日本大百科全書(ニッポニカ) 「サトウカエデ」の意味・わかりやすい解説
サトウカエデ
さとうかえで / 砂糖楓
sugar maple
[学] Acer saccharum Marsh.
カエデ科(APG分類:ムクロジ科)の落葉高木。樹液に砂糖分を含むのでサトウカエデの名がある。アメリカ北東部からカナダにかけて森林を形成している。高さ40メートル、幹の直径90センチメートルに達する。葉はカナダの国旗にデザインされているもので、9~15センチメートルの大きさで対生する。秋の黄葉が美しいので街路樹や庭園樹にする。4~5月、新葉とともに黄色の花をつける。花は雌雄異花で、花被(かひ)は癒着して鐘状をしている。果実には2枚の翼があり、秋に熟して舞い散る。樹液は、3~4月中旬に、地上1.5メートルほどのところに直径3センチメートルほどの穴をあけ、管を挿入して容器に受ける。液は2~5%の砂糖を含み、煮つめてメープルシロップをつくる。シロップは黄金色でよい香りと品のよい味で、ホットケーキにかける蜜(みつ)として最高級品とされるが、シロップ1リットルをつくるのに40リットルの樹液を必要とし、高価である。このシロップから砂糖(メープルシュガー)をつくり、おもにアメリカやカナダでケーキ類、プディング、アイスクリームなどに利用され、また、たばこにも添加されている。北アメリカ産で近縁のクロカエデ、トネリコバノカエデからも甘い樹液がとれ、量的にはサトウカエデに及ばないが同様に利用される。日本のイタヤカエデからも樹液をとるが、糖含量が1.3~1.8%と低く、現在は十和田湖周辺でごくわずか生産されるにすぎない。
[星川清親 2020年9月17日]