[語誌](1)イングランドでそれまでさまざまな形で行なわれていたフットボールに、一八六三年、フットボール協会(The Football Association)が初めて統一ルールを制定したのが「アソシエーション‐フットボール」である。「サッカー」はその学生俗語。 (2)日本でこの競技が紹介されたのは明治六年(一八七三)とされる。初め「蹴鞠(けまり)」「フットボール」「アッソシエーション、フットボール」などといわれたが、「蹴球」の訳語ができ定着した。また、「ア式蹴球」といって、「ラ式蹴球」(ラグビー)と区別することもあった。 (3)日本で「サッカー」が初めて使われたのは大正七年(一九一八)といわれるが、広まったのは第二次世界大戦後。
このように誕生したサッカーを飛躍的に発展させたのは,1871年から始まったFAカップの大会であった。この大会は競技者ばかりでなく観衆に対しても大きな影響を及ぼし,競技場へ観衆を引きつけた。そのおもな原因は,FAの設立当時は上流階級のスポーツであったサッカーが,下層階級に急速に広まったためである。また,1850年以降労働時間の短縮による労働者の余暇時間の増大も大きく影響している。FAカップはまた,創設当時は大学やパブリック・スクール出身者の上流階級のクラブが優位を保っていたが,しだいにイギリス北部の労働者のクラブが力をつけ,上流階級のクラブを打ち負かすようになった。そのなかで注目すべきことは,すでに労働者のクラブのなかにプロと考えられる選手が存在していたことである。これらのクラブは選手に報酬を支払っていることを否定し,FAもその事実をつきとめることは難しかった。しかし,時代の流れは激しく,このような選手が多く出現するようになり,1885年FAはプロ選手を公認し,88年プロ・リーグの創設となった。当時これらのサッカークラブの支援者となることが,経済的発展をとげた商人階級がその社会的地位を確保するうえで有効でもあり,また選挙法の改正により労働者も選挙権を得た時代を反映し,政治家が選挙民の心をとらえる機会ともなった。このような経緯で,以降のサッカーを統轄する協会は,プロとアマチュアを同時に支配下に置き,大きな発展をみるわけである。イングランドで盛んになったサッカーはイギリス全土に広まり,スコットランド,ウェールズ,北アイルランドにも協会が設立された。それらの協会の間で試合が行われるようになり,ルールの調整の必要から4協会の代表によって1882年国際サッカー評議会International Football Association Boardが設立され,以後のサッカーのルールに関するすべての事がらがここで決定されることになった。
FAの設立以降,サッカーは大英帝国が海外に勢力を拡大するにしたがい,世界に広められていった。この世界への伝播に貢献したのは船員,軍隊,技術者,学生,商人,外国居住者などであった。ヨーロッパ大陸へは教育や商業を通して持ち込まれ,発展した。なかでもイギリスの産業の拡大によってヨーロッパ大陸の多くの大都市にイギリス人街ができ,彼らによってサッカーは急速に広められた。この現象は南アメリカでも同様で,とくにアルゼンチンを基点にウルグアイ,ブラジルへと広まった。こうしてサッカーは各国間の国際交流を盛んにし,非公式ながら1900年のパリ・オリンピック大会で試合が行われ,08年のロンドン大会からは正式種目となった。サッカーの隆盛は当然のことながら国際的機関の創立へと進み,1904年ヨーロッパの国々によって国際サッカー連盟 Fédération Internationale de Football Association(略称,FIFA(フイーフア))が組織された。このFIFAは,11年の南アメリカ諸国の加盟により大きく発展した。そして30年多くの人々の夢であった世界選手権(ワールドカップ)の開催を南アメリカのウルグアイで実現した。このワールドカップは以降のサッカーの発展に大きく寄与し,とくにヨーロッパと南アメリカの競い合いは,現在も世界的な関心を集めている。また,上記の2大陸のほかにアジア,アフリカ,北中米カリブ海,オセアニアの6大陸にそれぞれ大陸連盟が設けられ,サッカーは世界のあらゆるところで愛好されている。イタリア,イギリス,ブラジル等では,プロのサッカー試合でトトカルチョ(サッカーくじ)が行われることもあって,特に大衆的な人気を得ている。世界で広く行われているサッカーは,交通機関や情報伝達手段の発達により,ますます広がりをみせている。そのことがまた,大陸間や国のプレースタイルの特徴を超えたさらに高度なサッカーを追求する形となっている。国際サッカー連盟への加盟国・地域は198ヵ国(1997現在)にのぼっている。
表面に縦,横,または格子状の〈しぼ〉のある織物。本来はシアサッカーseersuckerといい,〈ミルクと砂糖〉を意味するペルシア語のshīr va shakkarに由来する。もともとインドで作られ,亜麻や木綿であったが,現在は絹やレーヨンでも作られる。〈しぼ〉は張力の異なる糸を経,緯に用いて凹凸を作るが,苛性ソーダなどを用いた薬品処理を行うこともある。一般に薄手で,〈しぼ〉のさらりとした触感から夏物衣料に用いられる。 執筆者:池田 芙美