クリーム(読み)くりーむ(英語表記)cream

翻訳|cream

デジタル大辞泉 「クリーム」の意味・読み・例文・類語

クリーム(cream)

牛乳からとれる黄白色のどろっとした脂肪質。成分は乳脂肪・水分・たんぱく質乳糖などで、乳脂肪分18.0パーセント以上のもの。バター・菓子の製造や料理・コーヒーなどに用いる。乳脂。生クリーム。クレーム。
カスタードクリームのこと。
凝乳状の基礎化粧料。油性と水性の2タイプがある。皮膚の保護、髪の手入れなどに用いる。「ヘアクリーム
靴墨のこと。靴クリーム
クリーム色」の略。
アイスクリーム」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「クリーム」の意味・読み・例文・類語

クリーム

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] cream )
  2. 菓子などを作るのに用いる、やわらかい、白色の脂肪。元来は牛乳からとったもの(生クリーム・乳脂)をいうが、他の安価な脂肪を材料としたショートニングなどの代用品もしばしば用いられる。
    1. [初出の実例]「夏は氷盤に苺を盛って、旨(あま)き血を、クリームの白きなかに溶(とか)し込む」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一二)
  3. 卵、牛乳、小麦粉、砂糖などを混ぜて作る食品。菓子を作るのに用いる。バタークリーム、カスタードクリームなど。
  4. 牛乳と小麦粉を主材料とした、ホワイトソースに近いスープ。「クリームシチュー」
  5. 人の皮膚などに塗る、蝋・脂肪などと水を混ぜて乳化させたものを基剤にした白い粘体。
    1. (イ) 皮膚や髪の手入れに用いる化粧品。コールドクリームクレンジングクリーム、栄養クリーム、ハンドクリームヘアクリームなど。
      1. [初出の実例]「猶同店には化粧室の設けあり、〈略〉クリーム、化粧水、香水など充がひ」(出典:都新聞‐明治四〇年(1907)八月八日)
    2. (ロ) 皮膚に塗ったりすりこんだりする家庭用医薬品。かゆみどめクリームなど。
  6. くつずみ。くつクリーム。
    1. [初出の実例]「クリームを塗り換へた踵の高い女の白靴」(出典:ア・マリア(1923)〈谷崎潤一郎〉二)
  7. クリームいろ(━色)
    1. [初出の実例]「被(おほ)ひの散らし模様は、ディアズかモンティセリ風の鳶色、赤に、薔薇に、白に、クリームに、黒に」(出典:ゴッホの手紙(1951‐52)〈小林秀雄〉)
  8. アイスクリーム」の略。

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改訂新版 世界大百科事典 「クリーム」の意味・わかりやすい解説

クリーム
cream

牛乳からとった食用のクリームと化粧品のクリームがある。語源は,キリスト教で洗礼の儀式に使う聖油や聖膏を意味するラテン語chrismaにちなむ。

牛乳の脂肪は微細な脂肪球の形で分散している。この脂肪分を集めた黄白色の液体がクリームである。脂肪は比重が軽いので牛乳を静置しておいても浮上し,クリーム層ができる。しかし静置法は時間がかかり,脂肪の分離も不完全なので,現在は遠心力を利用したクリームセパレーター(クリーム分離機)が用いられている。クリームはバター,アイスクリーム,洋菓子の原料になるほか,コーヒーや料理に用いられる。規格上は乳脂肪18.0%以上と定められていて,以下のような各種のクリームが製造されている。なお市販のクリームはすべて殺菌処理がなされており,生クリームというのは俗称である。(1)コーヒークリーム 乳脂肪分18~20%の製品で,テーブルクリームともいわれる。コーヒーや料理用である。(2)ホイップクリーム 乳脂肪分40~45%の高脂肪製品である。ホイップ(泡立て)用で,洋菓子の製造に用いられる。(3)サワークリーム 乳脂肪分約20%のクリームを乳酸菌により発酵させた製品である。ホイップしたクリームのような性状で,やや酸味があり,ロシア料理で多く使われる。(4)クリームパウダー クリームを噴霧乾燥して粉末状とした製品で,規格上は乳固形分95.0%以上(うち乳脂肪分50.0%以上),水分5.0%以下となっている。これらの各クリーム製品と外観,性状が類似のもので,乳脂肪の一部または全部を植物性脂肪で置換した製品が市販されている。
執筆者:

