コックス(読み)こっくす(英語表記)Robert Joseph Cox

デジタル大辞泉 「コックス」の意味・読み・例文・類語

コックス(Richard Cocks)

[?~1624]英国の在日商館長。1613年東インド会社の商船で来日。平戸に商館を創立し、対日貿易拡大に努力したが、オランダ商館との競争に敗れて離日。帰国途中に死亡した。その日記は当時を知る貴重な史料。

コックス(cox)

レース用ボートの舵手だしゅ。かじ取り。コックスン。

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精選版 日本国語大辞典 「コックス」の意味・読み・例文・類語

コックス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] cox ) ボート競技の舵手(だしゅ)。かじをとると同時に艇の速度を指示する。コックスン。
    1. [初出の実例]「高等中学には中村是公氏がストローク、池田賢太郎氏がコックス」(出典:日本野球史(1929)〈国民新聞社運動部〉一高軍雪辱に起つ)

コックス

  1. ( Richard Cocks リチャード━ ) イギリスの平戸商館長。慶長一八年(一六一三)来日、肥前国平戸に商館を開設。しばしば江戸、駿府を訪れて、徳川家康・秀忠と会う。オランダ商館と競って敗れ、元和九年(一六二三)商館を閉鎖、帰国途中、没した。その日記は貴重な史料。一六二四年没。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コックス」の意味・わかりやすい解説

コックス(Robert Joseph Cox)
こっくす
Robert Joseph Cox
(1941― )

アメリカのプロ野球選手(右投右打)、監督。大リーグ(メジャー・リーグ)の選手としては1968、69年ニューヨーク・ヤンキースでおもに三塁手としてプレーした。1978年からアトランタ・ブレーブストロント・ブルージェイズで監督として采配(さいはい)を振るう。1990年代にブレーブスの黄金時代を築き上げた名監督である。

 5月21日、オクラホマ州タルサで生まれる。リードリー短大から1959年、ドジャースに入団。しかし、現役時代はチャンスに恵まれず、大リーグに昇格できたのは1968年と69年のヤンキースでの、2年間だけだった。1971年までマイナー・リーグでプレーし、最後はヤンキース傘下のA級球団に在籍したが、二塁手兼監督で、さらには投手としても3試合に登板した。1972年からはマイナーでの監督業に専念。1977年にはヤンキースのコーチに昇格した。翌78年からはブレーブスの監督に就任。1981年まで指揮を執ったが、好成績をあげることはできなかった。1982年からはブルージェイズの監督となった。徐々に成績を伸ばし、1985年に球団初の地区優勝をもたらし、アメリカン・リーグの最優秀監督賞を受賞した。翌86年からはブレーブスのGM(ゼネラルマネジャー)となり、89年まで在任。1990年のシーズン途中からは、ふたたびブレーブスの監督となった。1991年には、前年の最下位からチームを地区優勝へと押し上げて、さらにリーグ優勝を果たし、ナショナル・リーグの最優秀監督賞を受賞した。以降、トム・グラビンThomas Michael Glavine(1966― )、ジョン・スモルツ、グレッグ・マダックスという3人の大投手を軸とする強力なチームをつくりあげた。2005年まで、ストライキでシーズン打ち切りとなり優勝チームなしという扱いとなった1994年を除き、14シーズン連続で地区優勝。2004年は史上9人目の通算2000勝を記録し、あわせて3回目の最優秀監督賞を受賞。2005年も苦戦が予想されていたが、若手を抜擢(ばってき)するなどの巧みな采配で地区制覇を果たしたことが高く評価され、史上初めて2年連続最優秀監督に選出された。

[山下 健]

2006年以降

2006年以降も監督としてブレーブスを率い、06年、07年ともにナショナル・リーグ東地区3位。

 選手としての2年間の通算成績は、出場試合220、安打141、打率2割2分5厘、本塁打9、打点58。監督としての2007年までの通算成績は、2255勝1764敗、リーグ優勝5回、最優秀監督賞4回。

[編集部]


コックス(Richard Cocks)
こっくす
Richard Cocks
(?―1624)

江戸初期の平戸(ひらど)イギリス商館長。東インド会社の株主であるロンドン毛織物業組合の認可を得た商人。1613年(慶長18)同社の貿易船隊司令官ジョン・セーリスに従って来日、その推挙で初代平戸商館長に任命された。当時のイギリス商館はオランダに押されぎみで経営は振るわず、さらに22年(元和8)以後オランダとの政治的対立も加わり、翌23年平戸から撤退、コックスはバタビアに退いた。24年東インド会社から対日貿易失敗と引き揚げ遅延の責任を問われ、本国へ送還される途中、船中で没した。彼の日記は、1615年(元和1)から22年まで現存し、近世初期の対外関係の一級史料となっている。『日本関係海外史料 イギリス商館長日記』(東京大学史料編纂(へんさん)所)に原文編3冊、訳文編2冊、同付録1を収録する。

