サイジング(英語表記)sizing

翻訳|sizing

デジタル大辞泉 「サイジング」の意味・読み・例文・類語

サイジング(sizing)

洋紙製造工程で、パルプコロイド物質を加えて紙繊維の表面やすきまを覆い、液体やインクがにじまないようにする操作。
繊維工業で、のり付け作業のこと。

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精選版 日本国語大辞典 「サイジング」の意味・読み・例文・類語

サイジング

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] sizing )
  2. 洋紙の製造工程において、パルプにコロイド物質を加えて紙繊維の表面やすき間をおおい、液体やインクがにじまないようにする操作。サイズ剤としてはロジンなどがある。〔児童工業物語(1928)〕
  3. 繊維工業で、のり付け作業のことをいう。〔織物及莫大小に関する調査(1925)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「サイジング」の意味・わかりやすい解説

サイジング
sizing

紙および板紙への液体の浸透に抵抗性を与えるために,耐水性向上剤(サイズsizeまたはサイズ剤という)を抄紙工程の際に原料に加えるか,あるいは紙の表面に塗ること。前者を内面サイジングまたはエンジンサイジング,後者を表面サイジングまたはタブサイジングと呼ぶ。

和紙ではトロロアオイの根から抽出した〈ねり〉を加えて抄紙するので,それが部分的にサイズの役割を果たしている。それでもとくにサイジングを必要とするときは〈にかわ〉も用いられる。洋紙ではロジンサイズが最も多量に用いられている。ロジンサイズは松やにや松根油,クラフト排液中のトール油から得られるアビエチン酸およびその同族化合物が主成分で,カルボキシル基の一部はナトリウム塩となっている。これをパルプに付着させてサイズ効果を出すために助剤としてバン(礬)土(硫酸アルミニウム)を少量加える。バン土は解離すると酸性を示すので,ロジンサイズ-バン土系の紙は酸性である。したがって長年の間にセルロースが加水分解反応を受けて崩壊し,紙の劣化現象が起こる。和紙は劣化の程度が著しく低く,長年の保存に耐えるのはバン土を用いないためである。紙の劣化を防ぐためにはバン土を用いず,中性ないし弱アルカリ性として抄紙する。サイズ剤にはアルキルケテンダイマーまたはアルケニル無水コハク酸などをエマルジョンにした中性サイズを用い,助剤に陽イオン性ポリマーを加え,充てん材として中性もしくは弱アルカリ性で安定な炭酸カルシウムを用いる。ロジンサイズはパルプに吸着しているだけであるが,この場合は中性サイズが炭水化物と反応して化学結合するので非常に安定な化合物をつくるため効果が永続する。



デンプンとにかわが古くから使われてきたが,最近ではカルボキシメチルセルロース,ポリビニルアルコール,ワックスエマルジョンなどが用いられ,抄紙機のサイズプレスによって行われる。

 サイジングは液体の紙への浸透速度を低下させるだけで,防水とは異なる。したがって液体容器には強いサイジングをした紙を用い,さらにプラスチックフィルムやアルミ箔をはる必要がある。なおサイジングをしない紙は水をよく吸収する。吸取紙や含浸紙はこの例である。
執筆者:

紡織の際に経糸(たていと)を適当な物質で被覆して保護する工程をサイジング,保護に用いる物質をサイズという。サイジングの主目的は紡織時に適当な滑りを与えて経糸が受ける摩耗や表面こすれを防ぐことである。サイズとして,綿やウーステッド糸にはデンプンが,ビスコースやアセテート糸にはゼラチンがよく使われるが,ポリビニルアルコール,ポリアクリル酸などの水溶性合成高分子の使用が増加している。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「サイジング」の意味・わかりやすい解説

サイジング

製紙作業の一つ。紙の液体を吸収する性質をおさえるために,パルプまたは紙にコロイド物質(サイズ)を加え,繊維の表面や繊維間のすきまをおおうようにすること。筆記用紙の製造では,インキがにじまぬようにするため,この作業が特に重要。
→関連項目工業用セッケン(石鹸)吸取紙

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイジング」の意味・わかりやすい解説

サイジング
さいじんぐ

サイズ

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世界大百科事典(旧版)内のサイジングの言及

【紙】より

…塡料にはクレー(白土),カオリン,酸化チタン,タルクなどが用いられるが,タバコの巻紙には炭酸カルシウムが30%近く加えられる。さらに紙への液体の浸透を調節するため紙の表面や内部の穴をサイズと呼ばれる耐水性膠質物(こうしつぶつ)でふさぐ操作(サイジング)を行う。にかわ,デンプンなどを表面に塗布する表面サイズと,松やになどから作るロジンサイズを少量加える内面サイズがあるが,内面サイズの方が簡単で安価なため一般に広く行われている。…

※「サイジング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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