コンピューター,通信回線,コンピューター用の端末装置からなる複合体であり,コンピューター相互あるいはコンピューターと端末の間での情報のやりとりを含む高度なコンピューターの処理を指向した回線網をいう。
単純なコンピューターネットワークでは1台のコンピューターしか含まないが,複雑なシステムでは多数のコンピューターを含む。コンピューターには情報,演算処理をおもな仕事とするホストコンピューターhost computer,通信回線とホストコンピューター,あるいは端末を接続するための処理に主として用いられる通信制御コンピューター,通信回線の相互接続を行う交換用コンピューターなどがある。
多数のホストコンピューターを含むネットワークでは,各ホストに必要な機能をすべて含み,多数のホストで負荷を分担する方式を負荷分散と呼び,各ホストが機能の一部をもち,機能別に処理を分担する方式を機能分散と呼んでいる。各ホストに特殊なデータ,処理装置などがあるときには,これを共用するためにネットワークを用いる考えもあり,これを資源共用ネットワークと呼ぶ。各利用者がパーソナルコンピューターをもち,各自の処理はそれで実行するが,必要なデータの授受をネットワークを通して実行するシステムもある。通信網としては,任意の電話機相互を接続する電話交換網があるように,任意のコンピューター,任意の端末を接続する汎用(はんよう)のデータ網が構成されており,これにはデータ回線交換網とパケット交換網がある。
このような通信網を運用する主体とコンピューターを運用する主体が異なる場合には,通信網全体はブラックボックスとして意識されるにすぎない。これに対して通信回線と交換用コンピューターによって,交換網を構成しようとする場合には,交換網そのものも一種のコンピューターネットワークとして意識されることになる。
このような各種のコンピューターを利用する場合には,ホストコンピューターは通信制御コンピューターのサービスを受け,通信制御コンピューターは交換用コンピューターのサービスを受ける。これらのコンピューターのプログラムは相互にサービスし,サービスされる階層関係を形成する。通信を行う各階層の間では,相互に合意された通信規約をもつ必要があり,この規約をプロトコルprotocolと呼んでいる。通信機能を階層構造に分解し,階層ごとにプロトコルを定めた体系はネットワークアーキテクチャーnetwork architectureと呼ばれている。
執筆者:斉藤 忠夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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