日本大百科全書(ニッポニカ) 「イギリス商館」の意味・わかりやすい解説
イギリス商館
いぎりすしょうかん
イギリスの東インド会社が平戸(ひらど)(長崎県)に置いた日本商館factory。1613年(慶長18)ジョン・セーリスがジェームズ1世の国書を徳川家康に献じ、同国人ウィリアム・アダムズ(三浦按針(あんじん))の斡旋(あっせん)によって日本貿易特許の朱印状を得て開設した。商館長リチャード・コックス以下数名を置き、輸入品やオランダ艦隊と共同で捕獲したポルトガル、イスパニア、中国船の積み荷などを国内各地にさばいた。しかし商品補給や販売面で先発のオランダ商館に抑えられ、中国(明(みん))との直接貿易を画策したが成功せず、経営不振と家康死後の統制強化などにより、多額の不良債権を抱えたまま、1623年(元和9)閉鎖した。
[中村 質]
『東京大学史料編纂所訳注『日本関係海外史料 イギリス商館長日記』(1979~1980・東京大学出版会)』