グラス(英語表記)Grass, Günter

精選版 日本国語大辞典 「グラス」の意味・読み・例文・類語

グラス

[1] 〘語素〙 ガラス、ガラス製品の意を表わす。「グラスファイバー」「ボヘミアングラス
[2] 〘名〙
① ガラス。
風俗画報‐三六〇号(1907)大噴水「段々毎にグラスの円柱駢(なら)び立ち」
② 洋酒用のガラス製のコップ。いろいろの形がある。
※桑の実(1913)〈鈴木三重吉〉九「葡萄酒でも持って来て下さいな。小さい洋盞(グラス)を二つと」
③ 眼鏡や双眼鏡
令夫人(1903)〈尾崎紅葉〉下「双眼鏡を把(と)りて四方隈無く見遍(みわた)し居たりしが、忽ち何をか認めけん、覘(ねら)へる鏡(グラス)を有間(しばら)く持凝(もちこら)して」

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デジタル大辞泉 「グラス」の意味・読み・例文・類語

グラス(glass)

ガラス製のコップ。
ガラス。「ステンドグラス
眼鏡。「サングラス」「オペラグラス
[類語](1コップタンブラージョッキカップマグカップマグ湯飲み湯呑み茶碗/(2ガラス

グラス(Günter Grass)

[1927~2015]ドイツの小説家。幻想的でしかも鋭い社会批判を含む長編小説を発表。作「ブリキの太鼓」「犬の年」「ひらめ」など。

グラス(grass)

草。芝。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グラス」の意味・わかりやすい解説

グラス
Grass, Günter

[生]1927.10.16. ダンチヒ
[没]2015.4.13. リューベック
ドイツの小説家。ダンチヒ自由都市で育ち,第2次世界大戦末期の 1944年に 17歳でナチスの武装親衛隊 SSに入隊,1945年戦闘中に負傷して捕虜となった。戦後,ジュッセルドルフの美術学校で彫刻と絵画を学び,文学集団「47年グループ」に参加して詩や戯曲を発表した。1956年パリに移り,1960年以後は西ベルリンに定住。長編小説『ブリキの太鼓』Die Blechtrommel(1959)で「47年グループ」賞を受け,一躍世界的な名声を得た。この作品は,子供のまま成長の止まった主人公の視点から 20世紀前半の激動のダンチヒなどを描いたもの(→ダンチヒ問題)。のち,政治への参加を強め,ドイツ社会民主党のため精力的に活動した。2006年自伝『玉ねぎの皮をむきながら』の発表目前に,同書で述べた SS入隊の過去は事実であると告白,国内外に大きな波紋を投じた。おもな作品に,小説『猫と鼠』Katz und Maus(1961),『犬の年』Hundejahre(1963),『局部麻酔をかけられて』Örtlich betäubt(1969),『蝸牛の日記から』Aus dem Tagebuch einr Schnecke(1972),『ひらめ』Der Butt(1977),『テルクテの出会い』Das Treffen in Telgte(1979),『女ねずみ』Die Rättin(1986),『鈴蛙の呼び声』Unkenrufe(1992),『はてしなき荒野』Ein weites Feld(1995),『私の一世紀』Mein Jahrhundert(1999)などがある。1999年ノーベル文学賞を受賞。

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改訂新版 世界大百科事典 「グラス」の意味・わかりやすい解説

グラス
Günter Grass
生没年:1927-

ドイツの代表的小説家。詩人,劇作家,版画家,彫刻家でもある。自由都市ダンチヒ(現,ポーランド領グダンスク)に生まれた。父はドイツ人で,母は西スラブ系少数民族のカシューブ人。第2次大戦に17歳で召集され,負傷し捕虜となり,1946年に釈放された。その後,西ドイツ各地で農事手伝い,坑夫,石工などをしながら彫刻と絵を学び,詩と戯曲を書きはじめ,文学集団〈47年グループ〉に参加。長編処女作《ブリキの太鼓Die Blechtrommel》(1959)で,3歳で成長を止めたダンチヒ生れの男オスカルの目を通して,大戦前から現在に及ぶ時代相を活写し,奔放でしばしば猥雑な着想と機知とユーモアあふれる語り口で一躍世界の注目を浴びた。中編《猫と鼠》(1961)と長編《犬の年》(1963)でも,故郷の少年時を回顧しつつ,時流に翻弄される小市民たちの姿に,厳しい視線を注いだ。この後,漸進的社会民主主義の立場から政治参加の姿勢を強め,中編《局部麻酔》(1969)や中編《蝸牛(かたつむり)の日記から》(1972)などにも,それが端的に示された。長編話題作《ひらめ》(1977)では,新石器時代から現代に至る人類の歴史を,各時代を代表する11人の料理女の生涯に託して,奇想天外なエピソードを連ねて紡ぎ出し,物語の楽しさを満喫させるが,その底には行動する作家の不屈の政治意識が秘められている。《ブリキの太鼓》はシュレンドルフ監督で映画化され,1979年度カンヌ映画祭グラン・プリを受賞した。
執筆者:

