サイホン(読み)さいほん(その他表記)siphon

翻訳|siphon

デジタル大辞泉 「サイホン」の意味・読み・例文・類語

サイホン(siphon)

《「サイフォン」とも》
液体を一度高い所に上げてはじめの位置より低いところに移す、隙間のない曲がった管。→サイホンの原理
水蒸気膨張収縮の力を利用して湯を上下させてコーヒーを入れる方式の、ガラス製のコーヒー沸かし
家庭炭酸水を作るための、小さな炭酸ガスボンベを取り付けた水さし。ソーダサイホン。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「サイホン」の意味・読み・例文・類語

サイホン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] siphon )[ 異表記 ] サイフォン
  2. 大気圧を利用して高い所にある液体を、低い所に移すのに使う、曲がった管。管の最高部は液面よりも高い。
    1. [初出の実例]「かくの如き管をさいほんと云ふ、即管の一端が鈎に曲りたる者なり」(出典:日本読本(1887)〈新保磐次〉五)
  3. 口にの装置を取り付けた、炭酸水を作るしかけのびん。
  4. 水蒸気の圧力を利用した、コーヒーを沸かすガラス製の器具。コーヒーサイホン
    1. [初出の実例]「サイフォンの中で次第にコーヒーが沸いて来た」(出典:スポーツマン一刀斎(1957)〈五味康祐〉)
  5. サイホンラムネ」の略。
    1. [初出の実例]「近所の氷屋がサイホンの注文に狼狽(まごつ)く」(出典社会百面相(1902)〈内田魯庵〉電影)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイホン」の意味・わかりやすい解説

サイホン
さいほん
siphon

液体をその液面の高さより高いところへいったん持ち上げてのち、低いところへ移すためのへの字形のガラス管をいう。これは、真空の管なら、大気の圧力p0によって液体はhp0/ρg(ρは液体の密度、gは重力加速度)まで持ち上げることができる(トリチェリ定理)ことを利用したものである。たとえば、風呂(ふろ)にゴムホースをサイホンのように差し込み、ゴムホースの端から空気を吸ってやると、ホースの中の圧力pは、大気の圧力p0より小さくなり、水はこの圧力差によりL=(p0p)/ρgの高さまで持ち上げられる。したがって、風呂桶(おけ)の高さと水面の高さの差lLより小さいと水は外へ流れ出す。このように、大気の圧力と容器内の圧力差を利用して水面より高いところに水を持ち上げるサイホンの原理を利用したものに、高層アパートの屋上の貯水タンクに水をあげる場合とか、井戸の給水ポンプの例などがある。真空の場合、水は約10メートルの高さまで持ち上げられる。

[池内 了]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「サイホン」の意味・わかりやすい解説

サイホン

サイフォンとも。長短2脚をもつ曲管で,液体をいったん高所に引き上げてから低所へ移すのに使われる。容器を傾けずに液を移すことができ,空気や器物にふれるのをきらう液体を移しかえるのに便利。高液面から管の最高所までの高さが,大気圧が持ち上げられる液柱の長さ(1気圧の下での水の場合は約10m)を越えると使えなくなる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サイホン」の意味・わかりやすい解説

サイホン
siphon

液体を一度高所に上げてから,低所に移すために用いる曲管。管内を液体で完全に満たしているかぎり,液体は少しでも高いほうから低いほうに引続いて流れる。これを応用して,小は家庭用ストーブの石油ポンプ,薬品などの移し変えに使われ,大規模な例では用水路の障害物越えなどにも利用されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「サイホン」の意味・わかりやすい解説

サイホン

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

食器・調理器具がわかる辞典 「サイホン」の解説

サイホン【siphon】

「コーヒーサイホン」の略。⇒コーヒーサイホン

出典 講談社食器・調理器具がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のサイホンの言及

【サイフォン】より

…サイホンともいう。一端が長い曲管を倒立し,圧力差を利用して,短いほうの口からとり入れた液体を他端から流出させる装置(図)。…

※「サイホン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android