クーナウ

百科事典マイペディア 「クーナウ」の意味・わかりやすい解説

クーナウ

ドイツの作曲家,オルガン奏者。1684年よりライプチヒのトマス教会のオルガン奏者となり,1701年同教会のカントルとなる。教会カンタータやクラビーア曲を多く書いた。クラビーア作品に初めてソナタ名称を用いたことでも知られ,聖書に取材した6曲のクラビーア曲《聖書ソナタ》(1700年出版)は,ドイツにおける標題音楽初期の例として有名。そのクラビーア音楽は,トマス教会の後任カントル,J.S.バッハにも影響を与えている。
→関連項目テレマン

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改訂新版 世界大百科事典 「クーナウ」の意味・わかりやすい解説

クーナウ
Johann Kuhnau
生没年:1660-1722

ドイツの中・後期バロックを代表する音楽家。1684年ライプチヒのトーマス教会のオルガン奏者となり,1701年同教会のカントルに就任(彼の死後J.S.バッハが着任)。現存するおもな作品は鍵盤音楽と教会音楽で,世俗の声楽作品はすべて失われた。《聖書ソナタ》(1700出版)は鍵盤楽器のための標題付ソナタの初期の例として重要。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クーナウ」の意味・わかりやすい解説

クーナウ
くーなう
Johann Kuhnau
(1660―1722)

ドイツ・バロック期の作曲家。4月6日ザクセンのガイジングに生まれる。ドレスデンの聖十字架学校に学び、ライプツィヒ大学法律を修める。1684年同地の聖トマス教会オルガニストとなったのち、1701年J・シェレの後任として大学音楽監督兼トマス・カントル(合唱長)に就任した。『聖書ソナタ』(1700・ライプツィヒ)に代表されるクラビア・ソナタは、イタリアのトリオ・ソナタをクラビアに移した多楽章ソナタとして歴史的な意味をもち、教会カンタータも多数書いている。ギリシア語、ラテン語、ヘブライ語を解し、フランス語イタリア語の翻訳家、有能な法律家としても多彩に活躍した。22年6月5日ライプツィヒに没したが、翌年、後任のトマス・カントルには大バッハが選ばれている。

[樋口隆一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クーナウ」の意味・わかりやすい解説

クーナウ
Kuhnau, Johann

[生]1660.4.6. ガイジング
[没]1722.6.5. ライプチヒ
ドイツのオルガニスト,作曲家,著述家。ドレスデンの聖十字学校を経て,1682年法律を学ぶためライプチヒに行き,84年同地の聖トマス教会のオルガニストとなる。 1701年,J. S.バッハの前任者としてトマス教会のカントルに任命された。作品は,主としてトマス・カントル時代に書かれた教会カンタータのほか,クラビア曲集が重要で,特に『聖書ソナタ』として知られる 1700年のクラビアのための作品は,標題音楽の初期の名作。著書には風刺的な『音楽のいかさま師』 Der musikalische Quacksalber (1700) がある。

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ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者) 「クーナウ」の解説

クーナウ

ドイツの作曲家、鍵盤楽器奏者、音楽理論家、人文学者、著述家、法律家。早くから楽才を現し、美声であった。ドレスデンにてオルガン、イタリア語、フランス語を学び、82年にライプツィヒ大学に入学して法律を学ぶ ...続き

出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報

世界大百科事典(旧版)内のクーナウの言及

【ソナタ】より

…その最初の例はシチリアのデル・ブオーノGioanpietro Del Buono(出版1641)に見られる。ライプチヒのクーナウの三つの曲集はよく知られ,とくに《聖書ソナタ》(出版1700)はこのジャンルにおける標題音楽の最初期の例として有名。(3)ほぼ同じ音域の2声部と通奏低音から成るトリオ・ソナタ 上2声はバイオリンあるいはビオル,ツィンク(コルネット),リコーダー,フラウト・トラベルソ,オーボエなど,通奏低音はチェロもしくはビオラ・ダ・ガンバ,ビオローネ,ファゴットなどと,チェンバロもしくはオルガン,テオルボなどの計4人で演奏される。…

【バッハ】より

…物質的にも精神的にも恵まれた生活を反映するかのように,ケーテン時代の作品には生命の喜びが躍動している。
[後期(1723‐50)]
 1722年6月,ザクセンの大都市ライプチヒではトーマス教会カントルの大作曲家J.クーナウが没し,後任としてハンブルクの音楽監督テレマンやダルムシュタットの宮廷楽長グラウプナーChristoph Graupner(1683‐1760)らが候補に上がった。しかし彼らが就任を拒否したため,市参事会は〈最良の人物が得られない以上,中庸な者でがまんしなければなるまい〉と言って,23年4月にバッハの採用を決定した。…

※「クーナウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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