改訂新版 世界大百科事典 「シクロペンタン」の意味・わかりやすい解説
シクロペンタン
cyclopentane
5員環の炭化水素。常温で無色の可燃性液体。融点-93.46℃,沸点49.26℃。1 ,4-ジブロモブタンとマロン酸ジエチルとをナトリウムエトキシドの存在下に反応させて得られる1,1-シクロペンタンジカルボン酸ジエチルを,加水分解,脱炭酸してシクロペンタンカルボン酸とし,さらにこれを脱炭酸して合成する。
最も安定な配座は,下図のように4個の炭素原子が同一平面上に並び,残りの1個の炭素原子がその面の外に位置した〈封筒形〉と呼ばれる配座である。面外の炭素原子が面の上か下か,また,どの炭素原子が面外になるかによって合計10通りの互いに区別できない封筒形ができ,これらは高速で相互に変換している。
執筆者:小川 桂一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報