[沼田 哲]

『武田万里子著『平戸イギリス商館日記』(1981・そしえて)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コックス」の意味・わかりやすい解説

コックス
Cocks, Richard

[生]?
[没]1624.3.27.
江戸時代初期,平戸のイギリス商館長。慶長 18 (1613) 年イギリス東インド会社の貿易船隊に加わり,司令官 J.セーリスに従って来日,平戸に商館を開設し,初代館長となる。館員を駿府,江戸,大坂,対馬に滞在させ,長崎に代理店を設けて対日貿易の拡大に努力する一方,朝鮮との通商をはかり,朱印状を得て,シャム,コーチシナ,トンキンに貿易船を派遣するなど大いに活躍したが,オランダ商館との対日貿易競争に失敗。また,平戸藩の重臣や同地在住の中国人李旦に対する多額の貸付金の回収がうまくいかず,責任を追及され,商館を閉鎖,寛永1 (24) 年日本を退去したが,帰国の途中海難で死去した。彼の滞日中に記した日記"Diary of Richard Cocks" (コックス日記 ) は,日英貿易史の基本史料として重要なもので,1883年その抄本がロンドンで刊行されたが,1978~80年完本とその邦訳が『イギリス商館長日記』として『日本関係海外史料』に収録,刊行された。

コックス
Cox, Harvey G.

[生]1929.5.19.
アメリカのプロテスタント神学者。エール大学神学部卒業後,オーバーリン大学の牧師となったが,さらにハーバード大学大学院に学び,論文『宗教と技術』で博士号を取得 (1962) 。エール大学では特に R.ニーバー,ハーバードでは P.レーマン,J.L.アダムズの影響を受けた。主著『世俗都市』 (65) は,1960年代を代表する神学書の一つとなった。 65年以後ハーバード大学神学部の実践神学教授。ほかに『神の革命と人間の責任』 God's Revolution and Man's Responsibility (65) ,『世俗化時代の人間』 On not leaving it to the Snake (67) ,『愚者の饗宴』 The Feast of Fools (69) ,『民族宗教の時代』 The Seduction of the Spirit (73) など。

コックス
Cox, David

[生]1783.4.29. バーミンガム
[没]1859.6.15. ハーボーン
イギリスの風景画家。初めバーミンガムの劇場で芝居の書割り (背景の一種) 画家として働いていたが,1804年にロンドンに出てオールド・ウォーターカラー協会創立メンバー J.バーリーに水彩画を学び風景画家となる。 12年同協会の会員となり,以後当協会で作品を展示。絵の教師として多数の技法書を残した。 14年に出版した『風景画の描き方および水彩の効果』 Treatise on Landscape Painting and Effect in Water-Coloursが有名。伝統的なイギリス水彩画派の最後に位置する画家。スケッチ風に情景の雰囲気を描写する画風を発展させ有名となった。

コックス
Coxe, Tench

[生]1755.5.22. フィラデルフィア
[没]1824.7.16. フィラデルフィア
アメリカ建国期の商人,経済学者。初代財務長官 A.ハミルトンの片腕として製造業振興策を推進。アメリカ独立革命に際しては中立の立場を取ったが,1786年のアナポリス会議に出席し,88年には連合会議 (→大陸会議 ) への代表をつとめ連邦派として活躍。国内工業の振興,保護関税を主唱し農工分業による国民経済の発展に尽力。南部における綿花栽培を奨励しアメリカ綿業の父といわれた。

コックス
Cox, Jacob Dolson

[生]1828.10.27. ケベックモントリオール
[没]1900.8.8. マサチューセッツ,マグノリア
アメリカの軍人,政治指導者,教育家。南北戦争で北軍のために兵士を徴募し,1863年オハイオ地方軍の司令官となる。戦後は共和党員として活躍した。 66~68年オハイオ州知事。 69~70年内務長官。 81~97年シンシナティ法律学校を経営し,85~89年にはシンシナティ大学の学長をつとめた。

コックス
Cox, Herald Rea

[生]1907.2.28. インディアナ,ローズダル
アメリカの細菌学者。発育鶏卵の卵黄嚢に直接リケッチアを接種して培養する方法を案出し,発疹チフス,ロッキー山紅斑熱,その他のリケッチア疾患に対するワクチン製造に大きな貢献をした。また森ダニからQ熱の病原体を初めて分離した。

