カーネギー(英語表記)Andrew Carnegie

デジタル大辞泉 「カーネギー」の意味・読み・例文・類語

カーネギー(Andrew Carnegie)

[1835~1919]米国実業家スコットランド生まれで米国に移住製鋼業成功、製鋼王といわれる。カーネギー教育振興財団カーネギーホールなどに資金を投じ貢献した。著「富の福音」。

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精選版 日本国語大辞典 「カーネギー」の意味・読み・例文・類語

カーネギー

  1. ( Andrew Carnegie アンドルー━ ) アメリカの実業家。カーネギー製鋼会社を設立、アメリカの製鋼界を支配し、「製鋼王」といわれる。余生を慈善事業に捧げた。(一八三五‐一九一九

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改訂新版 世界大百科事典 「カーネギー」の意味・わかりやすい解説

カーネギー
Andrew Carnegie
生没年:1835-1919

アメリカの鉄鋼王。貧しい田舎の少年から努力して大企業家となり,一躍億万長者になるという,アメリカにおける立身出世物語の典型的なヒーロー父親はスコットランドの織物工で,1848年一家をつれてアメリカに移住するが事業に失敗,家族は辛酸をなめる。そこで13歳からボイラー焚きとして働きはじめ,電信会社のメッセンジャー・ボーイなどをして働く。ついでペンシルベニア鉄道で働くが,ここで上司に認められ,59年ピッツバーグ地区の監督に抜擢された。向上心に燃えるカーネギーはこれで満足せず,種々の事業に関係しながら資金をため,南北戦争のブーム期にその蓄積鉄鋼業に投資してその事業の基礎を築いた。いち早くイギリスからベッセマー製鋼法を導入して,75年ピッツバーグに最新式の製鉄工場エドガー・トムソン工場を完成させたのは有名。以後カーネギーは他の製鉄会社を買収して鉄鋼王としての道を歩み,1901年鉄鋼大合同によって資本金10億ドルのUSスチール会社が成立すると,カーネギー製鋼会社を売却して引退した。晩年は慈善王として知られ,カーネギー工科大学カーネギー財団などを設立して社会に貢献する一方,その莫大な資産を教育研究機関・平和機関に投じるなど,慈善事業家として有名となった。貧しい少年たちを鼓舞したという意味で,アメリカ的ヒーローといってよい。
国際平和カーネギー基金
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーネギー」の意味・わかりやすい解説

カーネギー
かーねぎー
Andrew Carnegie
(1835―1919)

アメリカの産業企業家、慈善事業家。スコットランドの貧しい織工の家に生まれ、1848年一家とともに渡米。紡績工を振り出しに、いくつかの職業を経たのちペンシルベニア鉄道に職を得、管理者の地位に昇進した。しかし、鉄道建設が急速に進むありさま目の当たりにみて、鉄道経営よりも鉄道建設資材の供給に関心をもち、それまでに得た投資による利益を元手に製鉄業に進出した。主力製品は鉄レールであったが、やがてイギリスで製鋼法の発明家ベッセマーと知り合ったのを機に「鉄の時代は去った。鋼鉄こそ王者だ」と確信するに至り、70年代の不況のさなかに製鋼所の建設に着手した。80年代にはいくつかの競争企業を支配下に収め、90年代には五大湖周辺の鉱床、炭鉱、船舶、鉄道を買収、99年にはこれらの事業を統合してカーネギー製鋼所に改組し、原料から完成品に至る一貫生産体制を確立した。しかしまもなく、鉄道から鉄鋼へと支配網を拡大しつつあったウォール街の金融集団との鋼製品市場をめぐる角逐で苦境にたち、1901年モルガン商会に企業を売却し、実業界より退いた。以来18年、「富は神より委託されたもの」との信念に基づき、今日に残るホール、財団、カーネギー工科大学などの教育施設などを設立し、慈善事業に携わるかたわら、事業と社会のあり方を説く著述活動に専念し、残された第二の人生を送った。

[小林袈裟治]

『坂西志保訳『鉄鋼王カーネギー自伝』(角川文庫)』『坂西志保訳『富と福音――カーネギー自伝』(『世界の人間像5』所収・1961・角川書店)』『J・チェンバレン著、宇野博二訳『アメリカ産業を築いた人びと』(1965・至誠堂)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーネギー」の意味・わかりやすい解説

