デジタルカメラや複合機などを手掛ける大手精密機器メーカー。主力のカメラや複合機事業が伸び悩み、医療機器や監視カメラなど成長が期待される事業を強化している。
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アメリカの天文学者。デラウェア州ドーバーに生まれ、1884年ウェズリー大学に入学、1895年ラドクリフ大学(1999年ハーバード大学に併合)に再入学。卒業後、1896年ハーバード大学天文台に就職し、以後45年間天体写真の分析に尽くした。初期にはピッカリングの助手として、恒星スペクトルのH・ドレーパー方式の分類計画に参加し、恩師の死後、主任研究員として計画完遂に尽力した。1924年待望の『H・ドレーパー星表』を刊行、22万5300個の恒星のスペクトルについて連続的分類を体系づけ、その後さらに13万個を追加した。イギリス王立天文学会名誉会員などの栄誉を受けた。
[島村福太郎]
カメラの世界トップメーカー。1933年(昭和8)に発足した精機光学研究所が前身。1935年に1号機カンノンカメラを完成、37年に株式会社化してキヤノンブランドで35ミリカメラを発売し、39年には日本初のX線間接撮影カメラを開発した。
第二次世界大戦後早くから海外で高く評価され、1947年(昭和22)にキヤノンカメラ(株)と改称。1956年に8ミリカメラに進出、61年に「キヤノネット」を発売し、自動露出カメラのEEブームを巻き起こした。1970年には「キヤノンF1」でシステムカメラ時代を開き、76年にマイコン搭載の「キヤノンAE1」、78年にマルチモードの「キヤノンA1」を発売してカメラの電子化、自動化を実現した。さらに1959年以降、マイクロフィルム機器、電卓、複写機、レーザービームプリンター、OA機器、ビデオ機器と多彩な分野へ意欲的な事業の拡大を図った。この間社名も1969年に現社名に変更。資本金1747億円(2008)、売上高4兆4813億円(2007。連結ベース)。
[中村清司]
『キヤノン史編集委員会編『キヤノン史――技術と製品の50年』(1987・キヤノン)』
日本の代表的なカメラ・メーカー。OA関連機器にも展開。世界的な技術力を保持し,製品の7割以上を輸出する。1933年,高級カメラづくりに熱意を燃やした前田武男らによって精機光学研究所として創業。2年後1号機を完成,観音の慈悲を願って〈カンノンカメラ〉と名づけたが,まもなく〈キヤノン〉に改めた。37年精機光学工業(株)を新たに設立した。39年に開発した国産初のX線カメラを含め,第2次大戦前は測距機など軍用光学機器を生産した。戦後はカメラづくりに専念することとし,47年には製品名に合わせて社名をキヤノンカメラ(株)とした。高い技術開発力をもって8ミリシネカメラ(1956),中級EEカメラ〈キヤノネット〉(1960)などを開発した。一方,経営多角化のために62年事務機械分野にも進出,64年にはテン・キー方式の電卓を開発,発売,これがヒットし,電卓はカメラに次ぐ経営の柱になった。複写機は65年に製品を初めて市場に出し,68年には国産初の普通紙コピー技術(NPシステム)を完成した。またマイクロフィルム機器,医療用・テレビ用カメラなど光学特殊機器の開発も著しい。この間70年に最高級システムカメラ〈キヤノンF-1〉を完成している。
コンピューターなど成長分野への多角化をはかり,69年には社名をキヤノン(株)に変更した。資本金1744億円(2005年12月),売上高3兆7542億円(2005年12月期)。
執筆者:徳田 賢二
アメリカの生理学者。ハーバード大学で医学を修め,アメリカ生理学の創始者であるボウディッチH.P.Bowditchの下で研究を行った。1906年から42年まで同大学教授。はじめはパブロフ学派を中心として全盛だった消化生理学に手を染め,とくに機械的側面から研究をすすめ,1896年にはX線と造影剤による消化器の形態変化観察に成功した。20世紀に入ってからは,それを契機として感情の消化への影響効果に興味をもったが,その研究の結果,交感神経・副腎系の重要性を認識し,それを中心課題として系統的研究を始めた。1930年代に交感神経末端の化学伝達物質の研究に大きな成果を残し,一方で生体の制御の全体,とくに血液に関するさまざまな調節機構に注目し,C.ベルナールの〈内部環境〉を〈液体マトリックス〉として具体的に定式化し,1926年には〈ホメオスタシス〉概念を提出した。すなわち交感神経・副腎系をはじめとする複合的反応過程により,いかに生体の定常状態が保たれるのかを示したのであり,これは《からだの知恵》(1932)の中で十分に論じている。この成果は生体制御機械に関する神経・ホルモンの統合的役割の全体像についてのその後の研究に指導的役割を果たした。
執筆者:鬼頭 秀一
アメリカの女流天文学者。デラウェア州に生まれ,ラドクリフ大学に学ぶ。ハーバード大学天文台長E.C.ピッカリングのもとで天体写真の測定などに従事するうち,星のスペクトル分類に熟達して第一人者となる。ピッカリングが創設したアルファベット記号のスペクトル型に数字の後添字をつけて細分し,さらにそれを温度順に並べ直して現用の分類システムを作った。全天の9等以上の星22万5000のスペクトルを1人で分類し,ヘンリー・ドレーパー星表全5巻(1918-24)を出版,後に2万個を追加した。これは今でも星の基礎資料として広く利用され,星はこのカタログ記載の番号でHD何番と呼称される。キャノンのほか,ピッカリングの門下には女流学者が多く,フレミングW.P.Flemming,モーリーA.Mauryも分類学者として知られる。
執筆者:大沢 清輝
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(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2007年)
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…生物の生理系(たとえば血液)が正常な状態を維持する現象を意味する言葉で,〈等しい〉とか〈同一〉という意味のhomeoと,〈平衡状態〉〈定常状態〉の意味のstasisを結びつけて,アメリカの生理学者キャノンW.B.Cannonが1932年に提唱したもの。恒常性とも訳される。…
…実際には,両説を総合した説が最も妥当であるが,1950年以降の多くの研究結果から中枢説がより重視されている。
[末梢説]
1912年にW.B.キャノンらは胃が空のときに起こる強い胃の空腹収縮が空腹痛を生じ,これが食欲の発生に直接に関係するという見解を出した。その後,16年にL.カールソンはこの見解をさらに進めて,食欲や満腹感は胃収縮の強弱や有無によって形成され,それが迷走神経を介して脳へ伝えられるという説をたてた。…
…生物の生理系(たとえば血液)が正常な状態を維持する現象を意味する言葉で,〈等しい〉とか〈同一〉という意味のhomeoと,〈平衡状態〉〈定常状態〉の意味のstasisを結びつけて,アメリカの生理学者キャノンW.B.Cannonが1932年に提唱したもの。恒常性とも訳される。…
※「キャノン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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