サイバーポリス(読み)さいばーぽりす(英語表記)cyber police

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

サイバーポリス
さいばーぽりす
cyber police

警察のサイバー犯罪対策や捜査・対策組織の総称。警察内でIT関連の知識をもつ専門職員をさす場合もある。コンピュータやインターネットが形成する情報仮想空間を意味するサイバー(cyber)と、警察(police)を組み合わせた造語であり、電脳警察とよばれることもある。1998年5月のバーミンガム・サミット(主要国首脳会議)がハイテク犯罪防止の国際協力で合意したのを受け、警察庁が1998年(平成10)6月、初めてサイバーポリス構想として「ハイテク犯罪対策重点推進プログラム」を発表した。サイバー犯罪の形態は、コンピュータへの不正侵入による不正送金やプログラム破壊、ウイルス感染による情報流出、標的型攻撃メールによる情報流出やシステム破壊、出会い系サイトによる買春や児童ポルノ流出、リベンジポルノの発信・拡散など、多様化している。このためサイバー犯罪に特化した捜査体制を整え、最新のIT機器をそろえ、情報通信や最先端技術の知識をもつ専門家を民間企業や大学などから採用。海外の捜査機関とも24時間協力できる体制を整え、犯罪手口の解明、情報通信記録の解析、防止・啓蒙(けいもう)活動、ITやAI(人工知能)などの先端技術の研究などにあたっている。

 2017年(平成29)3月時点で、警察庁生活安全局に情報技術犯罪対策課、同情報通信局に情報技術解析課などを設置。警視庁や道府県警察本部に専門部署を置き、専用サイトでサーバー犯罪に関する苦情や相談を受け付けている。サイバー犯罪を取り締まるため、不正アクセス禁止法(正称「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」平成11年法律第128号)、出会い系サイト規制法(正称「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」平成15年法律第83号)、リベンジポルノ防止法(正称「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」平成26年法律第126号)などの法整備も進んだ。ただ、捜査や研究が急速な技術進展に追いついていないのが実態で、本人が気づかないうちにパソコンを遠隔操作されてしまった人が、伊勢神宮(いせじんぐう)に対して爆破予告したとして誤認逮捕される事件(2012)などが起きている。

[矢野 武 2017年7月19日]

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