シソ科(読み)シソか(その他表記)Labiatae

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シソ科」の意味・わかりやすい解説

シソ科
シソか
Labiatae

双子葉植物シソ目の1科。唇形花科ともいう。世界の熱帯から亜寒帯,高山帯にいたるまで広く分布し,約 180属 3500種がある。大部分は草本 (多年草または一年草) であるが,低木種やつる植物を少数含む。特に地中海周辺に多くの種属が分化しているが,オーストラリアや中央アメリカ,インドなどにもそれぞれ独特の群 (亜科) がある。1つの特徴は茎に4稜があって断面が四角形をなすことである。また,葉は対生し,しばしば葉や全草に精油成分を含んでいて芳香があり,ハッカMentha,ローズマリー属 Rosmarinus,イブキジャコウソウ属 Thymusなど香料植物として著名なものがある。花は通常は両性花で,左右相称形の筒形花冠をもつ。花冠は上半部が上下二唇に分れるので唇形花冠と呼ばれ,上,下唇はそれぞれ2,3片に浅裂し計5片となる。外側の萼筒も同様に管状で上端は5浅裂し,上下の二唇形をなすものもある。おしべは4本あって花筒の内側につき,同長,または2本だけが特に長い。めしべは1個で花柱は2裂,子房は2心皮であるが,それぞれが2室となるので全体は4室となる。このため果実は4分果からなる。前述の香料植物のほか,シソ (紫蘇)チョロギ日本食用に,サルビアSalviaなどは観賞用に栽培される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シソ科」の意味・わかりやすい解説

シソ科
しそか
[学] Lamiaceae (Labiatae)

双子葉植物、合弁花類。多くは草であるが、まれに木になるものもある。茎は断面が四角形のことが多く、葉は2枚ずつ向き合って節に対生するか、まれに輪生する。托葉(たくよう)はない。萼片(がくへん)は合生して筒状となり、先に5歯があることが多く、二唇形となることもある。花冠は左右相称の合弁花冠となり、多くは唇形となる。雄しべは4本または2本で、花糸は花冠の筒部につく。雌しべは1本で、子房は縦に4裂し、果実は4分果に分かれる。世界に約200属3500種あり、日本にはシソ属、キランソウ属、タツナミソウ属など28属約90種が分布。植物体中に精油を含み、独特の香気をもつものが多い。ハッカ、セージなどは香料用、シソなどは香味用、カキドオシウツボグサなどは薬用、サルビアなどは観賞用とする。

[村田 源 2021年9月17日]

 APG分類でもシソ科とされる。クマツヅラ科からムラサキシキブ属やクサギ属など多くの種類がシソ科に移された。この分類による2018年のデータでは世界に約240属7000種あり、日本には約30属90種がみられ、帰化種も多い。

[編集部 2021年9月17日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android