オールスパイス(読み)おーるすぱいす(その他表記)allspice

翻訳|allspice

デジタル大辞泉 「オールスパイス」の意味・読み・例文・類語

オールスパイス(allspice)

フトモモ科の常緑高木。また、その果実ジャマイカ原産で、果実は古くから香辛料として利用され、ナツメグクローブシナモンを合わせたような香味がある。ピメント

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精選版 日本国語大辞典 「オールスパイス」の意味・読み・例文・類語

オールスパイス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] allspice ) フトモモ科の常緑高木。ジャマイカ原産。未熟時に採取し天日で乾燥した果実はチョウジ、ニッケイ、ニクズクの味を合わせもった香味があり、香辛料とされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オールスパイス」の意味・わかりやすい解説

オールスパイス
おーるすぱいす
allspice
[学] Pimenta dioica (L.) Merr.
Pimenta officinalis Lindl.

フトモモ科(APG分類:フトモモ科)の常緑高木。高さ6~9メートル、葉はゲッケイジュに似る。夏季、小枝の先に小さな白い花を多数つける。果実は直径約1センチメートルで、小さい種子が1、2個入っている。ジャマイカ原産で、メキシコからブラジルに至る一帯で古くからスパイスとして利用された。

[星川清親 2020年8月20日]

 実を乾燥させたものを香辛料として使う。別名を百味胡椒(ひゃくみこしょう)、三香子(さんこうし)ともよび、ナツメグ、クローブ、シナモンの三つの香りをもっており、オールスパイスの名もこれにちなむ。ペパー(胡椒)のような辛味はないが、さわやかな芳香と甘味とほろ苦味(にがみ)を兼ね備えているので、一人三役の働きをする香辛料として有用である。

 オールスパイスは、コロンブスのアメリカ大陸発見までは西欧諸国に知られていなかったが、マヤ帝国のインディオたちは、彼らの偉大な王の死体を、オールスパイスで香り詰めにしてミイラとして保存していた。

 この香辛料は、甘・辛どちらの料理にもよくあう万能香辛料なので、オイスターシチュートマトスープポットローストサラダドレッシングビーフシチュー、スパゲッティソース、ミートローフ、ケーキ類などに使われる。北欧諸国では遠洋漁場でとった魚を運ぶとき、樽(たる)の中に魚といっしょにオールスパイスの実を入れ、腐らないようにしていた。

[齋藤 浩 2020年8月20日]


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改訂新版 世界大百科事典 「オールスパイス」の意味・わかりやすい解説

オールスパイス
allspice
Pimenta dioica (L.) Merr.(=P.officinalis Lindl.)

フトモモ科の常緑小高木。ピメントpimentoともいう。果実は香辛料として著名で,これ一品でスパイスの三大名品チョウジ,ニッケイ,ニクズクの香味をあわせもつというところからこの名がある。三香子または百味コショウの名もある。高さ6~9mになり,対生する葉はゲッケイジュに似る。夏に小枝頂に集散花序を出し,小さな白い花を多くつける。果実は暗紫色で直径約1cm,中に1~2個の種子がある。ジャマイカ原産で,同島を中心にメキシコからブラジルに至る一帯で古くからスパイスとして利用されていた。ヨーロッパには新大陸発見以後に紹介された。完熟前の果実を採集し,約1週間天日乾燥し,赤みをおびた暗褐色になったものが香辛料のオールスパイスである。完熟果は甘いが芳香はない。香りの成分はオイゲノールなどである。果実からとった精油(ピメント油)は製菓用に使われる。ラム酒にひたした香料(ベイラム)は整髪料として有名である。
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百科事典マイペディア 「オールスパイス」の意味・わかりやすい解説

オールスパイス

ピメントとも。ジャマイカ原産のフトモモ科の常緑小高木。葉は対生しゲッケイジュに似る。夏,白色の小花を多数開く。果実は暗紫色で径約1cm。果実は香辛料として著名で,完熟前に採集し,天日乾燥したものが,出荷される。三大香辛料,チョウジニクズクニッケイの香味をこれ一つであわせもつとされ,製菓用などに用いられる。近縁の植物ベイラムの葉をラム酒に浸した香料をベイラムといい,整髪料とされるが,本種の葉も同様に使われ,やはりベイラムとよばれる。

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食の医学館 「オールスパイス」の解説

オールスパイス

クローブ、ナツメグ、シナモンという、主要な3つのスパイスを合わせたような香りをもつことから、この名前がつきました。
 オールスパイスのもつおもな作用には抗菌、消化促進、健胃、駆風(くふう)(腸管内にたまったガスの排除)、鎮痛などがあります。
 具体的な症状としては、消化不良、腹部膨満、胃弱、腹痛などといった消化器の不調に効果を発揮するほか、かぜの予防にも効果があります。
○食品としての使い方
 オールスパイスの用途は広く、挽(ひ)き肉料理やシチュー、トマト料理と相性がよいほか、クッキー、フルーツケーキなどの焼き菓子にもピッタリ。香りづけや臭みを除く効果もあります。
 台所にあると非常に重宝なスパイスです。

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栄養・生化学辞典 「オールスパイス」の解説

オールスパイス

 スパイスの一つ.バラ下綱フトモモ目フトモモ科の[Pimenta officinals],[P. dioica]のほぼ完熟した豆粒大の実を採取し,天日乾燥したもの.精油はピメンタ油といい,オイゲノールを60〜70%含む.

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