日本大百科全書(ニッポニカ) 「カー(古代エジプト)」の意味・わかりやすい解説 カー(古代エジプト)かーKa 古代エジプトで、人間の七つの部分の一つとしての精神的存在を意味し、しばしば両手をあげた形の象形文字で表される。これは鳥の姿をした霊魂バーとは別のもので、人間にとって「自己の分身」とみなされた。王などの有力な死者のカーのためには特別の墓室がつくられ、そこにはそのカーの像が納められていることが多い。しかも王たちは、その名前に自己のカーの名を書き加え、カーに対して特別の配慮を払うのが常であった。『死者の書』などにたびたび言及されているが、その実態はかならずしも明らかではない。[矢島文夫] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例