ロシア連邦西部、サラトフ州の州都。人口88万1000(1999)の大都市で、ボルガ川右岸に位置し、河港を有する。モスクワ、ボルゴグラード、カザン、ウリヤノフスクと連絡する鉄道、自動車道の分岐点、またボルガ沿岸地域の工業、文化の中心地として発展している。ロシア革命後から第二次世界大戦まで、モーター、ボールベアリング、食品工業用設備などの機械工業施設が建設されたが、戦後、航空機、繊維、皮革、化学工業用設備製造、石油加工業、各種軽工業などが発展した。教育・文化施設も多く、総合大学、音楽、工科、農業、医科、獣医科、経済、法科、教育などの大学や高等教育機関、チェルヌィシェフスキー記念オペラ・バレエ劇場、ドラマ劇場、人形劇場、サーカス場、美術館、郷土博物館などの文化施設がある。
1590年、ボルガ水路を守る要塞(ようさい)都市として建設され、17世紀後半に水陸の貨物積み換え地点、水産物、塩の取引中心地として発展した。19世紀後半には製粉、油脂製造工業がおこり、製パン用粉の大取引中心地であった。初めボルガ川右岸につくられ、17世紀初め左岸に移ったが、ステンカ・ラージンの乱で破壊されてふたたび右岸に再建された。1965年に右岸と左岸を結ぶ橋が建設された。ロシアの哲学者で文芸批評家のチェルヌィシェフスキーの生地で、その住居博物館がある。
[中村泰三]
ロシア連邦,ヨーロッパ・ロシア南東部の同名州の州都。人口85万7961(2004)。ボルゴグラードの北350km,ボルガ右岸に位置し,帝政時代から商業都市で,小規模な食品工業などもあった。現在は工業・文化の一大中心地で,精密機械,石油精製工業などが盛ん。1909年に創立されたロシアで11番目の大学をはじめ高等教育機関,劇場,博物館などが多数ある。19世紀の革命思想家でレーニンにも大きな影響を与えたチェルヌイシェフスキーの出生地で,彼は長い流刑ののち,この市で死去した。
執筆者:倉持 俊一
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