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朝日日本歴史人物事典 「コックス」の解説

コックス

没年:1624.4.6(1624.4.6)
生年:1566頃
イギリス東インド会社平戸商館長。イングランド中部スタフォード州ストールブロック生まれ。1600年東インド会社に入社。会社派遣の第8次航海司令官ジョン・セーリスの船で慶長18年5月5日(1613年6月22日)平戸に来着し,商館開設に伴い商館長に任命された。江戸,浦賀,大坂に館員を派遣して積極的に商圏拡大を図ったが,元和2年8月(1616年9月)将軍徳川秀忠発令の貿易制限令によって平戸と長崎の2港に商活動を限定されて痛手を受け,松浦隆信らへの多額の貸付金などのために経営不振に陥り,同9年11月12日(1624年1月2日)商館を閉鎖した。その公務日記は完全でないが大英図書館に現存する。日常の貿易業務だけでなく幕府との交渉の次第や,3度の江戸幕府旅行などについて詳述し,江戸時代初期の外交・経済・社会史研究のための根本史料である。帰国の途次,洋上で死去。<参考文献>東京大学史料編纂所『イギリス商館長日記』

(五野井隆史)

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改訂新版 世界大百科事典 「コックス」の意味・わかりやすい解説

コックス
Richard Cocks
生没年:?-1624

平戸のイギリス商館長。1613年(慶長18)イギリス東インド会社の貿易船隊司令官J.セーリスとともに来日。平戸の商館開設と同時に商館長となる。朱印状を得てシャム,コーチシナ,トンキンなどに貿易船を派遣し,オランダと防衛同盟を結んでポルトガル船を襲ったりしたが,オランダ商館との競争に敗れ,23年(元和9)商館を閉鎖して日本を去った。在任中の記録《コックス日記》は貴重な史料である。
執筆者:


コックス
Tench Coxe
生没年:1755-1824

アメリカの政治家,経済思想家,貿易商人。フィラデルフィアで生まれる。初めは貿易商人として活躍,独立革命後は連邦政府の行政官を歴任,特に財務長官A.ハミルトンの補佐官として《製造工業に関する報告書》の作成を助けたことが重要である。その政治的立場はたびたび変わったが,終始積極的な保護主義論者として,工業保護育成による国内市場の形成の必要を説いた。主著には《アメリカ合衆国の一考察》(1794)がある。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「コックス」の意味・わかりやすい解説

コックス

肥前(ひぜん)平戸の英国商館長。1613年東インド会社貿易船隊司令官セーリスとともに来日。商館開設とともに初代館長となったがオランダ商館との競争に敗れて1623年閉館,帰国の途中で没。《コックス日記》は当時の日英交渉を知る貴重な資料となっている。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「コックス」の解説

コックス

正式社名「株式会社コックス」。英文社名「COX CO., LTD.」。小売業。昭和48年(1973)「株式会社エミーズ」設立。同59年(1984)現在の社名に変更。本社は東京都江東区新大橋。イオン子会社。衣料品チェーン。カジュアル衣料専門。中部地盤に全国に店舗展開。前身はジャスコ(現イオン)の婦人衣料品部門。JASDAQ上場。証券コード9876。

出典 講談社日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「コックス」の解説

コックス Cocks, Richard

1566-1624 イギリスの貿易商。
東インド会社の交易船で慶長18年(1613)来日,肥前平戸(長崎県)のイギリス商館初代館長となる。のちオランダとの対立などで経営不振となり,元和(げんな)9年商館を閉鎖した。1624年3月27日帰国途中の船中で死去。58歳。滞日中の日記をのこす。スタッフォードシャー出身。

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旺文社日本史事典 三訂版 「コックス」の解説

コックス
Richard Cocks

1566〜1624
江戸初期に来日した平戸のイギリス商館長
1613年遣日貿易使節とともに来日,初代館長となった。日本内地やシャム・トンキン方面に手広く貿易を行ったが,オランダとの競争に敗れ,経営不振となったため,'23年商館を閉鎖して帰国途中に死亡した。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

367日誕生日大事典 「コックス」の解説

コックス

生年月日:1870年3月31日
アメリカの政治家,新聞業者
1957年没

コックス

生年月日:1566年1月20日
平戸のイギリス商館長
1624年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

栄養・生化学辞典 「コックス」の解説

コックス

 →比例ハザードモデル

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世界大百科事典(旧版)内のコックスの言及

【ボート】より

…エイトでは船首寄りから,バウbow(舳手bow),2~7番,ストロークstroke(整調)と呼ぶ。舵手(コックスcoxswain)は最後部または先頭部に位置し,全体のピッチに注意し号令をかけるとともに,舵の操作を受け持つ。近年はトップ・コックスの傾向が強い。…

※「コックス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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