ホイップしたクリームには,砂糖を加えて甘くしたクレームシャンティイーと,甘みをつけないクレームフェッテがあり,後者はババロアやパフェに用いられる。クレームシャンティイーは,でき上がり1カップとして生クリーム180mlを乾いたボールに入れ,ボールごと氷で冷やしながら泡立て,かるく泡立ったところでふるいを通した砂糖40~60gを入れ,さらにクリームの先が立つくらいまで泡立ててから用いる。なお,カスタードクリームは牛乳,鶏卵,砂糖,小麦粉などを合わせたもので,シュークリームやクリームパンに用いる。
執筆者:

油性成分と水性成分を混ぜて乳化させたもの。人間の皮膚は通常皮脂腺から皮脂が,汗腺から汗が分泌され,皮膚表面で乳化して皮脂膜をつくり保護しているが,角質老廃物やほこりなどといっしょになった汚れた皮脂膜は洗顔で落としてしまうので,一時的に皮脂膜の代りに肌を保護するためと,寒気や風,健康状態などによって皮脂膜のできにくいとき,肌荒れを防ぎ肌にうるおいを与えるために用いる。一般的にはコールドクリームcold creamタイプと,バニシングクリームvanishing creamタイプとに分けられ,前者は油成分を水成分中に微細に分散乳化したものでo/w型(油性クリーム)と呼び,後者は逆に水成分を油成分中に分散乳化したものでw/o型(中油性・弱油性クリーム)と呼ぶ。コールドクリームはローマ皇帝マルクス・アウレリウスの侍医として有名だったガレノスの創製したガレノス蠟膏がもとといわれている。これはステアリン酸などの油成分に,蜜蠟とホウ(硼)砂によってできる乳化剤を使ったもので,化粧品としてつくられるようになったのは18世紀に入ってからである。肌につけた感じからコールド(つめたい)と名付けられたという。化粧クリームとして代表的なもので,クレンジングクリーム,マッサージクリーム,栄養クリームなどがあり,それぞれ用途によって成分を加減してある。バニシングクリームは20世紀に入ってからつくられたもので,ステアリン酸とカリセッケンを乳化剤としたクリームで,肌につけてこすると最初白くなるが,引き続きこすっていると白さが消える。つまり消える(vanish)というところから名付けられた。日本にクリームが入ってきたのは1886年ごろからである。それまではクリームの代りに,米ぬかを布袋に入れたぬか袋が使われていた。1909年以降,国産のクリームが量産されるようになり,需要も種類もふえていった。第2次大戦後は乳化剤の発達によりw/o/w型のような多相エマルジョンや油成分の少ない乳液,顔料成分を配合したファンデーション類など,安定性の高いものがつくられるようになった。
化粧品
執筆者:


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリーム」の意味・わかりやすい解説

クリーム(化粧品)
くりーむ
cream

化粧品。白(はく)ろう、鯨(げい)ろうや脂肪油などにグリセリン、香料などを加えてつくる凝乳状の基礎化粧料の総称である。

[横田富佐子]

歴史

紀元前5世紀ヘブライ人はオリーブ油を肌に塗っていたといわれるが、クリーム状のものとしては、ずっと時代を経た18世紀、ヨーロッパで植物油(ココア油、クルミ油など)や動物性(ロバ、ウシの乳など)を原料としたものが使われていた、との記録が残る。また、唇にひびが入るのを防ぐために、油性のものがリップクリームとして用いられたらしい。今日のクリームに近いものができたのは20世紀初めであるが、原料、製法などははっきりわかっていない。日本では1888年(明治21)に大日本製薬から「コールドクリーム」が、そして化粧品産業が成立した明治30年代の後半に平尾賛平商店から「レートクレーム」が発売された。1918年(大正7)には資生堂からもコールドクリームをはじめとした数種のクリームが発売され、顔や、手指の美容、あれを防ぐものとして一般化された。現在では多種多様なクリームが出回っていて、乳化剤の種類が増え、用法が開発されるにつれ、べとついた油性のクリーム、あっさりした水性のもの、さらに両者の中間的なタイプのものなどがつくられるようになった。

[横田富佐子]

効用

クリームの種類によって異なる。

(1)吸収されやすい乳化状につくられているため、皮膚表面に適当な水分と、乳化された脂肪を補給し、潤いと滑らかさを与え、柔軟性を保つものもある。

(2)皮膚の表面を薄い膜で覆い、外界の刺激、太陽光線などの影響から皮膚を保護し、毛穴や汗腺(かんせん)がちりや細菌でふさがれるのを予防し、また皮膚病の原因を防ぐものもある。

