グラス(読み)ぐらす(その他表記)glass

翻訳|glass

デジタル大辞泉 「グラス」の意味・読み・例文・類語

グラス(glass)

ガラス製のコップ。
ガラス。「ステンドグラス
眼鏡。「サングラス」「オペラグラス
[類語](1コップタンブラージョッキカップマグカップマグ湯飲み湯呑み茶碗/(2ガラス

グラス(Günter Grass)

[1927~2015]ドイツの小説家。幻想的でしかも鋭い社会批判を含む長編小説を発表。作「ブリキの太鼓」「犬の年」「ひらめ」など。

グラス(grass)

草。芝。

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精選版 日本国語大辞典 「グラス」の意味・読み・例文・類語

グラス

  1. ( [英語] glass )
  2. [ 1 ] 〘 造語要素 〙 ガラス、ガラス製品の意を表わす。「グラスファイバー」「ボヘミアングラス
  3. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. ガラス。
      1. [初出の実例]「段々毎にグラスの円柱駢(なら)び立ち」(出典:風俗画報‐三六〇号(1907)大噴水)
    2. 洋酒用のガラス製のコップ。いろいろの形がある。
      1. [初出の実例]「葡萄酒でも持って来て下さいな。小さい洋盞(グラス)を二つと」(出典:桑の実(1913)〈鈴木三重吉〉九)
    3. 眼鏡や双眼鏡。
      1. [初出の実例]「双眼鏡を把(と)りて四方隈無く見遍(みわた)し居たりしが、忽ち何をか認めけん、覘(ねら)へる鏡(グラス)を有間(しばら)く持凝(もちこら)して」(出典:令夫人(1903)〈尾崎紅葉〉下)

ぐら・す

  1. 〘 他動詞 サ行四段活用 〙
  2. はぐらかす。ごまかす。
    1. [初出の実例]「赤紙で器量をぐらす西瓜見世」(出典:雑俳・後の花(1738))
  3. 告げる。暴露する。ばらす。
    1. [初出の実例]「お娘(むす)は丁稚めがしめておる事を、聟の山家屋へぐらすは」(出典:浄瑠璃・染模様妹背門松(1767)上)
  4. 種を明かす。
    1. [初出の実例]「ぐらす、種を明す」(出典:南水漫遊拾遺(1820頃)四)
  5. 陰部を出す。
    1. [初出の実例]「前のものだすを、ぐらす」(出典:当世花詞粋仙人(1832))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グラス」の意味・わかりやすい解説

グラス(ガラス食器)
ぐらす
glass

ガラス食器のうち、主として飲み物を入れる器をいう。グラスの原形は家畜の角(つの)で、古代の西洋ではウシなどの角を用いて酒を飲んでいた。やがてこれを模したリュトンとよばれるものがつくられるようになるが、底がとがっていてテーブルなどに置けないため、これに脚や平らな底がつけられるようになった。さらに、酒の発達とともに用途に応じたさまざまなものがつくられるようになり、現在に至っている。用途によりアルコール飲料用と清涼飲料用に大別され、アルコール用はさらに、ストレートの酒類を入れるものと、カクテルを入れるものに分けられる。

 ストレートの酒類を入れるものには、ウイスキーグラスシャンパングラスブランデーグラスワイングラスリキュールグラスなどがある。ウイスキーグラスは、ウイスキーをストレートで飲むためのもので、タンブラーを小形にしたような形をしており、シャンパングラスは口径が広くて底が浅く、脚がついている。ブランデーグラスは脚が短くて口径が小さく、底が膨らんで広くなっているが、これは、ブランデーの香りを逃さないようにする一方、手で温めたときに香りが出やすくなるように考えられたもので、材質も薄手である。ワイングラスには、細くて容量の少ない白ワインやシェリー用グラス、赤やロゼ用のすこし丸みのあるグラス、ポートワイン用の上部がつぼまったグラスなどがある。白ワイン用グラスのほうが赤ワイン用に比べて容量が少ないのは、飲み方の相違からで、白ワインは冷やして飲むため、すぐまた注げるようにくふうされたものである。これに対し、赤ワインは常温で飲むため、白ワイン用より容量が多くなっている。強い酒をストレートで飲むためのリキュールグラスも、容量は少ない。

