アビエチン酸(読み)あびえちんさん(英語表記)abietic acid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アビエチン酸」の意味・わかりやすい解説

アビエチン酸
あびえちんさん
abietic acid

三環式ジテルペンに属するカルボン酸ロジン主成分として存在している。マツ科植物の樹幹を傷つけると樹液を分泌し、しだいに固化して樹脂オレオレジンバルサムともいう)となる。これを水蒸気蒸留してテレビン油を溜出させ、残った樹脂酸混合物(コロポニイ、ロジンともいう)を過熱水蒸気で蒸留すると、ジテルペノイド樹脂酸(アビエチン酸)が結晶として得られる。水に不溶であるが、アルコール、ベンゼンクロロホルムに溶解する。ラッカーワニスの乾燥剤、乳酸酵母の成長促進剤に用いる。メチルエステルは、ワニス、ラッカー、リノリウム溶剤として使用される。カルシウム塩は、防水剤、皮なめし、製紙などに用途をもっている。

[佐藤菊正]


アビエチン酸(データノート)
あびえちんさんでーたのーと

アビエチン酸

 分子式  C20H30O2
 分子量  302.5
 融点   175℃
 沸点   -
 旋光度  [α]-104℃

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アビエチン酸」の意味・わかりやすい解説

アビエチン酸
アビエチンさん
abietic acid

ロジンの主成分をなすジテルペンカルボン酸で,その化学式は C20H30O2 である。融点 175℃の板状晶。粗製品は融点 85℃で,紙のサイズ剤として用いられる。メチルエステルは沸点 168~172℃ (0.5mmHg) の液体で,合成樹脂ゴム,ワニスなどの溶媒として用いられる。

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