(3)皮膚を傷めずに洗浄作用ができるものもある。

(4)マッサージを行うときに用い、血液の循環を助ける効果も認められ、間接的に皮膚を健康にする。

(5)化粧をするときの基礎化粧料になる。

[横田富佐子]

種類

〔1〕コールドクリームcold cream 油性クリームの代表的なもので、クレンジングクリームなど、多くの油性クリームの原型である。化粧や汚れを落とし(洗浄作用)、マッサージ用としても使われる。鉱物性の油が含まれているので、つけたまま長く放置すると皮膚の通気性を損ない、油焼けなどの原因になりやすい。拭(ふ)き取ったあと、アルカリ性化粧水を使用するとよい。

〔2〕バニシングクリームvanishing cream vanishは「消失する」の意。水性。無油性クリームの代表的なもので、水とステアリン酸の乳化系で、湿潤効果を与える多価アルコールを添加したものである。主として肌のあれ止め、化粧下、ひげそりあと、汗をかく夏などに用いられ、使用感はさらりとしている。

〔3〕ハイゼニッククリームhygienic cream 中性クリーム。原料的にはクリームすべてが同じ。あれ性、中年の肌に向くとされる。脂肪分の不足を補い、肌の衰えを防ぐのが目的である。

 このほか、ナリシング(栄養)クリーム、コンディショニング(整潤)クリーム、ナイト(就寝)クリーム、エモリント(柔軟)クリーム、モイスチャー(保湿)クリーム、ホルモン(栄養)クリームなど、多くの呼び方もあるが、目的は、前述「効用」で触れた(1)~(5)と同じである。また用いる部位によって、リップクリーム、アイクリーム、ヘアクリーム、ハンドクリーム、ネイルクリームなどの分類もある。

[横田富佐子]


クリーム(ロック・グループ)
くりーむ
Cream

イギリスのロック・グループ。クリームには「乳脂」のほかに「最上級の部分」「最良のもの」という意味がある。ジョン・メイオールJohn Mayall(1933―2024、ギター、ハーモニカ)のバンド、ブルース・ブレイカーズで斬新なギター演奏を披露したエリック・クラプトン、アレクシス・コーナー・ブルース・インコーポレイテッド、ブルース・ブレイカーズ、グレアム・ボンド・オーガニゼーションなどのバンドを経たジャック・ブルースJack Bruce(1943―2014、ボーカル、ベース)、ジンジャー・ベーカーGinger Baker(1939―2019、ドラム)が結成したトリオは、まさにその名のごとく当時のブルース、ジャズ界の若手からなる精鋭中の精鋭のトリオであった。ブルースはスコットランド王立音楽院で正規の音楽教育を受けており、ベーカーはすでにイギリスのジャズ・シーンで地位を確立していた。

 クリームの演奏スタイルは1960年代におけるロックの大音響時代の幕開けを告げた。彼らは無数のグループに影響を与え、クリームのようなトリオ編成のハード・ロック・バンドは、以降はパワー・トリオとよばれてロック・シーンに定着した。

 クリームはブルースをベースに、それまでの常識を覆す音量とジャズに倣ったインプロビゼーションで、1966年のデビューと同時にセンセーションを巻き起こす。メンバー各自の圧倒的な演奏力ゆえ過小評価されがちであるが、ピート・ブラウンPete Brown(1940―2023)の書くシュルレアリスティックな歌詞とブルースの作曲によるオリジナル曲の質の高さ、セカンド・アルバム以降プロデューサーとなったフェリックス・パパラルディFelix Pappalardi(1939―1983)のサウンドづくりも、サイケデリック・ミュージックの代表的なバンドにクリームを押し上げた理由であることは間違いない。

 ファースト・アルバム『フレッシュ・クリーム』(1967)は、イギリス・ヒット・チャートのトップ5に入り、デビューしてすぐに周囲の期待どおり、グループは一気にロック・シーンの最前線に躍り出た。デビュー・シングル「包装紙」(1966)はむしろシュルレアリスティックなポップスという感じのつくりで、クリームのあまり語られない側面がうかがえるが、彼らの本領は違った。ジャズやポップスのメソッドを取り入れた過渡期的な側面もある。デビュー・アルバムはオリジナル曲よりは、ブルース曲のリメイクがレパートリーの大半を占めていた。極彩色のサイケデリックなジャケットが目をひくセカンド・アルバム『カラフル・クリーム』(1967)は、曲、演奏、プロダクションの三つがもっともバランスよく調和した代表作である。

