ウクライナの重工業都市。1921年までアレクサンドロフスクАлександровск/Aleksandrovskとよばれた。ザポリッジャともいう。ロシア語ではザポロージエ。ドニプロ(ドニエプル)川中流左岸に市の主要部があり、河港もある。人口81万5000(2001)、74万1496(2018推計)。市の起源は1770年に建設されたアレクサンドロフスク要塞(ようさい)である。のちにドニエプル・コサックの軍団司令部が置かれた。1806年に郡役所所在地となり、交易でにぎわった。重工業化の進展はソ連の第一次五か年計画(1928~1932)時代、ドニプロ発電所建設に負うところが多い。市の大企業には「ザポロジスターリ」(鉄鋼)、「ドニエプロスペツスターリ」(特殊鋼)、「アフトザズ」(1500~1600ccの小型乗用車タブリア・ノバ、1200ccの小型乗用車スラブタなどを製造)があるほか、変圧器、発動機、コークス化学などの工場がある。南ウクライナの学芸中心地でもあり、機械工学、教育、冶金(やきん)などの研究教育施設、グリンカ記念音楽堂、多くの劇場、郷土博物館、サーカス団、交響楽団などが置かれている。川中のホルチツァ島には保養所、休息の家、キャンプ場などの施設が多い。都市計画の基本は河岸のダムサイトの公園から緩く下る大通りを軸にしており、対岸にも新市街や新しい住宅団地が広がっている。
[渡辺一夫・上野俊彦]
「ドニエプロゲス」が正式名称である。1927~1932年にわたって、ザポリージャの西端付近から対岸に向かってアーチ式の堰堤(えんてい)(長さ760メートル、高さ60メートル)を建設し、65.3万キロワットの発電能力をもつ発電所を設けた。左岸(市街側)に3室からなる閘門(こうもん)を設置して船舶が航行できるようにした。建設当時はヨーロッパ最大の発電所であり、レーニンの電化計画であるロシア電化委員会ゴエルロГОЭЛРО/GOELRO(1920~1931)の成果として知られた。1969~1980年に「ドニエプロゲス第二」発電所が左岸側に建設され、これは82.8万キロワットの発電能力をもっている。
[渡辺一夫・上野俊彦]
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