フランスの画家。アカデミー・ジュリアンに学び、スペイン、アルジェリア、エジプト、イタリアを旅行した。1886年、ブルターニュ地方にポンタバン村をみいだし、彼の社会的、写実主義的な関心と、悲劇的表現への傾斜は、ブルターニュの漁師たちの貧しい生活を好個の対象とならしめた。『海の国にて』(1898年。パリ、オルセー美術館)などが代表作。その表現主義的傾向と黒を多用した暗い色調のために、リュシアン・シモンLucien Simon(1861―1945)たちとともに「バンド・ノワールLa Band noir(黒の連帯)」と名づけられた。松方コレクションなどにコッテが多いのは、20世紀初頭の評価を物語っている。
[中山公男]
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