 その後、強い個性をもったメンバー同士の軋轢(あつれき)がしだいにグループをむしばんでいった。彼らはレコード以上に、3人が対等に腕を競い合うライブ・パフォーマンスで絶大な人気を誇ったが、ライブの場は3人のエゴがぶつかり合う修羅場と化し、メンバーを消耗させる結果になる。それでも彼らには『クリームの素晴らしき世界』(1968)のような名盤をつくる力があったが、『グッバイ・クリーム』(1969)を最後に希代の名バンドは解散する。解散後ブルースはソロ・アーティストとして活動。ベーカーはクラプトンと行動をともにし、トラフィックのスティーブ・ウィンウッドSteve Winwood(1948― )らとブラインド・フェースを結成したほか、自身のバンド、ジンジャー・ベーカー・エア・フォースを率いるなどの活動を続けた。

[中山義雄]


クリーム(脂肪分)
くりーむ
cream

乳汁から分離採取した脂肪分。牛乳の脂肪分は3~4%であるが、搾りたてをそのまま静置しておくと、脂肪分がしだいに上部に浮上してくる。これをクリーム層といい、美味なので牧畜社会では古くから珍重されてきた。クリームは、タンパク質の皮膜に包まれた乳脂肪球が、牛乳中に微細に分散した水中油滴型のエマルジョンemulsion(乳状液)であって、現在では牛乳から遠心分離法によって、脂肪分80%程度のものまでつくることが可能である。厚生省令「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」では乳脂肪18%以上であって、乳成分以外の成分を含まないものを「クリーム」と定義しているが、一般には18~50%のものが多く利用されている。

[新沼杏二・和仁皓明]

特徴

クリームの組成は、目的とする乳脂肪含量のほか、タンパク質2~3%、乳糖3~3.5%、灰分0.5%を含んでいる。それ以外は水分で、食品衛生上牛乳と同様10℃以下に保管しておかなければならない。

 またクリームをホイップ(泡立て)しようとするときも、品温を10℃以下にする必要がある。すなわち、クリームをホイップする場合、気泡がクリームの中に取り込まれると同時に、タンパク質の膜で包まれている乳脂肪球が破壊され、遊離の固体脂肪が出てきて、気泡の周りを壁のように取り囲んで、しだいに固いホイップクリームになる。したがって、脂肪含量が30%以下ではホイップしにくく、またクリームが10℃以上になると、脂肪の一部が液化するのでうまくホイップしない。そこで、室温で温度が上がったクリームは、再度10℃以下に24時間以上おいて、脂肪を再結晶化させなければならない。また大きめの容器を氷で冷やしながら泡立てると失敗が少なく、ホイップしすぎると気泡がつぶれ、脂肪粒と水分に分かれてしまう。それを防ぐため、通常の市販品には微量の乳化剤や安定剤を添加しているものが多い。

[新沼杏二・和仁皓明]

種類と利用

クリームは、牛乳から分離したものをそのまま殺菌冷却した、いわゆる生(なま)クリーム(フレッシュクリーム)と、それを乳酸菌で発酵させたサワークリームの2種類に分けられる。いずれも脱脂乳の利用が徹底している牧畜社会では身近なものだが、サワークリームはとくに旧ソ連地域、北欧、東欧などで好まれている。

 クリームは、用途によってコーヒー用、ホイップ用、調理用、食品原料用などに分けて製造されている。一般にコーヒー用として使われるのは乳脂肪分18~20%前後のもので、ライトクリーム、テーブルクリームとよばれる。ホイップ用のものは乳脂肪分40~50%のもので、ヘビークリーム、ダブルクリームなどともよぶ。調理用の場合はその使用目的に応じて、脂肪含量は多岐にわたるが、一般に40~50%のものが多く用いられている。また乳脂肪分80%以上のものをプラスチッククリームとよぶが、製菓原料としてごく限られた利用しかされていない。調理用にはスープから魚、肉、野菜料理のソース、デザートなどに、風味のよさ、舌ざわりの滑らかさ、粘度などを加える目的で広く用いられている。なお、乳脂肪を植物油脂に置換したイミテーションクリームや、コーヒー添加用に粉末化したものなどが市販されているが、いずれもクリームの呼称は許されていない。

