子どもの遊びの一つで,セッケンを溶かした液を細い管につけて吹くと空中に球状の薄膜となって舞い,日光に映じて美しい色彩を呈す。溶液に松やに,グリセリンなどを混ぜるとさらにあざやかな色を放つ。シャボンはセッケンを意味するポルトガル語のサボンsabãoが語源で,16世紀に日本へ渡来した。広く世界で行われてきた遊びで,イギリスの化学者ボイズC.V.Boysの《シャボン玉とその原理》(1902)という本もある。日本では,江戸時代1680年(延宝8)刊の《洛陽集》に〈空やみどりしゃぼん吹かれて夕雲雀(ひばり)〉という句があり,さらに1830年(天保1)刊の《嬉遊笑覧》によると,当時はムクロジ,いもがら,タバコの茎などを焼いて粉にしたものを,水に溶かし用いており,この遊びのことを〈水圏戯(すいけんき)〉などといった。幕末のころにはシャボン玉を売る行商人も現れた。32年江戸中村座で中村芝翫が上演した《おどけ俄煮珠取(しやぼんのたまとり)》にその行商風俗が登場し,1853年(嘉永6)刊の《守貞漫稿》ではそのふれ売りの文句について,京坂は〈ふき玉やさぼん玉。吹けば五色の玉が出る〉,江戸においては〈玉や玉や〉といったとある。明治期以後,セッケンの普及につれてその姿を消した。水玉を吹く管には麦わらや,細い竹,プラスチック製のものなどが用いられる。
執筆者:斎藤 良輔
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せっけんを溶かした液を、麦藁(むぎわら)、竹、ビニルなどの細い管につけて吹くと、空中に舞う水玉。子供が吹いて遊ぶ。溶液に松脂(まつやに)、グリセリンなどを混ぜると水玉はさらに鮮やかな色を放つ。17世紀の初め渡来したもので、ポルトガルのsabáo(せっけん)が語源という。1680年(延宝8)刊の『洛陽(らくよう)集』に、「空やみどりしゃぼん吹かれて夕雲雀(ひばり)」の句があり、当時すでに日本の遊びになりきっていたことを示している。また1830年(天保1)刊の『嬉遊笑覧(きゆうしょうらん)』(喜多村信節(きたむらのぶよ)著)では、シャボン以外にムクロジの実やいもがら、タバコの茎などを焼いた粉を材料に用いてシャボン玉遊びをしていることを記し、蘭(らん)人(オランダ人)はセップといい、ラテン語でサボーネというのがシャボンとなった、また玉を吹くこの遊びを水圏戯(すいけんぎ)という、とも書いている。女性の間でも流行し、夏の玩具(がんぐ)として行商が振れ売りに歩いた。1853年(嘉永6)刊の『守貞漫稿(もりさだまんこう)』(喜田川(きたがわ)守貞著)には、その振れ売りの文句を、京坂では「ふき玉やしゃぼん玉、吹けば五色の玉が出る」、江戸では「玉や玉や」と記している。明治以後行商は姿を消したが、現在も小物玩具として売られ、縁日の露店などでもみられる。
[斎藤良輔]
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…限られた小空間に閉じ込められた気体分散系をいう。液体中の気体分散系,シャボン玉のように薄い液膜でかこまれた球形の気体などがあり,前者を気泡,後者を泡沫と呼ぶことが多い。気泡は,衝撃などにより液体が気体をまき込んだり,液中に気体を噴出させたり,あるいは加温,減圧などによる液中での気体の発生によって生成する。…
※「シャボン玉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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