 カクテルを入れるカクテルグラスには逆円錐形のものと丸形のものがあり、いずれも脚がついている。容量は普通60~70ミリリットルで、カクテルの種類により、脚のない細長いグラスが用いられることもある。このほか、ほっそりした形で脚つきのサワーグラス、小さい取っ手のついたパンチグラス(パンチボウルとセットになっていることが多い)などもある。

 清涼飲料用としては、タンブラーやゴブレットなどがあり、普通平底のコップ形のものをタンブラーといって(シリンダー形ともいう)、容量が5、6、8、10、12、20オンス(1オンス=約28.41ミリリットル)のものがある。ゴブレットというのは、タンブラーに脚をつけたような形のグラスの総称で、容量は240ミリリットルくらいである。そのほか用途により、各種のパフェやサンデーなどを盛るためのパフェグラス、サンデーグラス、ビールのジョッキ、冷茶用グラス、アイスティー用グラス、飲み物ではないがオイスターカクテル用のグラスなども含まれる。

[河野友美・大滝 緑]

材質と選び方・手入れ

グラスには各種のガラスが使用されているが、ガラスの質によって中に入れるものの味が影響されることがある。とくにワインやウイスキーなどは、液の色がきれいに見えるかどうかで味わいに大きな影響が出るため、セミクリスタルガラスなどの光の屈折率が高いものが多く使用される。着色ガラスの場合も、中に入れるものとあったグラスを選ばないと、飲み物が汚い色に見えるので注意を要する。一方、家庭で日常用いられるグラス類には、強化ガラスなどを使ったじょうぶなものがよい。またグラスは、上下からの圧力には強いが横からの衝撃には弱いので、収納するときなどグラスどうしが当たらないよう、すこし間をあけて並べるとよい。

 洗うときには傷がつかないようにスポンジで、微温湯に中性洗剤を加えてよく洗い、ほぼ乾いたころにふきんで磨くようにしてふくと、きれいになる。なお耐熱性の低いガラスを使用したものは、熱湯で洗うと破損することがある。また、クレンザーや金属たわしなどで洗うとグラスに傷がつくので、使用しないほうがよい。

[河野友美・大滝 緑]



グラス(Günter Grass)
ぐらす
Günter Grass
(1927―2015)

ドイツの小説家。ダンツィヒ(現、ポーランドグダニスク)に食料品店主の子として生まれる。父はドイツ人で、母は西スラブ系少数民族のカシュバイ人。第二次世界大戦下、17歳で戦車兵となり、負傷して入院、アメリカ軍捕虜となり、1946年に釈放される。のち、旧西ドイツでカリ鉱山の運搬係、石工見習、ジャズバンドマンなどの職につき、1948年から3年間はデュッセルドルフ美術学校で彫刻と版画を学ぶ。1955年、南ドイツ放送の叙情詩コンクールに入賞してから詩人、不条理演劇の作家として一部に認められるが、やがて長編処女作『ブリキの太鼓』(1959)を発表し、戦後最大の物語作家として世界の注目を浴びた。続く中編『猫と鼠(ねずみ)』(1961)、長編『犬の年』(1963)でも前作同様ダンツィヒを舞台に、戦前から戦後にわたる時代の過誤と対決している。1961年から政治に参加し、終始社会民主党にくみして精力的に応援活動を続けてきた。その模様は戯曲『賤民(せんみん)の暴動稽古(けいこ)』(1966)、評論集『自明のことについて』(1968)、中編『蝸牛(かたつむり)の日記から』(1972)などに端的に示されている。1977年には、人類の歴史全般を視野に収める大作『ひらめ』を発表し、物語作家としても健在ぶりを示した。その後も創作活動は活発で、『頭脳の所産』(1980)、『女ねずみ』(1984)、『鈴蛙(すずがえる)の呼び声』(1992)、『はてしなき荒野』(1995)、評論集『抵抗を学ぶ』(1984)、『ドイツ統一問題について』(1990)などがある。1981年核兵器の廃絶を訴える文学者声明に署名。1982年社会民主党に入党(1992年離党)。1990年10月のドイツ統一に際しては、西ドイツ政府の統一政策に反対した。1978年(昭和53)来日。1999年ノーベル文学賞受賞。

[宮原 朗]

『中野孝次訳『犬の年』上下(1969・集英社)』『高本研一訳『蝸牛の日記から』(1976・集英社)』『マルグル・フリッツェ編、高本研一・斎藤寛訳『ギュンター・グラスの40年――仕事場からの報告』(1996・法政大学出版局)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グラス」の意味・わかりやすい解説

