シムラ会議(読み)シムラかいぎ

百科事典マイペディア 「シムラ会議」の意味・わかりやすい解説

シムラ会議【シムラかいぎ】

(1)1913年―1914年に行われた,チベット独立に関するチベット,英国,中国の三者会議。インド北部シムラSimlaは,英領インドの夏の主都。1911年に独立を宣言していたチベットの自治とその領域については一応解決したが,最終的に中国が調印しなかったため,チベットの地位は不安定なものとなった(チベット問題)。またチベットと英国は現在の中国・インド国境〈マクマホン・ライン〉を秘密裏に合意,後に中印国境問題の原因となった。(2)1972年に開かれた第3次インド・パキスタン戦争講和会議。停戦合意のほか,戦勝国インドは両国間の紛争第三国を介入させないことを主張,これを含むインド・パキスタン協定(通称シムラ協定)が締結された。

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改訂新版 世界大百科事典 「シムラ会議」の意味・わかりやすい解説

シムラ会議 (シムラかいぎ)

チベットの独立に関して,チベット,イギリス,中国の3国間で行われた会議。清朝末期チベットは清朝の強硬政策により動揺していたが,1911年の辛亥革命契機として独立を宣言した。このようにして発生したチベット問題解決のため,チベット,イギリス,中国(袁世凱政権)の代表は,インドのシムラにおいて,1913年11月~14年5月にわたり会談した。会議では,チベットの中国宗主権下での自治およびその領域等について一応の合意ができたものの,結局中国は離脱しチベットとイギリスのみで調印した。中国の承認を欠いたチベットの不安定な地位・境界は,第2次世界大戦後のチベット問題,中印国境紛争の原因となるのであった。
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