ランカスター(読み)らんかすたー(英語表記)Burt Lancaster

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランカスター」の意味・わかりやすい解説

ランカスター
Lancaster

イギリスイングランド北西部,ランカシャー県北西部の都市。周辺を含めてランカスター地区を構成する。マンチェスターの北北西約 80km,アイリッシュ海に注ぐルーン川の河口から約 10km上流の沿岸に位置する。ローマ軍の駐屯地があったところに形成された町で,1193年勅許状を得て,市場町として発展。18世紀末には港町としても繁栄したが,シルトの堆積によりまもなく港湾機能は衰退。イングランド北西部有数の家畜取り引き中心地で,家具,リノリウム合成繊維などの工業がある。ローマ時代の防壁跡が残るほか,中世の城塞,聖メアリー聖堂,19世紀の聖ピーター大聖堂などの古い建築物が保存されている。ランカスター大学(1964)がある。地区面積 577km2。地区人口 13万6700(2004推計)。都市人口 4万5952(2001)。

ランカスター
Lancaster, Sir James

[生]1554頃.ハンプシャー,ベーシングストーク
[没]1618.6.6. ロンドン
イギリスの航海者。若いときからポルトガル貿易に従事,1588年には F.ドレークのもとでスペイン無敵艦隊との戦いに参加。 91年アフリカ南端を迂回してインド,さらにペナン島におもむき,イギリスの東インド貿易の道を開いた。 1600年イギリス東インド会社の設立とともに翌年からその船隊を率いて,東南アジア地域におもむき,スマトラ島,ジャワ島で貿易の交渉を行なった。 03年帰国,ナイト爵を授けられた。北西航路の発見にも関心をもち,W.バフィンの探検を後援した。

ランカスター(伯)
ランカスター[はく]
Lancaster, Henry, 3rd Earl of

[生]1281頃
[没]1345.9.22.
イギリスの貴族。ランカスター家の始祖エドマンドの次男。国王エドワード2世の専制に抵抗した兄のランカスター伯トマスが処刑されたのち,1324年レスター伯となった。エドワード2世を倒すため王妃イザベル,R.モーティマーらとフランスにおもむき,兵を集めて 26年イングランドに上陸,王を捕え,27年廃位し,ランカスター伯の称を回復した。しかしこれまでの同志モーティマーと対立,30年これを捕えて処刑したが,この頃より失明し,政治生活より引退した。

ランカスター(伯)
ランカスター[はく]
Lancaster, Thomas, Earl of

[生]1278頃
[没]1322.3.22. ヨークシャー,ポンティフラクト
イギリスの貴族。国王ヘンリー3世の孫。地方貴族と結んでエドワード2世と対立,その寵臣 P.ギャビストンを追放,1312年彼を処刑した。 14年王室の改革に着手し,15年にはイングランドを事実上支配したが,個人的野心が強く,失政もあって権力を失った。王と和解したが,18年に台頭した寵臣ディスペンサー父子の追放を迫って王の軍と戦闘となり,敗れて処刑された。

ランカスター
Lancaster

アメリカ合衆国,ペンシルバニア州の南東部にある都市。 1729年に入植が始り,77年大陸会議がフィラデルフィアから避難の途中,この地で1日国会を開いた。 1818年市制。アメリカ開拓史上重要な役割を演じた馬車とランカスター銃の産地として有名で,現在も鋳鉄業が盛ん。またドイツ系移民の子孫,ペンシルバニア・ダッチの中心地である。家畜,酪農品,家禽,コムギ,タバコトウモロコシなどの集散地で,時計,リノリウム,電気器具の工業も発達。大学,図書館,公園,博物館,プラネタリウム,農業博物館などの文化施設が多い。人口5万 5551 (1990) 。

ランカスター(伯)
ランカスター[はく]
Lancaster, Edmund, Earl of

[生]1245.1.16. ロンドレス
[没]1296.6.5. バイヨンヌ
イギリスの貴族。ランカスター家の始祖。国王ヘンリー3世の第4子。 1254年教皇インノケンチウス4世からシチリア王位を与えられたが,それは名目のみで,58年にはその王位は無効とされた。 67年新しくランカスター伯に叙せられ,多くの称号と領土を合せて大勢力を有した。兄王エドワード1世に協力し,77~79年ウェールズに遠征,これを征服した。

ランカスター(公)
ランカスター[こう]
Lancaster, Henry, 1st Duke of

[生]1300頃.マンモスシャー,グロスモン城?
[没]1361.3.24. レスター
イギリスの軍人,外交官。ランカスター伯ヘンリーの子,国王ヘンリー3世の曾孫。百年戦争では数次の海戦に参加,1345~47年南西フランスでエドワード3世の代理兼司令官をつとめた。 45年ペリゴールで有勢なフランス軍を破り,翌年ポアティエを落した。 49年ガスコーニュとポアトゥーの司令官兼副摂政。 60年国王代理としてブレティニ仮条約を結んだ。