グラス
Grass, Günter

[生]1927.10.16. ダンチヒ
[没]2015.4.13. リューベック
ドイツの小説家。ダンチヒ自由都市で育ち,第2次世界大戦末期の 1944年に 17歳でナチスの武装親衛隊 SSに入隊,1945年戦闘中に負傷して捕虜となった。戦後,ジュッセルドルフの美術学校で彫刻と絵画を学び,文学集団「47年グループ」に参加して詩や戯曲を発表した。1956年パリに移り,1960年以後は西ベルリンに定住。長編小説『ブリキの太鼓』Die Blechtrommel(1959)で「47年グループ」賞を受け,一躍世界的な名声を得た。この作品は,子供のまま成長の止まった主人公の視点から 20世紀前半の激動のダンチヒなどを描いたもの(→ダンチヒ問題)。のち,政治への参加を強め,ドイツ社会民主党のため精力的に活動した。2006年自伝『玉ねぎの皮をむきながら』の発表目前に,同書で述べた SS入隊の過去は事実であると告白,国内外に大きな波紋を投じた。おもな作品に,小説『猫と鼠』Katz und Maus(1961),『犬の年』Hundejahre(1963),『局部麻酔をかけられて』Örtlich betäubt(1969),『蝸牛の日記から』Aus dem Tagebuch einr Schnecke(1972),『ひらめ』Der Butt(1977),『テルクテの出会い』Das Treffen in Telgte(1979),『女ねずみ』Die Rättin(1986),『鈴蛙の呼び声』Unkenrufe(1992),『はてしなき荒野』Ein weites Feld(1995),『私の一世紀』Mein Jahrhundert(1999)などがある。1999年ノーベル文学賞を受賞。

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改訂新版 世界大百科事典 「グラス」の意味・わかりやすい解説

グラス
Günter Grass
生没年:1927-

ドイツの代表的小説家。詩人,劇作家,版画家,彫刻家でもある。自由都市ダンチヒ(現,ポーランド領グダンスク)に生まれた。父はドイツ人で,母は西スラブ系少数民族のカシューブ人。第2次大戦に17歳で召集され,負傷し捕虜となり,1946年に釈放された。その後,西ドイツ各地で農事手伝い,坑夫,石工などをしながら彫刻と絵を学び,詩と戯曲を書きはじめ,文学集団〈47年グループ〉に参加。長編処女作《ブリキの太鼓Die Blechtrommel》(1959)で,3歳で成長を止めたダンチヒ生れの男オスカルの目を通して,大戦前から現在に及ぶ時代相を活写し,奔放でしばしば猥雑な着想と機知とユーモアあふれる語り口で一躍世界の注目を浴びた。中編《猫と鼠》(1961)と長編《犬の年》(1963)でも,故郷の少年時を回顧しつつ,時流に翻弄される小市民たちの姿に,厳しい視線を注いだ。この後,漸進的社会民主主義の立場から政治参加の姿勢を強め,中編《局部麻酔》(1969)や中編《蝸牛(かたつむり)の日記から》(1972)などにも,それが端的に示された。長編話題作《ひらめ》(1977)では,新石器時代から現代に至る人類の歴史を,各時代を代表する11人の料理女の生涯に託して,奇想天外なエピソードを連ねて紡ぎ出し,物語の楽しさを満喫させるが,その底には行動する作家の不屈の政治意識が秘められている。《ブリキの太鼓》はシュレンドルフ監督で映画化され,1979年度カンヌ映画祭グラン・プリを受賞した。
執筆者:


グラス
glass

飲み物に用いるガラス製の食器で,英語glassはガラスと同義。コップという呼名もあるが,これはオランダ語kopに由来し,いまは平底の円筒型のものを指す。ガラス容器は繊細で色彩感に富み,また透明のものは中の溶体も見える特徴があり,多様なデザインと用途がある。一般的には材質はほとんどがソーダガラスであるが,カリクリスタルガラス,鉛クリスタルガラスも用いられる。後者は酸化鉛を含んだもので,含有率25%以上が上質とされ,カット加工をほどこしてカット・グラスとも呼ばれることが多い。大量生産品のグラスは機械で成型し,歪みの発生を防ぎ熱や衝撃に耐えるように,徐冷炉で時間をかけて冷ます。成型後に再び熱処理をして強度を高める方法もとられ,一般にはグラスがぶつかりやすい上縁部の口部強化が普及している。

