ピオネール(英語表記)Pioner

デジタル大辞泉 「ピオネール」の意味・読み・例文・類語

ピオネール(〈ロシア〉pioner)

ソ連の共産主義少年団。10~15歳の少年で構成され、実践的な集団活動や奉仕活動を行った。1922年設立。91年解散。ピオニール

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精選版 日本国語大辞典 「ピオネール」の意味・読み・例文・類語

ピオネール

  1. 〘 名詞 〙 ( [ロシア語] pionjer ) ソ連の共産主義少年団。また、その団員。一〇~一五歳の少年少女で構成され、実践的な集団活動を通して、共産主義社会の建設者の育成目的とした。一九二二年創設。九一年解散。

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改訂新版 世界大百科事典 「ピオネール」の意味・わかりやすい解説

ピオネール
Pioner

ソ連邦における10歳から15歳までの少年少女を対象とする児童組織,少年団。英語ではピオニール。ピオネールの掟の中にはすべての子どもの模範となること,コムソモール(青年共産同盟)に入る準備をすることが掲げられていた。7歳から9歳までの児童組織をオクチャブリャータと呼び,ピオネールに入る準備段階である。ピオネールはN.K.クループスカヤらの指導のもとに,1922年5月コムソモール第5回大会で決定されて以来ソ連全土に普及した。正式名称は〈レーニン記念全ソ連邦ピオネール組織〉といい,共産主義的人間像の育成のために共産党委嘱を受けてコムソモールが直接指導にあたった。初期には居住地ごとに組織され,共産党やコムソモールの活動形式をまねたものであったが,1930年代末から学校を基盤とする組織に改組された。50年代初頭その活動が学校の学習活動と同一視される傾向が生じたため,57年コムソモールは〈ピオネール組織の活動改善に関する施策〉を決定し,ピオネールの活動を学校内に限定することなく広く社会的・政治的活動に参加させることを指摘した。ピオネールへの参加は自由意志によるが,実際にはほとんどの子どもが学校を基礎とするピオネール団に加入していた(1980年当時,約2000万人)。団は隊に,隊は班に分けられる。ピオネール宮殿,ピオネールの家,キャンプ場などの校外施設をもち,さまざまなクラブ活動集会,奉仕活動,キャンプなどが系統的に行われ,学習と労働と社会的活動の結合を通して研究心,勤労意欲祖国愛,国際連帯の精神,共産主義社会建設への献身的態度の育成が追求されていた。ソ連邦での91年8月クーデタの失敗後,9月にコムソモールが解散し,10月にピオネール組織は大会を開き,〈ピオネール組織連盟/児童組織連合〉と改称した(92年の大会以後,エストニア以外の旧ソ連の各共和国の組織およびロシア連邦の州・地方・共和国の組織が参加)。かつてのイデオロギー的傾向を排し,文化とスポーツの面で〈少年団〉的な活動をしている。

 なお,東ドイツやベトナムなどソ連以外の社会主義国でも独自のピオネール組織を持っていた。中国では少年先鋒隊と呼ばれている。日本においても戦前昭和初期,共産主義運動を通してピオネールが紹介され,労働・農民運動やプロレタリア教育(新興教育)運動のなかで労農少年団やピオネールが組織されたことがある。
少年団
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピオネール」の意味・わかりやすい解説

ピオネール
ぴおねーる
пионер/pioner ロシア語

ソ連の10歳から15歳の児童の自主的な参加に基づく共産主義教育の組織。正式名称を「レーニン記念全ソ連邦ピオネール」という。1922年5月1日のコムソモール(全ソ連邦レーニン共産青年同盟)第5回大会でクループスカヤの指導のもとその設立が決定された。ピオネールは、児童にさまざまな社会的活動を遂行させることによって祖国愛、労働愛、友情、協力、忍耐、平和、国際連帯などの精神を育成することを目的としていた。活動は、上部組織であるコムソモールの指導のもとに、自らが選出した会議(ソビエト)の決定に基づいて自主的に運営されていた。組織の基本単位は、学校や「子供の家」に設けられるピオネール団であり、団は隊に分けられ、隊はさらに班に分けられていた。活動内容としては、集会、討論会、展覧会、社会奉仕などの日常活動のほか、最大の定期的行事として夏季にはピオネール・キャンプが各地で催された。82年時点の組織人員は約2500万人であった。また、ピオネールの該当年齢以下の年齢の子供の組織としてオクチャブリャータ(октябрята/oktyabryata、7歳~9歳)があった。なお、ピオネールの組織は、91年のソ連崩壊とともに消滅したが、ロシア連邦では校外活動の組織として新たにボーイスカウト、ガールスカウトなど、ピオネールにかわる民間青少年組織が出現し、教育省はこれを支援している。

[川野辺敏]

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百科事典マイペディア 「ピオネール」の意味・わかりやすい解説

ピオネール

旧ソ連の少年団。10〜15歳の小・中学生で組織。1922年レーニン夫人クループスカヤの指導により創設された。共産主義的な集団教育を通じて健康なコムソモール(青年共産同盟)の成員を育てることを目的とした。1930年代から学校を基盤とするものになり,ピオネールの家,キャンプ場など校外施設をも利用して,さまざまなクラブ活動,集会,奉仕活動などが系統的に行われた。
→関連項目少年団

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピオネール」の意味・わかりやすい解説

ピオネール
Pioneers

旧ソ連の少年少女の共産主義組織,全ソ連邦ピオネール組織の略称。 1922年に創設。コムソモールの指導下に,10~14歳の数百万の少年少女が共産主義教育を受け,社会的生活に加わり,積極的な共産主義社会の建設者になるための準備教育を受けていた。 90年末のソ連邦の消滅,それに伴うコムソモールの改編によって,ピオネールも根本的な変貌を迫られるにいたった。

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世界大百科事典(旧版)内のピオネールの言及

【児童雑誌】より

…フランスでは,カトリック系の幼児から青少年向け児童雑誌に優れたものが多い。またかつてのソ連では,革命後社会主義思想を普及させるために,ゴーリキーが出した《北極光》(1919)が最初の児童誌であるが,《ピオネールPioner》《ムルジルカMurzilka》(ともに1924)が,数百万の発行部数を誇っていた。【末松 氷海子】。…

【クループスカヤ】より

…ソ連の教育学者,ピオネール運動の組織者。レーニンの妻で,ロシア革命前から共産党員として活躍。…

【子ども会】より

…子ども会の原形は,古くは村落共同体の子供組や子供衆などの慣習的な子ども集団の中にみることができる。明治末期から大正時代にかけて,資本主義経済の発展にともなう地域社会の変化と学校の校外指導の強化により慣習的な子ども集団は衰退するが,宗教団体による日曜学校の普及やボーイ・スカウトピオネールなど目的的な少年団体,組織が紹介される中で,子ども会に対する教育・文化面での意義が自覚された。しかし,軍国主義の台頭とともに,1932年文部省訓令〈児童生徒ニ対スル校外生活指導ニ関スル件〉によって小学校を単位とする学校少年団づくりが促進されたため,自由で多様な子ども会の性格は失われ,41年には大日本青少年団へと一元的に統合された。…

【少年先鋒隊】より

…中国の全国統一の少年団組織。ソ連のピオネールをまねたもの。共産主義青年団の指導下に置かれ,満7歳から14歳の児童で学力・品行・思想優秀なものが選ばれる。…

※「ピオネール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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