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オルフィスム Orphisme

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

オルフィスム
Orphisme

詩人アポリネールの造語。 1911年または 12年ベルリンで R.ドローネーの展覧会が開催された際行われた彼の講演のなかで最初に用いられた。アポリネールはピカソやブラックの初期のキュビスムから構築的性格を継承しつつ,その色彩の限定的使用法と静的画面構成に代えて,印象派の純粋色がつくるダイナミズムと未来派の運動表現を導入し,しかも外界の客観的な再現から自由であるドローネー,F.クプカピカビアらの当時の絵画の新しい動きに対して,ギリシア神話中の音楽の名手オルフェウスの名を冠し,彼らの探究を詩と音楽の営みになぞらえた。この傾向は抽象絵画に先鞭をつけることになった。

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百科事典マイペディアの解説

オルフィスム

本来はオルフェウス教の思想をさすが,美術史ではドローネーを中心に,キュビスムから派生したグループを呼び,アポリネールによってオルフェウスにちなんで命名された。キュビスムがフォルムの追求のために色彩を犠牲にしたのに対して,色彩自体をフォルムとして追求し,色彩の同時的な展開によるリズミカルな画面構成を試みた。
→関連項目ピカビアブラウエ・ライター

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

オルフィスム
おるふぃすむ
orphismeフランス語

1912年ごろからロベール・ドローネーを中心にして始められた一画風をいう。詩人アポリネールが、ギリシア神話の音楽神オルフェウスにちなんで命名した。ドローネーは自らキュビスムを取り入れながらも、その形体重視による色彩の排除という点に反発し、明るく豊潤な色彩を導入することを主張した。印象派や新印象派の明るい色彩を取り戻そうと、シュブルールの色彩論を学び、色彩の対照法を理論的に修得した彼は、イタリア未来派の影響も相まって、色彩と形体の組合せにダイナミックな運動感を導き入れ、画面に音楽的なリズムと旋律をもたらした。色彩の音楽的、詩的イメージを具体的対象から離れて純粋に追求したオルフィスムの絵画は、カンディンスキー、モンドリアンと並んで抽象絵画の出発点ともなった。ドローネーのほかにはフェルナン・レジェ、フランシス・ピカビア、デュシャン、デュシャン・ビヨンらの名があげられる。[千葉成夫]

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世界大百科事典内のオルフィスムの言及

【抽象芸術】より

… こうして世紀末から世紀の変り目にかけて準備されていた下地の上に,抽象芸術は第1次大戦前後の時期にさまざまなかたちで現れてくる。すなわち,まず,当時ミュンヘンにいたカンディンスキーの1910年ころからの試み,キュビスムにおける描写対象の分解・分析・総合,キュビスムから枝分かれしたR.ドローネー,ピカビア,クプカF.KupkaらによるオルフィスムOrphismeの音楽的詩的抽象,マレービチの純粋幾何学的抽象の試みであるシュプレマティズムといった動きが抽象芸術を形づくる。次いで,オランダで新造形主義をかかげたモンドリアン,彼を支持したファン・ドゥースブルフらの絵画,彫刻,デザイン,建築等の各分野にわたる運動であるデ・ステイル(1917年より同名の雑誌を刊行),革命後,やはり各分野にわたる広がりをみせたロシアの構成主義(タトリン,リシツキー,ガボ,ペブスナー,ロドチェンコら)などによって抽象芸術は急速に広まり,両大戦間にはシュルレアリスムと並ぶ一大動向を形成し,1930年代には早くもマンネリ化,アカデミズム化の現象すらみせている。…

【ドローネー】より

…フランスの画家。オルフィスムOrphismeの創始者。パリに生まれ,絵画はほとんど独学。…

※「オルフィスム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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