印刷用紙のうち,表面に白色顔料を塗布した塗工紙coated paperの一品種。よい印刷をするには表面の平滑性が必要であるが,パルプだけで作った紙の表面には顕微鏡で見るとかなり凹凸がある。そこで,直径1μm以下の微粒子状クレーや炭酸カルシウムなどを結合剤とともに水に分散させて紙の表面に塗り,平滑性を向上させたものが塗工紙である。上質紙もしくは中質紙を基紙とし,塗工液を10g/m2前後塗布したものがコート紙で,これに対して,上質紙に20g/m2前後塗布した高級塗工紙をアート紙と呼んで区別する。アート紙に比べて表面の平滑性は劣るが,価格的に安く,しかも印刷効果を著しく改善できるため,コート紙の需要は全塗工紙の70%弱を占め,さほど高品質を要求しないちらし,雑誌の表紙,口絵などに用いられている。
執筆者:臼田 誠人
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原紙の片面または両面に塗料または合成樹脂などを塗り乾燥し、通常、スーパーカレンダーsuper calender(紙に光沢をつける装置の一種)にかけて得られ、一般に塗工量がアート紙より少なく、軽量コート紙より多い塗工紙coated paperの一種。わが国の特殊品名である。通常コート紙の原紙は上質紙を用いるが、中質コート紙は中質紙を用いる。コート紙の塗工には通常、白色または淡色の鉱物性の顔料とカゼイン、変性デンプンまたは合成樹脂などの接着剤を混合した塗料が多く用いられる。コート紙は表面が平滑で光沢があり印刷効果が大きいため、多色印刷などの高級印刷でアート紙に代用される。
[御田昭雄 2016年4月18日]
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…非塗工紙にはそのほかに,雑誌のグラビア写真印刷に用いるグラビア用紙,漫画雑誌本文に使用される印刷泉貨紙がある。塗工紙は塗工液の塗布量で分類し,塗布量が1m2当り20g前後のものをアート紙,10g前後のものをコート紙,5g前後のものを軽量コート紙と呼んでいる。【臼田 誠人】。…
…塗る量の多寡により品質に相違があり,アート紙は片面の1m2当り20g前後の塗工液を塗り乾燥したのちスーパーカレンダーがけして強い光沢をつけた最高級の印刷用紙であり,写真版や原色版などの高級網版印刷に使用する。コート紙は日本の特殊品名であり,塗布量は10g/m2前後と少なく,原紙の表面の凹凸も完全にはなくならず,品質的にアート紙に劣る。軽量コート紙はさらに塗布量が5g/m2前後と少なく,塗工紙の中でもっとも低品質の紙である。…
※「コート紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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