翻訳|Caracas
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ベネズエラ共和国の首都。人口184万,大都市域人口318万(2001)。1567年,中央高原のカラカス河谷,標高960mの地に建設された。都市の名称は征服当時この河谷に居住していた原住民カラカス族に由来する。カラカス河谷はきわめて狭小な盆地であるが,植民地時代,生活環境あるいは軍事防衛上の理由からあえてこの地を都とし,つねに政治・文化の中心地であった。特にその末期はイギリスに制海権を掌握され,頻発する同国の海賊行為に対処するため軍事的機能をも併せ持った。植民地時代後半はカカオ,砂糖の好景気で都市も大いに発展した。独立に際しては権益の擁護と維持のため,カラカスの商人階級は素早く対応し,ボリーバルを支持した。1830年グラン・コロンビアから分離独立したベネズエラは,新生国家の首都をカラカスに制定した。以来今日まで常に国家の中枢部として諸機能を果たしてきた。カラカスが近代的都市へと変貌をとげたのは,グスマン・ブランコ大統領(在任1870-88)が都市の拡張,新産業の建設を行ってからである。その後1910年に始まった石油開発の結果,30年代より全国的に経済社会構造に大きな変化が生じて,人口移動が激しくなり,農村部より都市への流出が増加し,カラカスも大量に彼らを受け入れた。39年政府は都市の再開発計画を実施し,河岸部より山地部へ向かって都市は拡張された。特に第2次大戦後は,南米で最高の首都人口増加率を示し,現在ではかなり高地部まで市街地化した。大学都市やセントロ・シモン・ボリーバルをはじめとする近代建築が見られるが,カラカスの全人口の3分の1は,〈ランチョ〉に住むスラム人口といわれている。都市面積がきわめて限定されているため,地価が高騰しており,今後は耐震性を考慮した空間利用が問題となるだろう。
執筆者:上谷 博
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南アメリカ北部、カリブ海沿岸にあるベネズエラの首都。アンデス山脈北端の支脈の一つ中央高地に取り囲まれた盆地(標高960メートル)に位置する。人口197万5787(2000)。カラカスという名称は先住民族であるカラカス人からきている。年間を通じて常春の気候に恵まれ、世界でもっともよい気候の都市の一つといわれる。
1567年にスペインのドン・ディエゴ・デ・ロサダにより建設され、18世紀には南アメリカ北部のスペイン植民地の中心となった。1830年のベネズエラの独立以来首都であり、とくに1950年代に、ベネズエラの石油ブームを背景にして首都建設計画が実施され、人口が急増して町の様相が一変した。南アメリカの独立運動の指導者シモン・ボリーバルの出身地であり、ボリーバルや独立戦争に関する記念物が多い。
東西15キロメートルにわたる市街地の建物は、植民地様式と近代様式が混合している。西部地区はスペイン風の植民地様式の建物が多数保存されている。東部地区は近代的な高層建築のビジネス街やアパート群からなり、高速道路が通じ、政治、行政、経済の諸施設が集中している。市街地にはヤシやマンゴーや花の多い木の並木がよく整備されており、花のあふれる公園も多い。市街地の周辺地区にはランチョとよばれる巨大なスラム街が形成されており、中心部とは著しい対照をなしている。市の西部には工業地区があり、製糖、食品加工、醸造、皮革、製紙、たばこ、ガラス製品、薬品などの工業が発達している。外港のラグアイラとは高速道路で結ばれ、北西19.2キロメートルにマイケティア国際空港がある。
[山本正三]
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ベネズエラ共和国の首都。1567年ディエゴ・デ・ロサーダが建設。1824年独立した大コロンビアのベネズエラ県首都,30年分離とともにベネズエラの首都となった。1910年以来の石油景気のため,近代的なビルが林立する近代的都会だが,農村部からの流入人口が貧民街をつくり周囲を取り囲んでいる。ラ・グアイラが外港。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…伝統的な建築と新しい建築デザインを融合して指導的立場に立ち,モダニズムの理論に南アメリカの気候風土によく適合した機能主義的要素をとり入れた。カラカスの大学都市建設(1944‐)やシレンシオ地区の低コスト住宅群の開発(1941),エル・パライソ地区などの改造計画の成果は,50年代にカラカスを現代都市に一変させた。【加藤 薫】。…
※「カラカス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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