セージ(読み)せーじ(英語表記)sage

翻訳|sage

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セージ」の意味・わかりやすい解説

セージ
せーじ
sage
[学] Salvia officinalis L.

シソ科(APG分類:シソ科)の多年草。南ヨーロッパ、地中海沿岸の原産で、日本へは1890年(明治23)ころに渡来した。花壇用とされるサルビアの仲間である。茎は高さ50~90センチメートルで、株元は木質化し低木状となる。茎葉とくに葉裏はビロード状の白色の軟毛に覆われる。5~7月、紫、青、白色などの花を開く。葉はピネンシネオールなどの精油を含み香りがよく、古くから薬用にされ、ヤクヨウサルビアの名があるが、現在のおもな用途はソースなどの付香料である。一般によく栽培されるものは、葉が本種より長く7~10センチメートルあり、香りもより強い変種のホソバサルビアである。花は淡青色である。

[星川清親 2021年9月17日]

利用

葉を乾燥したものを香辛料として用いる。語源はラテン語のsalvare(治す、救うの意)といわれ、昔から薬草として用いられた。頭脳の働きを刺激し、心身の強壮剤として、ひいては長寿の効果があるとされた。旧ユーゴスラビア地域、アルバニア、イタリア、ギリシア、トルコに産する。乾燥した葉は一見カビが生えているようにみえる短く細い繊毛で覆われ、灰緑色をしており、香辛料としては、さわやかなほろ苦さ、樟脳(しょうのう)のようなシネオールのにおいと、ヨモギに似た新鮮な強い香りが特徴である。肉の臭み消しに効果があり、とくに豚肉料理、ソーセージによくあう。そのほかレバーや肉のマリネひき肉を使った詰め物、鳥肉料理、煮込み料理ハンバーグなどに用いられ、サラダドレッシングに少量入れるとさわやかさが引き立つ。香りが強いので控え目に用い、煮込み料理には布袋に入れて調理後に引き上げるとよい。

[齋藤 浩 2021年9月17日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セージ」の意味・わかりやすい解説

セージ
SAGE; Semi-Automatic Ground Environment

アメリカ合衆国が 1954年に採用した,コンピュータを主体とした自動防空警戒管制組織。長距離レーダ網などの早期警戒装置から送られてくる情報を,北アメリカ航空宇宙防衛軍 NORADが処理し,目標を追跡,識別して航空諸元,迎撃諸元を試算し,迎撃基地へ通報する。また迎撃機を目標に誘導する。この一連の過程で,人の関与は最後の判断だけ。その後バックアップ要撃戦闘機管制システム BUICが追加された。今日ではセージの後継システムとしてアメリカとカナダの協同監視システム JSS; Joint Surveillance Systemが運用されている。同種のものに日本の自動警戒管制システム JADGE(→自動警戒管制組織 BADGE),北大西洋条約機構 NATOのナッジ NADGEがある。

セージ
Salvia officinalis; sage

シソ科の多年草で,地中海地方原産。薬用および香料植物である。茎の高さ 50~100cmで茎部は木化し,4本の稜があって四角柱状をなす。葉は対生し,葉の裏面は白い毛で密におおわれる。サルビア属であって,夏に総状花序にサルビアに似た淡紫色の管状の唇形花を多数つける。全草に精油成分を含み芳香がある。葉を乾かして香料とし,料理,特にソースやカレーに加え,また消炎作用があるのでハッカ同様に薬用として用いられた。栽培の歴史が長いため栽培品種が多い。

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