実用性のある発電機を製造したことで著名な電気技術者。ベルギーに生まれ,指物師として修業した。1853年に大きな永久磁石を使った発電機を製造していたパリのアリアンス社Société L'Allianceに入ってから物理を勉強した。パチノッティA.Pacinotti(1841-1912)によって発明された環状電機子をグラムは再発明し,発電機に適用した(グラム発電機の発売は1870年)。グラム発電機では,絶縁コーティングした鉄線を巻いて電機子鉄心にするなどのくふうがされており,大きさ,重量の割りに大出力で経済性が高かった。直流発電機はグラム機械でもってひとまず完成したということができる。グラム機械は各国で生産され,〈グラム機械〉という語は直流機の代名詞のように使われた。78年にグラムは実用性のある最初の交流機を発売した。
執筆者:高橋 雄造
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ベルギーの電気技術者。早くから建具屋の見習いとして働いた。成人してのちパリの電気機器製造会社に勤め、電気技術の研究を始めた。当時は各地で実用的な発電機を目ざして試行錯誤が繰り返されていたが、1870年、パチノッティの環状電機子を改良し、均一電流が得られる最初の実用的な直流発電機を製作した。翌1871年グラム商会を設立し、その改良と製作にあたった。グラム発電機は磁石発電機に比べ高効率で、寸法と重量が小さく、しかも大出力であったため、灯台照明用を中心に急速に普及した。
[高橋智子]
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出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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