ランカスター
Lancaster, Joseph

[生]1778.11.25. ロンドン
[没]1838.10.24. ニューヨーク
イギリスの教育者。子供同士が教え合う集団教育法である助教法の創始者の一人。初め貧民の子の教育のため,費用をかけない教育の必要性から生れたこの方法は,広く欧米諸国に採用された。 1808年彼の教授法を援助する目的でランカスター協会が創設されたが,のち組織委員と意見が合わずアメリカに渡り,その教育法の実施と普及に努めた。

ランカスター
Lancaster

アメリカ合衆国,カリフォルニア州南西部の都市。モハーベ砂漠の西縁部のアンテロープの谷にある。 1882年 M.L.ウィックスをはじめスコットランド人が移住したことが始りである。谷は 1900年代初めまで,ウシの放牧が行われていたが,ガソリンエンジンによって揚水灌漑が行われるようになり,農業地域を形成した。現在では航空機,電子工業などの産業もみられる。北東郊にエドワーズ空軍基地がある。人口 15万6633(2010)。

ランカスター
Lancaster, Burt

[生]1913.11.2. ニューヨーク
[没]1994.10.20. ロサンゼルス
アメリカの映画制作者,俳優。デビュー作『殺人者』 The Killers (1946) 。 1954年ヘクト=ランカスター・プロを設立,制作者も兼ねて『エルマー・ガントリー』 Elmer Gantry (60,アカデミー主演男優賞) ほかの良心作を生んでいる。

ランカスター
Lancaster

アメリカ合衆国,オハイオ州南部にある都市。コロンバスの南東約 50km,ホッキング川に面する。 1798年ペンシルバニア州ランカスターからドイツ系移民が入植。 1831年市制。ガラス,靴,機械類生産が盛ん。酪農製品,ブタ,肉牛の集散地。人口3万 4507 (1990) 。

ランカスター(公)
ランカスター[こう]

ジョン・オブ・ゴーント」のページをご覧ください。


ランカスター

「アブロ・ランカスター」のページをご覧ください。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランカスター」の意味・わかりやすい解説

ランカスター(Burt Lancaster)
らんかすたー
Burt Lancaster
(1913―1994)

アメリカの俳優。ニューヨーク生まれ。空中アクロバット・チームの花形だったが、第二次世界大戦後、舞台俳優となり、『殺人者』(1946)で映画界にデビュー。悪役からタフガイとして売り出し、『エルマー・ガントリー』(1960)でアカデミー主演男優賞を受賞した。イタリア映画『山猫』(1963)、『家族の肖像』(1974)、『1900年』(1976)にも出演し野心的なところをみせる。代表作に『地上(ここ)より永遠(とわ)に』(1953)、『ベラクルス』(1955)、『OK牧場の決闘』(1957)、『大列車作戦』(1964)、『泳ぐひと』(1966)など。

[畑 暉男]


ランカスター(アメリカ合衆国)
らんかすたー
Lancaster

アメリカ合衆国、ペンシルベニア州南東部の都市。人口5万6348(2000)。農業地帯の広がるペンシルベニア・ダッチ・カントリーの中心商業都市で、たばこ、小麦などの農産物や畜産物の中心市場として発展するほか、時計やラジオなどの電気製品、金属製品、リノリウム材など多種工業の進出も著しい。1730年に町が開かれ、1818年より市制が施行された。独立戦争(1763~83)では合衆国の首都となり、後にもしばらくペンシルベニア州の州都として歴史的に重要な役割を果たしてきた。市内にはフルトン・オペラ・ハウス(1854建設)や第15代大統領ジェームス・ブキャナンの家であるフィートラント(1828建設)など多くの歴史的建造物も保存されており、フランクリン・アンド・マーシャル大学(1853創立)の所在地でもある。

[作野和世]


ランカスター(イギリス)
らんかすたー
Lancaster

イギリス、イングランド北西部、ランカシャー県の県都。人口13万3914(2001)。ルーン川南岸に沿う河港都市で、古くから交通の便に恵まれ、農村地域の商業中心地として発達した。現在は行政、文化の中心地でもある。19世紀以降工業も発達し、リノリウム、繊維製品、家具、農業機械などの製造が盛んである。古代ローマの城塞(じょうさい)跡で、当時の城壁が残るほか、ノルマン風の塔が残る12世紀の城や15世紀のセント・マリーズ教会がある。

[井内 昇]

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