カンムリカイツブリ
かんむりかいつぶり / 冠鸊鷉
great crested grebe
[学] Podiceps cristatus
鳥綱カイツブリ目カイツブリ科の鳥。ヨーロッパから中国、モンゴル、南シベリアのウスリー地方、北アフリカに分布し、熱帯アフリカとオーストラリア、ニュージーランドに別亜種がある。広い淡水沼に繁殖し、冬は江湾のやや岸近くで越冬する。水中に潜って魚をとる。全長56.5センチメートル、頸(くび)が長く、夏羽では扇状の頬(ほお)羽と耳状羽をもっている。また、眉帯(びたい)が白く目と嘴(くちばし)が黒帯で連なる顔面の特徴で、同属のアカエリカイツブリP. grisegenaと区別できる。日本では、青森県の市柳(いちやなぎ)沼とその周辺で1972年(昭和47)以来繁殖例が知られる。最近では観察例が増え、島根県の宍道湖(しんじこ)など日本海側から九州にかけ、また埼玉県の狭山湖(さやまこ)、滋賀県の琵琶湖(びわこ)など内陸の湖でも、ときにかなりの群れでみられている。
[黒田長久]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
カンムリカイツブリ
Podiceps cristatus; great crested grebe
カイツブリ目カイツブリ科。全長 57cm。夏羽(→羽衣)では,頬部から上頸部に赤褐色の襟状の飾り羽があり,頭上にも黒色の冠羽(→羽冠)がある。後頸部と背は濃褐色,前頸部から胸腹部は白く,脇は赤褐色。冬羽では襟状飾り羽を欠き,顔,頸部はくすんだ白色,脇も灰褐色になる。ユーラシア大陸の温帯域に広く繁殖分布するほか,アフリカ,オーストラリア,ニュージーランドでも繁殖している。繁殖期には内陸の湖沼で営巣し,冬季には河川や沿岸海域,内湾などにも見られる。日本には冬鳥(→渡り鳥)として少数が渡来しているが,1972年に青森県で繁殖しているのが発見され,その後琵琶湖などでも繁殖するようになった。
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「カンムリカイツブリ」の意味・わかりやすい解説
カンムリカイツブリ
カイツブリ科の鳥。翼長19cm。カイツブリ科最大種。首が長く,夏羽では黒い冠羽と赤いほおの飾り羽が特徴。ユーラシア,アフリカ北部,オーストラリアに分布。日本へは冬鳥として渡来するが,近年,青森県や琵琶湖などでの繁殖が確認されている。水辺のヨシ原などに営巣し,水中に潜って魚や水生昆虫などを捕食する。
→関連項目カイツブリ
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冠鷿〓 (カンムリカイツブリ)
※〓は「虎」の右に「鳥」。
学名:Podiceps cristatus
動物。カイツブリ科の鳥
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
世界大百科事典(旧版)内のカンムリカイツブリの言及
【カイツブリ(鸊鷉)】より
…琵琶湖は〈鳰の海〉と呼ばれていた。 カンムリカイツブリP.cristatus(全長約55cm),アカエリカイツブリP.grisegena(全長約45cm)は,日本では青森県の湖沼地帯や北海道北東地方の湖沼に少数が繁殖している。冬季には大きな湖沼や内湾に渡来する。…
※「カンムリカイツブリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」