[新沼杏二・和仁皓明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クリーム」の意味・わかりやすい解説

クリーム
cream

牛乳から分離させた乳脂肪をいう。牛乳中の脂肪は他の乳成分より軽いので容器に入れて静置しておくと次第に浮上して黄白色の層が分離してくる。この部分がクリームであるが,今日ではクリームセパレーターにより遠心力で分離し,バター,アイスクリームなどの原料,あるいは市販クリームとして料理,製菓に用いる。酸度 0.2%以下,乳脂肪 18.0%以上のものがクリームと規格づけられているが,使用目的によりその脂肪含量が異なる。市販クリームとしてはホイップクリーム,コーヒークリーム,プラスチッククリーム,サワークリームなどの種類がある。ホイップクリームは比較的脂肪含量の高いもので,一定の条件下で攪拌することにより微細な気泡をクリーム中に吹込み,泡立ったままの状態で安定化させてある。調理用,喫茶用,製菓用として需要が多い。コーヒークリームはテーブルクリームとも呼ばれ,脂肪含量 20~30%のもので,コーヒーに入れた場合,フェザリングと呼ばれるカードを生成し,コーヒーの風味をまろやかにする。プラスチッククリームは脂肪 80~90%の含有量の高いもので,冷却によって固形状になるのでこの名がつけられている。おもに製菓用。サワークリームは純乳脂肪の生クリームに乳酸菌を加えて発酵させたもので,酸味があるのが特徴で,スープや煮込み料理などおもに調理用である。

クリーム
cream

化粧品の一種。形状は脂肪油,油ろう,水,乳化剤を混合した固形状の乳化物である。配合する原料により,油性,無油性,およびその中間性のものに分類できる。またその用途によって,(1) 肌や毛髪を保護し潤いを与える栄養クリーム ルブリケーティングクリーム,バニシングクリーム,ヘアクリーム,ハンドクリーム,(2) メーク・アップ用のなめらかな土台をつくる化粧用クリーム ファンデーションクリーム,(3) 肌のよごれを落す衛生洗浄クリーム クレンジングクリームコールドクリームなどがある。しかし多くのクリームはこれらの3つの機能が重なり合って作用しており,単独に機能するものは少い。このほかに特別な目的に使用するものとして漂白クリーム,日焼けどめクリーム,ニキビ・吹出物用クリーム,男性用シェービングクリームなどがある。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「クリーム」の解説

クリーム【cream】

①牛乳のなかの脂肪分を分離した、乳白色で濃度のある液体。◇「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」という厚生省(現厚生労働省)の省令では、乳脂肪分18%以上のものとしている。
②洋菓子やパンに用いられる、とろっとした甘みのある食品。①に砂糖を加えて泡立てたもののほか、カスタードクリームバタークリームなどがある。
◆①や①を泡立てたものは「生クリーム」ともいう。
③「アイスクリーム」の略。「クリームソーダ」「クリームあんみつ」など、複合語の形で用いることが多い。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

栄養・生化学辞典 「クリーム」の解説

クリーム

 牛乳を静置すると浮上してくる成分で,脂肪に富む画分.バターの製造その他,種々の目的に利用される.

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色名がわかる辞典 「クリーム」の解説

クリーム【cream】

クリームイエロー

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世界大百科事典(旧版)内のクリームの言及

【乳】より

…習慣づけられたのか,自発的に縦列に並ぶヤギの例もトルコにある。 乳の加工技術は一見,道具やいくつかの手法の組合せで,多様にみえるが,基本的には,(1)乳酸発酵させて,凝乳化させる酸凝乳技術系,(2)子の第四胃からとった凝固剤を入れて,凝乳化させる酵素凝乳技術系,(3)放置して浮上したクリームを分離し,のちに攪拌(かくはん)してバターを分離するクリーム分離技術系とに分けられる。(1)はヨーグルト,(2)はチーズ,(3)はクリームによって代表される。…

【ロック】より

…(2)ブルース・ロックblues rock 1960年代なかば,イギリス,アメリカ両方で,本来は黒人音楽だったブルースを,好んで演奏する白人ギタリストが人気を集めた。イギリスのエリック・クラプトンEric Clapton(1945‐ )がその好例で,彼を中心にした3人組クリームThe Creamは,わずか2年の活動ののち68年に解散したが,イギリスのロック史に不滅の足跡を残した。同じころアメリカで人気の高かったブルース・ロックのバンドに,ポール・バタフィールド・ブルース・バンドThe Paul Butterfield Blues Bandがあった。…

※「クリーム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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