 形状は平底のものと,脚つきのものに大別され,前者にオールドファッション,タンブラー,後者にゴブレット,ワイングラスがある。ワイングラスはワインの生産地の伝統を受けついで用いる型も異なるが,香りを逃がさないよう口がすぼまった形が基本で,注ぐときも半分から7分目くらいにとどめておく。ワインのテストでは容量215mlのISO(国際標準規格)のグラスに50mlを入れて,色,香り,味を調べる。
ガラス工芸
執筆者:



グラス
Hiram Bentley Glass
生没年:1906-

アメリカの生物学者。中国の生れ。1926年,テキサス州ウェーコーのベーラー大学を卒業,32年テキサス大学で博士号を取得。高校教師から1952年ジョンズ・ホプキンズ大学教授。ショウジョウバエ遺伝学,人類遺伝学,Rh血液型など幅広く生物学を研究,また遺伝学の歴史にも関心を示し,《ダーウィンの先駆者たち》(1959)を編纂。生物学のみならず科学全般に関して教育,普及に努める。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「グラス」の意味・わかりやすい解説

グラス

ドイツの作家。ダンチヒ(現,ポーランド領グダンスク)に生まれた。第2次世界大戦では捕虜生活を経験,1947年釈放されたが,窮乏生活を続けながら詩や戯曲を書きはじめ,文学集団〈47年グループ〉に参加した。3歳で成長を止めた男オスカルの目を通し戦中戦後のドイツの精神と風俗を皮肉に描いた長編小説《ブリキの太鼓》(1959年)で名声を得た。《猫と鼠》(1961年)ののち《犬の年》(1963年)などを発表。以後,政治活動にも積極的に参加した。さらに《ひらめ》(1977年),《女ねずみ》(1986年)と問題作を発表しながら,スケッチや版画の作品も制作している。1999年ノーベル文学賞を受賞。

グラス

一般に飲物用ガラス器をいう。種類は多く,コップと通称されるタンブラーは水飲み用で8オンス(240ml)入りが標準。洋酒用は多くはステムウェアと称し細い足がつき,入れる酒の種類によって形が異なる。リキュールやシェリーなど強い酒用は小型,ワイン用は幾分大きく,シャンパンやカクテル用はさらに大きい。ゴブレットはタンブラーに足のついた形でビールや水飲み用。ブランデー用は手で温めて飲むのに適した形をしていて,パンチ用のパンチグラスは取手がついている。ウィスキーグラスは1オンス(30ml)入りがシングルで,ダブルは倍になり,オンザロックにはオールドファッション型を用いる。

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食器・調理器具がわかる辞典 「グラス」の解説

グラス【glass】

ガラス製の飲み物用のうつわ。材質はソーダガラスが一般的であるが、クリスタルガラス製の高価なものもある。タンブラーワイングラスカクテルグラスゴブレットなど多種多様なものがある。

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岩石学辞典 「グラス」の解説

グラス

花崗岩がその場で崩壊してできた破片の堆積物で,組成はほとんど分解していない.すでにこの語は,すべての岩石の細粒化した岩屑で,風化作用による分解を受けていないものに用いられていた[Loewinson-Lessing : 1893, Pettijohn, et al. : 1972].ラテン語のgrusは鶴の意味.

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「グラス」の解説

グラス【glace(フランス)】

①氷菓子。◇フランス料理で、アイスクリームやシャーベットなどの総称として用いる。
②アイシング。⇒アイシング

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のグラスの言及

【オルコメノス】より

…ミニュアスとは,この時代の伝説上の王の名である。しかしこの王国の強大さを示すものは,むしろコパイス湖の小島グラスの遺跡で,城壁でかためた全島約2万m2の地域の一端に両翼部から成る宮殿址が残っている。これはオルコメノスの支城と考えられている。…

【カクテル】より

… カクテルはショートドリンクとロングドリンクに分けられる。ショートドリンクは,アルコール分の強いものを主として脚のついたグラスで飲むもの。ロングドリンクはトールドリンクともいい,タンブラーなど背の高いグラスに入れた飲み物の意で,分量が多いからアルコールは弱めとなる。…

※「グラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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