〉を売買する取引。選択権付き取引ともいう。売る権利をプット・オプション,買う権利をコール・オプションといい,この権利の売買価格をオプション・プレミアムという。商品,株式,債券,通貨などで普及し,プレミアムのリスクを負うだけで場合によっては大きな利益を得ることができる。通貨の場合は通貨オプションといい為替リスクのヘッジとして広く利用され,さらに投機の対象として利用される。株式のオプション取引は1973年米国のシカゴ取引所が最初,日本でも1988年5月の証券取引法改正で株式への導入が認められ,〈日経225〉〈日経300〉〈TOPIX〉等のオプションがある。
→関連項目商品取引所デリバティブ東京証券取引所[株]

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知恵蔵 「オプション取引」の解説

オプション取引

株式・債券・通貨等特定の商品を、将来の一定時点(または一定期間中)にあらかじめ決められた価格で買う権利または売る権利を売買する取引。買う権利をコール・オプション、売る権利をプット・オプションと呼ぶ。オプションの買い手は、売り手に対してオプション料(プレミアム)を支払う。買い手は権利行使により、権利行使価格で商品を入手し(引き渡し)、オプションを行使された側はそれを履行する義務を負う。オプションの満期日にのみ権利行使が認められるオプションを「ヨーロピアン・タイプ」、満期日前であれば常に権利行使が可能なオプションを「アメリカン・タイプ」という。満期日までに権利行使及び反対売買のいずれも行わなかった場合、権利は消滅する。オプションの買い手は、オプション料さえ支払えば無限に利益を得る機会がある一方で、それ以上の損失を被ることはない。逆に売り手は、オプション料を受け取る代わりに無限のリスクを負う。(1)価格変動に伴うリスクを限定しつつ、利益を得るチャンスも残せる、(2)コール、プット及び原証券の組み合わせで様々な投資戦略が可能となる等の利点がある。

(吉川満 (株)大和総研常務理事 / 2007年)

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「オプション取引」の解説

オプション取引

将来的な価格変動を見込んで、あらかじめ決めておいた特定の価格で通貨や金利を売買する取引形態。買い手側は「権利行使」「転売」「放棄」という3つの選択肢(オプション)を持つことから、こう呼ばれる。例えば、買い手側が2ヵ月後に1ドル110円でドルを買う権利を取得したとする。実際には2ヵ月後の円相場が1ドル120円になっていても、買い手側は当初の取り決め通り、1ドル110円でドルを買える。一方、円相場が1ドル100円に落ち込んでいた場合は権利を放棄できる。その場合、損失はオプション取得時の投資金額だけで済み、リスクを最小限に抑えられるというメリットがある。

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FX用語集 「オプション取引」の解説

オプション取引

オプションとは、ある一定の商品を一定の取引期間内に一定の価格で売買する権利のことを指し、その権利には『コール・オプション(買う権利)』と『プット・オプション(売る権利)』があります。それぞれの権利に対して売買が行なわれ、これをオプション取引と言います。ある商品の価格が上昇すると予測すれば『コール・オプション』の買い、 もしくは『プット・オプション』の売りとなり、逆に価格が下落すると予測すれば 『コール・オプション』の売り、もしくは『プット・オプション』の買いを行ないます。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オプション取引」の意味・わかりやすい解説

オプション取引
オプションとりひき
option

ある特定の金融商品を,一定期間内にあらかじめ定めた価格で買う権利 (コール・オプション) または売る権利 (プット・オプション) を取引すること。これを債券,株式,通貨などに対して現物取引と先物取引に適用することにより,相場変動のリスク・ヘッジ (かけつなぎによるリスクの軽減や防止) が可能となる。いずれの場合も,権利の買い手は売り手に対して,リスク回避のための代価 (オプション・プレミアム) を支払うことになっているため,投資,投機の手段となりうる。

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投資信託の用語集 「オプション取引」の解説

オプション取引


一定期間中に、株式や債券、為替、農産物などを、ある一定の金額で買う(又は売る)権利を取引すること。買う権利を取引する「コール」と、売る権利を取引売る「プット」があり、少ない資金で大きな取引ができる。

出典 (社)投資信託協会投資信託の用語集について 情報

会計用語キーワード辞典 「オプション取引」の解説

オプション取引

ある商品を将来の一定の期日にあるいは一定期間内に特定の価格で買う、または売ることができる権利の売買をする取引のことをオプション取引といいます。

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