ゴヨウマツ

百科事典マイペディアの解説

ゴヨウマツ

ヒメコマツとも。北海道〜九州の山地や,鬱陵(うつりょう)島にはえるマツ科の常緑高木。葉は針状で長さ3〜6cm,短枝上に5本束生する。雌雄同株。5月ごろ開花。マルミゴヨウキタゴヨウの2変種がある。前者は関東〜九州に分布し,葉が細く短くて柔らかい。果実は小型で丸く,種子の翼は種子より短い。後者は本州中部以北に分布し,葉が長く幅も広くて,白っぽい。果実は細長く先がとがり,種子の翼は種子より長い。また,本州中部,四国の深山にはえる別種のチョウセンゴヨウは,葉が長く,長さ7〜12cm,果実は大型で,種子には翼がない。ともに材を建築,土木,パルプとし,樹は庭木,盆栽とする。なお,ヤクタネゴヨウ(アマミゴヨウ),ハイマツなども含め,葉が5本のものを広く五葉松ということもある。
→関連項目マツ(松)松の実

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ゴヨウマツ
ごようまつ / 五葉松
[学]Pinus parviflora Sieb. et Zucc.

マツ科の常緑針葉高木。別名ヒメコマツ。大きいものは高さ35メートル、直径1.5メートルに達する。樹皮は黒灰色で、不ぞろいの針形小鱗片(りんぺん)となってはげ落ちる。葉は長さ3~9センチメートルで5本ずつが束になり短枝の上につき、三稜(さんりょう)形で上面には2本の白色の気孔線があり、縁(へり)にはまばらに細い鋸歯(きょし)がある。雌雄同株。4月に開花する。雄花は当年枝の下部につき、雌花は先端につく。球果は卵状長楕円(ちょうだえん)形で、長さ5~8センチメートル。種子は倒卵形でやや大形、長短いろいろの翼がつき、翌年の10月ころ成熟する。北海道、本州、四国、九州、韓国の鬱陵(うつりょう)島に広く自生する。球果の性質や種子の翼の長さ、葉の形質などにより、南方型のマルミノゴヨウと北方型のキタゴヨウマツに分けることがある。庭木、盆栽として賞用され、園芸品種も多い。材は建築、楽器、彫刻、建具、マッチの軸木、パルプなどに利用する。[林 弥栄]

文化史

『万葉集』にはマツに関連する歌が70首余り詠まれているが、ゴヨウマツの名はない。10世紀の『和名抄(わみょうしょう)』に初めて五葉の名があがるが、これは中国の種類である。日本固有の植物であるゴヨウマツは、『枕草子(まくらのそうし)』でカエデ、カツラに次いで、花の咲かない木として「五葉」の名で載るのに始まる。『徒然草(つれづれぐさ)』でも「家にありたきは松、桜、松は五葉もよし」と書かれ、その後、盆栽の発達とともに栽培が盛んになった。江戸時代には十数の園芸品種が作出された。[湯浅浩史]

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