(読み)シュク

デジタル大辞泉 「縮」の意味・読み・例文・類語

しゅく【縮】[漢字項目]

[音]シュク(呉)(漢) [訓]ちぢむ ちぢまる ちぢめる ちぢれる ちぢらす
学習漢字]6年
ちぢむ。ちぢめる。「縮小縮図凝縮緊縮収縮伸縮短縮濃縮
心がいじける。「畏縮いしゅく恐縮
[名のり]おさむ・なお
難読縮緬ちりめん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「縮」の意味・読み・例文・類語

ちぢみ【縮】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ちぢむ(縮)」の連用形名詞化 )
  2. ちぢむこと。また、そのもの。
    1. [初出の実例]「三味弾けば頬さき赤し、髪のちぢみに思ひつけば、手あしが太し」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)鄙)
  3. ちぢみおり(縮織)」「ちぢみぬの(縮布)」などの略。
    1. [初出の実例]「伏見袋より縮一巻・杉原廿帖返礼」(出典:義演准后日記‐文祿五年(1596)正月一三日)
    2. 「いさ心跡なき金のつかひ道〈其角〉 宮の縮のあたらしき内〈孤屋〉」(出典:俳諧・炭俵(1694)下)

ちぢれ【縮】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ちぢれる(縮)」の連用形の名詞化 ) ちぢれること。ちぢれていること。また、そのもの。
    1. [初出の実例]「毛のちぢれを見る」(出典:羽鳥千尋(1912)〈森鴎外〉)

しゅく【縮】

  1. 〘 名詞 〙 鎧の着付けを直すこと。鎧を着ること。また、鎧を数えるのに用いる語。領(りょう)。多く「一縮」の形で用いる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「縮」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 17画

[字音] シュク
[字訓] ちぢむ・たて

[説文解字]

[字形] 形声
声符は宿(しゆく)。〔説文〕十三上に「亂るるなり」とし、「一に曰く、蹴なり」という。縱(縦)と通用し、〔礼記、檀弓上〕「古は冠は縮」とは、縦に縫い合わせる意。〔孟子、公孫丑上〕「自ら反して縮(なほ)からば、千人と雖も、吾(われ)かん」は直の意。みな通用の義である。また酒を縮(ひた)す意に用いるのは、の声の仮借の義である。

[訓義]
1. ちぢむ、かがむ、つづまる、しわよる。
2. たて、ただしい、なおくする。
3. おさめる、くくる、とる、収束する。
4. 蹴と通じ、すくむ、足が進まない。
5. と通じ、したむ、酒をこす。
6. 籔(そう)と通じ、米あげざる。

[古辞書の訓]
名義抄〕縮 ヲサム・ツツム・ツヅマル・シジマル・ミタル・スク・シタム・ユヒツク 〔字鏡集〕縮 カガマル・シリゾク・シボル・シバラク・ユヒツク・シタム・オサム・ツヅマル・スクミタル・シタガフ・シボル・ミダル・ツヅル・ツツム・トドマル・シジマル・スク

[語系]
縮shiukは肅(粛)・siuと声近く、は刺。刺によって糸の乱れの生ずるのを縮という。そのちぢまる義は、・蹙・蹴tziukと声が近く、同系の語である。また縱tziong、直dikとも、声において通ずるところがあり、その義に用いる。

[熟語]
・縮衣・縮印・縮・縮気・縮頸・縮減・縮甲・縮項・縮財・縮・縮酌・縮酒・縮手・縮収・縮小・縮身・縮・縮版・縮鼻・縮伏・縮縫・縮栗・縮慄
[下接語]
圧縮・畏縮・萎縮・蝟縮・盈縮・縮・愧縮・恐縮・凝縮・局縮・緊縮・軍縮・巻縮・減縮・収縮・羞縮・縮・舒縮・伸縮・節縮・足縮・退縮・蓄縮・茅縮・斂縮・攣縮

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「縮」の意味・わかりやすい解説

縮 (ちぢみ)