カーネギー
Carnegie, Andrew

[生]1835.11.25. イギリス,ダンファームリン
[没]1919.8.11. アメリカ合衆国,マサチューセッツ,レノックス
アメリカ合衆国の実業家。 1848年スコットランドからペンシルバニアへ家族とともに移住。最初,紡績工場で働き,電報局員,電信技手などを経て,1865年ピッツバーグで製鉄業を始め,1873年にはホームステッドで製鋼業会社を設立した。しだいに競合相手をしのぎ,1889にカーネギー鉄鋼株式会社を設立。アメリカの鉄鋼の4分の1を生産するにいたった。 1901年に大持株会社ユナイテッド・ステーツ・スチールと合併し,引退。カーネギーの引退は,アメリカにおける産業資本に対する金融資本の勝利を暗示するものであった。富豪の使命は人類の進歩のためにその富を大衆の利益に帰することにある,という信念によって,カーネギー協会 (1902設立) ,カーネギー財団 (1911設立) などの事業に巨額の資金を投じた。主著"Triumphant Democracy" (1886) ,『富の福音』 The Gospel of Wealth (1889) 。

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図書館情報学用語辞典 第5版 「カーネギー」の解説

カーネギー

1835-1919.スコットランド生まれ.19世紀後半から20世紀前半にかけて,鉄鋼業による資産を文化向上のための慈善活動へと投じた米国人実業家.図書館界では,全米各地に約1,700館,世界中に2,500館あまりの公共図書館を寄付した功績により知られる.1848年に米国に移住.ペンシルヴァニア鉄道などを経てカーネギー製鋼会社を設立し成功を収めた.遺贈ではなく生前の慈善活動を富者の責務と捉え,「天は自ら助くる者を助く」という考えのもと,勤勉な貧しい若者に教育の機会を与える図書館の設置を進めた.事業引退後に「学問の発展と普及のために」1億2,500万ドルを投じてカーネギー財団(Carnegie Foundation for the Advancement of Teaching)を設立し,自治体が敷地と管理運営費の一部を負担するという条件のもと図書館の寄贈を進めた.後年,同財団による『ウィリアムソンレポート』(Training for Library Services1923)やシカゴ大学図書館学大学院設立に対する資金援助は,図書館研究の発展に多大な影響を与えた.

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百科事典マイペディア 「カーネギー」の意味・わかりやすい解説

カーネギー

米国の実業家。スコットランド生れ。1848年父親に連れられて渡米後,13歳から働きはじめた。職工やメッセンジャー・ボーイとして働いたのち,鉄道会社に勤める。石油投資などで産をなし南北戦争の鉄鋼ブーム期に製鉄業を経営,1873年いち早く英国からベッセマー製鋼法を採用して鉄鋼王となった。1901年鉄鋼大合同によってそのカーネギー製鋼会社をUSスチールに売却,引退。晩年は慈善家として知られ,約3億5000万ドルを教育・学術・社会事業に寄付し,彼の名を冠するホール(カーネギー・ホール),工科大学,研究所,英雄基金,教育振興財団,国際平和基金がつくられた。特に科学の基礎研究を助ける財団(1911年創立)には,彼の主要資産が献じられた。→カーネギー財団

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旺文社世界史事典 三訂版 「カーネギー」の解説

カーネギー
Andrew Carnegie

1835〜1919
アメリカの実業家(鉄鋼王)
スコットランド移民で,糸捲工・電信技師などをへてペンシルヴェニア鉄道に要職を得た。南北戦争後,製鋼業界にはいり,1868年ベッセマー法を導入して成功し,10年たらずで合衆国最大のカーネギー鉄鋼会社を築いた。1901年にはこれをJ.P.モルガンのUSスティールに譲って引退し,カーネギー財団をつくって教育・文化・慈善などに尽くした。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「カーネギー」の解説

カーネギー
Andrew Carnegie

1835~1919

アメリカの実業家。両親とともにスコットランドから移住,貧困のなかで実業の才を現し,アメリカ製鋼業を躍進させ,業界の王者となった。晩年,会社をモーガンらに売り渡し,文化社会事業に専念した。

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世界大百科事典(旧版)内のカーネギーの言及

【国際平和カーネギー基金】より

…国際相互理解と世界平和の推進を目的に,1910年A.カーネギーによって設立されたアメリカの事業財団。カーネギー国際平和財団とも訳す。…

【図書館】より

…アメリカ最初の公共図書館ボストン市立図書館の成立は1854年のことである。しかし公共図書館の先進国イギリスやアメリカに,実際に公共図書館が開花するには,1880年代から1920年代へかけての,A.カーネギーによる図書館建築のための寄付行為が大きな刺激となった。満足に学校教育を受けないで成功したカーネギーにとって図書館は自分の学校であった。…

※「カーネギー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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