ドイツの物理学者。ウェーバーの共同研究者ルドルフRudolf Hermann Kohlrausch(1809―1858)の子。リンテルンに生まれ、ゲッティンゲン、エルランゲン両大学で学び、ゲッティンゲン大学、チューリヒ、ダルムシュタット両工科大学、ウュルツブルク大学を経て、1900年ベルリン大学教授。当初、電解質を抵抗の標準に用いる意図から、1868年以降、電解質の抵抗の測定に向かった。分極防止のため交流の採用、「コールラウシュ・ブリッジ」の考案などにより、1876年までに260種類の溶液の精密測定に成功。その結果、電気伝導度(K)と溶液の濃度(m)の間に関係式
K=λm-λ'm2 (λ、λ'は各定数)
が成り立つことを確かめ、「イオン独立移動の法則」を発見、「易動度」の概念を確立して、後の「自由イオン説」の基礎を築いた。1895年以後、国立理工学研究所長として、その世界最初の国立中央試験研究機関の基盤確立に貢献した。また、実験物理学の古典的名著『実験物理学便覧』Lehrbuch der praktischen Physik(1869)は版を改めながら今日まで刊行されている。
[宮下晋吉]
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