グランドキャニオン(読み)ぐらんどきゃにおん(その他表記)Grand Canyon

翻訳|Grand Canyon

デジタル大辞泉 「グランドキャニオン」の意味・読み・例文・類語

グランド‐キャニオン(Grand Canyon)

米国アリゾナ州北部の大峡谷コロラド川コロラド高原を浸食してできたもので、長さ350キロ、深さ1600メートル。国立公園。1979年、世界遺産自然遺産)に登録された。

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精選版 日本国語大辞典 「グランドキャニオン」の意味・読み・例文・類語

グランド‐キャニオン

  1. ( Grand Canyon ) アメリカ合衆国西部、コロラド川がコロラド高原を浸食して形成された大峡谷。延長約四五〇キロメートル。幅六~三〇キロメートル。最深約一六〇〇メートル。谷壁には始生代以来の七億年に達する無数の地層が重なり、各地層の色彩も多種類にわたる。雄大な峡谷美をほこる国立公園。大峡谷。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グランドキャニオン」の意味・わかりやすい解説

グランド・キャニオン(アメリカ合衆国)
ぐらんどきゃにおん
Grand Canyon

アメリカ合衆国、アリゾナ州北部にあるコロラド川の大峡谷。コロラド高原の西部にあり、リトル・コロラド川との合流点付近からミード湖に至る約350キロメートルの区間にある。規模雄大で、幅6~30キロメートル、深さ1600メートルに達する。谷壁は階段状になっており、植生がなく、先カンブリア時代からペルム紀(二畳紀)の地層までの岩相が観察できるため、地質学的にきわめて重要な場所である。最下部の先カンブリア系(下部がアーキアン、上部がアルゴンキアン)を不整合にカンブリア系が覆い、オルドビス系シルル系を欠いて平行不整合にミシシッピ系とペンシルベニア系がのり、最上部を二畳系のカイバブ石灰岩が覆い、台地の表面を形づくっている。さらに中生代の地層がのっていたが、過去の侵食により消滅したと考えられる。かつてユタ州南部からアリゾナ州北部にかけて南北に細長い隆起帯が生じ、コロラド川はその東側の内陸水系と西側のフアラパイ水系とに分かれていたが、後者がこの隆起帯をしだいに侵食しながらグランド・キャニオンを形成し、ついに内陸水系を奪ったのである。

 峡谷の北側をカイバブ高原、その縁をノース・リム、南側をココニノ高原、その縁をサウス・リムとよぶ。中心部は1919年にグランド・キャニオン国立公園として指定され、多くの観光客が訪れている。サウス・リムは一年中入園できるが、ノース・リムは夏季だけ開園される。峡谷を横切るには、徒歩やロバに乗って通る小道しかなく、対岸へ自動車で行くには最短で350キロメートルもの迂回をする必要がある。縁から望む谷壁の景観は雄大で、とくに朝日と夕日を浴びたときの光景はすばらしい。やや下流側には1932年に指定されたグランド・キャニオン国定記念物公園がある。ここには峡谷の縁に約100万年前の新しい火山がのっており、溶岩が谷壁を流下した跡がある。峡谷は1540年にヨーロッパ人として初めてスペインのカルデナス隊によって発見された。

[鶴見英策]

世界遺産の登録

グランド・キャニオン中心部の国立公園は1979年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「グランド・キャニオン国立公園」として世界遺産の自然遺産に登録された(世界自然遺産)。

[編集部]



グランド・キャニオン(グローフェの管弦楽組曲)
ぐらんどきゃにおん
Grand Canyon suite

アメリカの作曲家グローフェの管弦楽組曲。「大峡谷」と訳されることもあり、5楽章からなる。1931年シカゴ初演。アリゾナ州グランド・キャニオン峡谷のさまざまな情景を描写した音楽で、各楽章には「日の出」「日没」などの題名がつけられている。親しみやすい旋律と色彩豊かな管弦楽法による明快な表現は、数多い標題音楽のなかでもとくに優れたものであり、そのため教育の場でも、音楽による「連想」を経験するための教材として取り上げられることが多い。

[三宅幸夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「グランドキャニオン」の意味・わかりやすい解説

グランド・キャニオン
Grand Canyon

アメリカ合衆国南西部,コロラド川中流部の大峡谷。アリゾナ州北西部にあり,付近一帯は1919年指定のグランド・キャニオン国立公園(面積2726km2)。コロラド川がコロラド高原を刻んだ峡谷で,谷の深さが1600m以上に達するところもある。多くの段丘をもつ絶壁が400km以上にわたって連続し異様な景観をなす。谷壁の地層はほぼ水平で,最下部は最古の始生代,最上部は新生代の地層からなる。地層の色彩はさまざまだが,乾燥地域のため全体としては赤みを帯びている。両岸をつなぐ橋は狭い吊橋が1本あるだけで,自動車は通れない。下流部はミード湖国立レクリエーション地域に指定されている。冒険的な川下り,ラス・ベガスからの遊覧飛行でも知られる観光地である。1540年にスペイン人G.L.deカルデナスが白人としては最初にこの地を訪れ,スペイン語で〈大峡谷Grand Cañon〉と呼んだ。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グランドキャニオン」の意味・わかりやすい解説

グランドキャニオン
Grand Canyon

アメリカ合衆国コロラド高原にある峡谷。幅 0.2~29km。谷の深さは最高 1800m。アリゾナ州とユタ州の境にあるマーブル峡谷からネバダ州境のグランドウォッシュ崖までの約 450kmをさす。この中で最も雄大な景観を呈する区間 90km,面積 4931km2が 1919年国立公園に指定された。コロラド川の下方浸食と両岸の隆起作用とが相まって深い谷が形成されたもので,谷壁断面の地層はほぼ水平である。各地質年代の石灰岩や頁岩,砂岩などが互層をなし,その下は花崗岩や片岩からなる。高原上には黒色溶岩や新しい火山錐がみられる。地層中からは,藻類,植物,恐竜などを含め種々の化石が発見される。アメリカで最も人気のある観光地の一つで,年間 200万人以上が訪れる。1979年世界遺産の自然遺産に登録。

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デジタル大辞泉プラス 「グランドキャニオン」の解説

グランド・キャニオン

アメリカの作曲家ファーディ・グローフェの管弦楽用組曲(1931)。原題《Grand Canyon》。『大峡谷』とも呼ばれる。グローフェの代表作の一つ。

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世界大百科事典(旧版)内のグランドキャニオンの言及

【峡谷】より

…また,乾燥気候下にあり,谷壁斜面上で雨食や風化が進まない地域の方が峡谷の形成に好都合な条件を備えている。世界的に有名なアメリカ合衆国のグランド・キャニオンは,コロラド川がコロラド高原を延長450kmにわたって平均1600mの深さに下刻した結果である。また同国のヨセミテ峡谷は花コウ岩の垂直な絶壁で知られるが,峡谷の原形は氷河の浸食によってできたものである。…

※「グランドキャニオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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