けい灰石(読み)ケイカイセキ

化学辞典 第2版 「けい灰石」の解説

けい灰石
ケイカイセキ
wollastonite

Ca(SiO3).ウォラストナイトともいう.イノケイ酸塩に属し,SiO4の四面体が長い鎖状をなす.天然には変成作用を受けた石灰岩接触変成帯に産出する.

CaCO3 + SiO2 → CaSiO3 + CO2

の反応,またはCa6(Si6O17)(OH)2(ゾノトラ石)の加熱により得られる.三斜晶系.空間群Pa0 = 0.794,b0 = 0.732,c0 = 0.732 nm.α = 90°03′,β = 95°17′,γ=102°28′.葉片状または繊維状集合体.双晶面(100).へき開{100}完全,{101}{02}良.硬度4.5~5.密度2.87~3.09 g cm-3,白,無色,灰色n1.616~1.653.複屈折0.013~0.014.二軸性.負.2 V 38~60°.パラけい灰石(P 21),シウドけい灰石(P)と多形関係にある.濃塩酸に侵される.タイル表地,電気絶縁磁器などの原料,製紙用フィラーなどに利用され,わが国では天然原料以外に上質の合成けい灰石がロータリーキルンにより製造されている.

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改訂新版 世界大百科事典 「けい灰石」の意味・わかりやすい解説

ケイ(珪)灰石 (けいかいせき)
wollastonite

化学成分CaSiO3の鎖状構造をもつ準輝石に属する三斜晶系の鉱物。比重2.92,モース硬度4.5~5,融点1512℃,白色繊維状あるいは細粒結晶の集合塊。へき開は{100}に顕著,{001}や{102}にも強い。ほかに単斜晶系のパラケイ灰石parawollastoniteをはじめいくつかの多型構造がある。1150℃以上では同質異晶の3員環(SiO33構造をもつ偽ケイ灰石pseudowollastoniteに転移する。石灰岩中の貫入岩による接触変成作用から生ずるのが一般的で,高度の広域変成作用によっても生ずる。共生鉱物として方解石,ザクロ石,透輝石ベスビアナイトがある。マンガン,鉄,マグネシウムなどをわずかに固溶するが,一般に組成は一定している。工業的には釉薬や絶縁碍子に用いられる。
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百科事典マイペディア 「けい灰石」の意味・わかりやすい解説

ケイ(珪)灰石【けいかいせき】

石灰岩と花コウ岩類の接触帯などに産する白色または灰色のガラス光沢の鉱物(スカルン鉱物)。組成はCaSiO3。三斜晶系で結晶は短柱状または繊維状。へき開が著しい。硬度4.5〜5,比重2.87〜3.09。窯業に利用。単斜晶系に属するものもあり,これはパラケイ灰石と呼ばれている。
→関連項目輝石

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「けい灰石」の意味・わかりやすい解説

ケイ灰石
けいかいせき
wollastonite

CaSiO3 。三斜晶系に属する鉱物。硬度 4.5~5,比重 2.87~3.09。白色ないし灰白色,真珠光沢。石灰質の接触および広域変成岩に出現する CaSiO3 鉱物は大部分ケイ灰石で,柘榴石,ベスブ石,透輝石などを伴う。床や壁のタイル,電気絶縁材などとして窯業に使われる。

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