翻訳|Komsomol
ソ連邦の共産主義青年同盟(正称は全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟Vsesoyuznyi leninskii kommunisticheskii soyuz molodyozhi,VLKSMと略記)。共産党の指導の下に活動する青年組織であったが,1991年8月クーデタ事件の後に共産党活動が非合法化されるとともに,同年9月,共産党の青年部としてのコムソモールの組織も崩壊した。エリツィン時代には共産主義が批判され,青年たちは急速に共産主義運動から離れている。1918年10月29日に創設され,目的は青年を共産主義と愛国主義の精神で教育し,彼らの自主活動を組織し,共産党と国家の活動に積極的に参加させることにあった。コムソモールはまた新たな共産党員の候補者を養成する組織でもあった。メンバーの年齢は14歳から28歳。各種教育機関,企業や組織,ソホーズやコルホーズ,軍にその基礎組織がつくられた。最高機関はコムソモール全ソ大会であるが,実質的指導機関は中央委員会とそのビューローおよび書記局。コムソモール員となるには厳密な審査を受けることになっていたが,ブレジネフ時代のころにはほとんどの青年が同盟に加盟していた。同盟員数は1920年は40万,41年は1039万,44年は606万,50年は1051万,62年は1910万,71年は2816万そして82年が4136万。コムソモールは科学技術の普及,労働規律や社会規律の強化,生産性の向上,国防活動の強化といった分野でも重要な役割を担っていた。また労働組合,文化,スポーツ諸団体と協力してさまざまな文化活動,スポーツ活動なども組織し,各大学では学生建設隊を組織してシベリアなど労働力の不足している地域に送り出していた。1920年代にはかなり自主的な立場からの政治活動も行っていたが,30年代以後は完全に共産党の指導下にあった。その指導部は党,国家指導者への登竜門となり,50,60年代には元KGB(国家保安委員会)議長のセミチャストヌイ,シェレーピンなどいわゆるタカ派の政治家を生んだ。中央機関紙は《コムソモーリスカヤ・プラウダ》(1925創刊,1980年代半ばの発行部数1000万)で,マラダーヤ・グバルジア出版所を有し,《コムソモーリスカヤ・ジーズニ》誌や書籍も発行していた。なお,《コムソモーリスカヤ・プラウダ》はコムソモール崩壊後は改革派の独立紙として発行されている(1995年に154万部)。
→ピオネール
執筆者:袴田 茂樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ソ連の14歳から28歳までの青年男女の政治組織。正式名称を「全ソ連邦レーニン共産青年同盟」という。1918年10月29日に創設された。コムソモールはソビエト共産党の若き予備軍として、その加入にあたっては、学校での勉学、日常の行動、社会的労働への参加度といった面から厳密な審査が行われた。コムソモールの主要な任務は、ソビエト共産党の青年教育活動を援助して、労働を愛し高い教養を身につけた共産主義者を育成すること、プロレタリア国際主義に基づく国際協調の精神を育成することなどであった。
コムソモールは、各種の企業や機関のほか、学校や大学にも組織されており、学習活動をはじめとして、クラブ、公開講座、政治討論会などの政治活動や社会奉仕活動を自主的に計画し実行していた。ピオネール(レーニン記念全ソ連邦ピオネール)組織を指導し、その活動を援助することもコムソモールの重要な活動の一つであった。1983年時点の組織人員は約4200万人。機関紙『コムソモールスカヤ・プラウダ』など、出版物の発行もしていたが、コムソモール組織は1991年のソ連崩壊以後活動を停止、解散した。
[川野辺敏]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
ソ連の青年組織。正式には全連邦青年共産同盟(VLKSM)。革命の過程で各地につくられた青年労働者同盟が集まって,1918年10月ロシア青年共産同盟を創立した。26年に改称された。共産党の指導下に共産主義思想を普及し,青年に社会的な訓練を与えることを目的とした。14~28歳の男女青年が入会資格を持つ。フルシチョフの処女地開発などには働き手の動員組織にもなった。91年解散。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…英語ではピオニール。ピオネールの掟の中にはすべての子どもの模範となること,コムソモール(青年共産同盟)に入る準備をすることが掲げられていた。7歳から9歳までの児童組織をオクチャブリャータと呼び,ピオネールに入る準備段階である。…
※「コムソモール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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