ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
国際政治学
こくさいせいじがく
science of international politics
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ヨーロッパやアメリカにおいて国際政治の社会科学的な研究が始められ、大学における教科が設置されたのは第一次世界大戦以後のことである。国際政治についての研究はマキャベッリ以来数多く存在するが、それらは支配者のための教訓か、外交史の素朴な記述にすぎなかった。第一次大戦は交戦各国の国民の諸階層を巻き込み、国際問題に対して深い大衆的関心を呼び起こした。戦争の再発を防止しようとする要求が国際政治学の基礎にあった。こうして国際政治学は「いかにあるか」の記述にとどまらず、「いかにあるべきか」を探究しようとした。
1920年代の欧米の国際政治学は、ユートピアニズムの傾向が濃く、国際法・国際道義の役割を重視し、国際機構などがおもなテーマとされた。一方、マルクス主義の立場からは、レーニンの帝国主義論に出発して世界経済の分析を基礎とする国際政治への接近が行われ、1930年代初頭の世界恐慌の発生とともに、その資本主義諸国に対する分析力について評価が高まった。一方、ナチズムの台頭と戦争の危機に直面して、欧米学界では従来のユートピアニズムの欠陥が反省され、国際政治における権力の契機を重視する方法が提唱された。第二次大戦後も、国際政治を、権力をめぐる闘争として把握する方法が流行した。
日本では、大学において国際法および外交史の科目は明治以来存在したが、国際政治学international politicsあるいは国際関係論international relationsという名の講座あるいは学科目として設けられたのは第二次大戦後のことであり、この分野を専門にする学者がしだいに増加し、学会も組織された。1960年代以後アメリカにおいては他の社会科学諸分野とも関連して、行動科学やシステム分析などの数量化的方法が盛んとなり、日本においてもマルクス主義的方法の有効性の低下とともにアメリカの学界の傾向が浸透した。本来国際政治学の追究すべき課題である平和確立の方法を理念とする平和研究peace researchという分野が現れ、国際的にもまた日本でも有力となっている。
[斉藤 孝]
『日本国際政治学会編『戦後日本の国際政治学』(1979・有斐閣)』
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