洗礼名のこと。バプティスマル・ネームbaptismal nameともいい,姓に対する名(ファースト・ネーム)の意に用いられることもある。名は本質を表すという聖書の思想を受けて,キリスト教では名を付けることをたいせつにするようになった。キリスト者が洗礼によって神の子として誕生したことを表すために,洗礼名を授与する習慣ができ,聖書に出てくる人物をはじめ,キリストに従いキリストに倣って生涯を全うした殉教者や聖人の名を付けるようになった。そのような聖人を守護聖人と呼ぶが,洗礼名は必ずしも守護聖人の名を付けなければならないものではない。日本では仏教の戒名(かいみよう)になぞらえて霊名などと呼ばれることもある。
執筆者:土屋 吉正
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洗礼名。名前には、生命力、魔力、威力が宿ると信じられたから、神の名と悪霊の名を知ること、隠すこと、使うことが宗教と呪術(じゅじゅつ)の儀礼で秘儀的に操作された。人間は、アダムが楽園でしたように(「創世記」2章19)、いっさいの事物に名前をつける。キリスト教への入信儀礼である洗礼式のあと、新しい人格と資格の獲得のしるしとして、聖者名、聖書人名や信仰の徳を表現する語が動員されて命名されるが、宗教改革後は、その呪術性を否定する教派が多い。信徒の出自からの解放のモチーフが、仏教徒の戒名(かいみょう)と対応する。教名、霊名ともいう。
[川又志朗]
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…ただ,言語によって若干の変化はみられ,ムハンマドは,現代トルコ語ではメフメトMehmet,現代ペルシア語ではモハンマドMoḥammadと記され,アブド・アッラー(アブド・アッラーフ)‘Abd Allāhは,トルコやインドでは,しばしばアブドゥッラーAbdullāhと短縮される。【奴田原 睦明】
【西ヨーロッパ】
現在,西洋の人名は基本的にはクリスチャン・ネーム(洗礼名。ファースト・ネームともいう)とファミリー・ネームから成り立っている。…
※「クリスチャンネーム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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