日本大百科全書(ニッポニカ) 「サウス・オーストラリア」の意味・わかりやすい解説
サウス・オーストラリア
さうすおーすとらりあ
South Australia
オーストラリア中南部の州。面積98万4000平方キロメートル、人口146万7261(2001)。州都はアデレード。州の大部分は乾燥地域で、年降水量200ミリメートル未満の土地が約4分の3を占める。年降水量500ミリメートル以上の土地はわずか2%余りで、耕地(3%弱)、森林(0.1%)とも南東部に限られる。人口の大部分が南東部の海岸地帯(沿岸から100キロメートル以内)に集中している。
農牧業の中心は穀物と羊毛であるが、とくにフリンダーズ山脈東側のバロッサ地方を中心にブドウ栽培が盛んで、ぶどう酒生産は全国の6割余り、ブランデーは9割余りを占める。鉱産物の代表は天然ガスで、全国生産量の3分の1余りを占め、同州北東部のガス田(ムーンバなど)からポート・ピリーおよびシドニーへパイプラインで送られる。このほかオパール(産地クーバー・ピディー)、ドロマイト、石膏(せっこう)、鉄鉱石などがある。工業はアデレードの自動車や機械、ワイヤラの鉄鋼、造船、ポート・ピリーの鉛精錬などがあるが、雇用および生産額の約8割が州都に集中する。主要輸出品は羊毛、穀物、非鉄金属、鉄鋼などで、最大の貿易先は輸出入とも日本である。
同州は流刑植民地としての歴史をもたない唯一の州で、1836年サウス・オーストラリア植民会社によりカンガルー島およびアデレードに入植、56年自治植民地となり、1901年他州とともに連邦を結成した。
[谷内 達]