グラス
glass

飲み物に用いるガラス製の食器で,英語glassはガラスと同義。コップという呼名もあるが,これはオランダ語kopに由来し,いまは平底の円筒型のものを指す。ガラス容器は繊細で色彩感に富み,また透明のものは中の溶体も見える特徴があり,多様なデザインと用途がある。一般的には材質はほとんどがソーダガラスであるが,カリクリスタルガラス,鉛クリスタルガラスも用いられる。後者は酸化鉛を含んだもので,含有率25%以上が上質とされ,カット加工をほどこしてカット・グラスとも呼ばれることが多い。大量生産品のグラスは機械で成型し,歪みの発生を防ぎ熱や衝撃に耐えるように,徐冷炉で時間をかけて冷ます。成型後に再び熱処理をして強度を高める方法もとられ,一般にはグラスがぶつかりやすい上縁部の口部強化が普及している。

 形状は平底のものと,脚つきのものに大別され,前者にオールドファッション,タンブラー,後者にゴブレットワイングラスがある。ワイングラスはワインの生産地の伝統を受けついで用いる型も異なるが,香りを逃がさないよう口がすぼまった形が基本で,注ぐときも半分から7分目くらいにとどめておく。ワインのテストでは容量215mlのISO(国際標準規格)のグラスに50mlを入れて,色,香り,味を調べる。
ガラス工芸
執筆者:


グラス
Hiram Bentley Glass
生没年:1906-

アメリカの生物学者。中国の生れ。1926年,テキサス州ウェーコーのベーラー大学を卒業,32年テキサス大学で博士号を取得。高校教師から1952年ジョンズ・ホプキンズ大学教授。ショウジョウバエ遺伝学,人類遺伝学,Rh血液型など幅広く生物学を研究,また遺伝学の歴史にも関心を示し,《ダーウィンの先駆者たち》(1959)を編纂。生物学のみならず科学全般に関して教育,普及に努める。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「グラス」の意味・わかりやすい解説

グラス

ドイツの作家。ダンチヒ(現,ポーランド領グダンスク)に生まれた。第2次世界大戦では捕虜生活を経験,1947年釈放されたが,窮乏生活を続けながら詩や戯曲を書きはじめ,文学集団〈47年グループ〉に参加した。3歳で成長を止めた男オスカルの目を通し戦中戦後のドイツの精神と風俗を皮肉に描いた長編小説《ブリキの太鼓》(1959年)で名声を得た。《猫と鼠》(1961年)ののち《犬の年》(1963年)などを発表。以後,政治活動にも積極的に参加した。さらに《ひらめ》(1977年),《女ねずみ》(1986年)と問題作を発表しながら,スケッチや版画の作品も制作している。1999年ノーベル文学賞を受賞。

グラス

一般に飲物用ガラス器をいう。種類は多く,コップと通称されるタンブラーは水飲み用で8オンス(240ml)入りが標準。洋酒用は多くはステムウェアと称し細い足がつき,入れる酒の種類によって形が異なる。リキュールやシェリーなど強い酒用は小型,ワイン用は幾分大きく,シャンパンやカクテル用はさらに大きい。ゴブレットはタンブラーに足のついた形でビールや水飲み用。ブランデー用は手で温めて飲むのに適した形をしていて,パンチ用のパンチグラスは取手がついている。ウィスキーグラスは1オンス(30ml)入りがシングルで,ダブルは倍になり,オンザロックにはオールドファッション型を用いる。

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食器・調理器具がわかる辞典 「グラス」の解説

グラス【glass】

ガラス製の飲み物用のうつわ。材質はソーダガラスが一般的であるが、クリスタルガラス製の高価なものもある。タンブラーワイングラスカクテルグラスゴブレットなど多種多様なものがある。

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岩石学辞典 「グラス」の解説

グラス

花崗岩がその場で崩壊してできた破片の堆積物で,組成はほとんど分解していない.すでにこの語は,すべての岩石の細粒化した岩屑で,風化作用による分解を受けていないものに用いられていた[Loewinson-Lessing : 1893, Pettijohn, et al. : 1972].ラテン語のgrusは鶴の意味.

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「グラス」の解説

グラス【glace(フランス)】

①氷菓子。◇フランス料理で、アイスクリームやシャーベットなどの総称として用いる。
②アイシング。⇒アイシング

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世界大百科事典(旧版)内のグラスの言及

【カクテル】より

… カクテルはショートドリンクとロングドリンクに分けられる。ショートドリンクは,アルコール分の強いものを主として脚のついたグラスで飲むもの。ロングドリンクはトールドリンクともいい,タンブラーなど背の高いグラスに入れた飲み物の意で,分量が多いからアルコールは弱めとなる。…

※「グラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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