縮織の略。洋服地のクレープcrapeにあたる。生地全体にしぼ(皺),しじら(縬)のある織物総称広義にはちりめんも含まれる。織り方に縮としじらがあり,縮は平織の緯糸強撚糸や収縮糸を用いて織ったのち,湯に浸してもんで縮ませ,表面に小さな波状の凹凸を出したもの。しじらは経緯糸の張り方を不均一にしたり,太い糸と細い糸を配することで縮じわを生じさせる。材質は綿,麻,絹,合繊等がある。綿縮には片しぼと両しぼがあり,片しぼは楊柳縮,または楊柳クレープと称し,両しぼのことを一般に綿縮と呼ぶ。単に縮といえば綿縮のことが多い。絹縮は片しぼを絹縮といい,両しぼのものをちりめんと称して区別する。明石縮は江戸時代初期,播磨国明石でつくられ,その後,京都,小千谷でもつくられるようになり,昭和初期まで流行した。綿縮と麻縮は織り上げたのち,のり抜き,しぼ取り,幅出しの工程を行い,絹縮は白地の生機(きばた)を精練して幅出し,また染色加工する。麻縮は慶長(1596-1615)のころから夏物衣料として使われ,江戸中期には各地で織られ,縞,絣等があった。麻の小千谷縮はもと越後縮ともいい,1670年(寛文10)ころ,明石藩の浪士によって織り出された。綿縮は明和(1764-72)から天明(1781-89)のころ,千葉の漁師たちの間で川越縞を模して波崎縞が織られていたが,強撚糸使いの縮が創製され,のち銚子縮として広まったのが始まり。寛政年間(1789-1801)には阿波しじらがつくられた。縬間道(しじらかんとう)は縮んだ白地に黒茶の吉野縞が入り,名物裂(めいぶつぎれ)として知られている。縮はしぼのために肌ざわりがよく,夏の衣料として欠かせなかったが,近年は服地,下着,夜具地などに利用されている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「縮」の意味・わかりやすい解説

縮【ちぢみ】

布面に細かい波状のちぢれを表した織物の総称。洋服地のクレープに当たる。ふつうは緯糸(よこいと)に強撚糸(きょうねんし)を用いて織り,しぼ出し仕上げをする。しじらのように張力の異なる糸を部分的に用いるもの,ローラーの型押しによるエンボス加工で縮を作るものなどもある。材質は絹,綿,麻で,これを模して化繊,合繊も用いる。絹縮はふつうちりめん縮緬)と称する。綿縮は吸水性に富み涼感があるので夏の衣料とされる。麻縮はチョマが多く用いられ,夏の着物地として新潟県の小千谷(おぢや)縮が有名。
→関連項目明石縮越後上布サッカー(織物)【しじら】織

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「縮」の意味・わかりやすい解説


ちぢみ

織面にしわのようなしぼ立ちのある生地(きじ)の総称。クレープの一種。この技法は、綿・絹・麻・化合繊などいずれの繊維にも応用できる。一般に経(たて)糸には片撚(かたより)糸を使い、緯(よこ)糸には左右両方向の強撚糸(きょうねんし)を交互に打ち込んで平織に織り、糊(のり)抜き、精練をし、強撚糸の収縮を利用してしぼを出したものである。強撚糸の使い方は、種類によって異なるが、左右の強撚糸を1本ずつ交互に打ち込むもの、2本ずつあるいは4本ずつのものがあるが、しぼの大きさに違いを生ずることになる。このうち木綿のものは綿縮といい、夏の肌着に使われる。また、麻のものに小千谷(おぢや)縮、絹のものに明石(あかし)縮があり、盛夏の着尺地として珍重されている。

[角山幸洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「縮」の意味・わかりやすい解説


ちぢみ

縮織物のこと。クレープと同義だが,クレープは一般に洋装用生地をさす。緯糸に強く撚 (よ) った糸を用いて織り,これを練って,表面に細かい皺 (しぼともいう) を生じさせた織物。江戸時代の初期,播磨国明石で絹縮がつくられたのを始りとして,のち豊前の小倉,越後の小千谷などにこの織法が伝わった。小千谷縮はカラムシ (苧麻) を原料とし,夏用の衣料として珍重された。木綿縮は小倉,岩国,川越,銚子,足利,阿波などで産した。縮緬 (ちりめん) も縮の一種であるが,主として絹織物をいう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【延】より

…さらにまたきわめてまれな例ではあるが,荘枡が領主側の枡より容量が少ないために,枡目が減少する場合もあった。このような減少分は,とくに〈縮(ちぢみ)〉と呼んだ。【宝月 圭吾】。…

【チョマ(苧麻)】より

…ラミーramie,マオ(真苧)ともいい,茎から靱皮繊維をとる(イラスト)。その繊維で織った布を上布(じようふ)と呼び,越後上布,小千谷縮(ちぢみ),宮古上布などが有名で,産地によって特色がある。イラクサ科の多年草で,茎は直立し,高さ1~2m。…

※「縮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android