(読み)あわ(英語表記)foam

翻訳|foam

日本大百科全書(ニッポニカ)「泡」の解説


あわ
foam

液体に囲まれた気体粒子を気泡といい、液体の薄膜で囲まれた気体粒子ならびにその集団を泡沫(ほうまつ)という。泡とは気泡や泡沫の総称であり、コロイドの一種とみなすことができる。しかしながら、泡の気体粒子の大きさは、通常のコロイド粒子に比べてはるかに大きい。

[早野茂夫]

泡の生成

液体中に溶解している気体が析出する場、あるいは液体中に気体を吹き込む場合に泡が発生する。ビールの栓を抜くときにできる泡は前者の例であり、ストローでせっけん液に空気を吹き込んでできるしゃぼん玉は後者の例である。液体中で発生した泡は液面に浮上し、安定剤が存在するときには泡の層をつくるか、または独立した気泡として空気中に浮遊する。安定剤は泡の寿命を保持するために必要であるが、起泡剤とも称し、界面活性剤がその役割を演じる。安定剤は気体‐液体間の表面張力を低下させて泡をつくりやすくするばかりでなく、泡の表面に配列して吸着膜をつくり、その構造全体を安定化するのに寄与している。

[早野茂夫]

泡の性質

起泡剤を溶かした水溶液に多量の気体を吹き込み、このときに発生する泡がどのように変わるかを考えよう。の(1)に示すように、泡を隔てている壁の部分の液体は、比較的速やかに三角地帯(T)に流れ込み、液膜はどんどん薄くなる。この過程は泡の排液とよばれる。起泡剤としてイオン性界面活性剤が使用される場合には、膜が薄くなる極限の状態は、の(2)に示すような、2分子の界面活性剤が親水基を溶液側に相対して、電気二重層を形成したときで、このときの膜の厚さは界面活性剤の長さのほぼ2倍(約5ナノメートル)である。この厚さは、光の波長に比べてはるかに薄いので光を透過し、暗色を呈し、黒膜black filmと名づけられている。

[早野茂夫]

泡の利用

鉱石のなかから特定の有用な鉱物を取り出す方法に浮遊選鉱法がある。これは泡に対する付着性が鉱物により異なることを利用したもので、これまでは精錬が困難とされていた品位の低い鉱物も資源として扱えるようになった。また大量の泡を火災発生箇所に送り、空気の供給を遮断し、泡の水分による冷却の作用によって消火を行う方法がある。またプラスチック製品を成形するときに小さい気泡を発生させ、固化させた製品はフォームラバーとして日常生活に応用されている。

[早野茂夫]

『立花太郎著『しゃぼん玉――その黒い膜の秘密』(1975・中央公論社)』


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精選版 日本国語大辞典「泡」の解説

あぶく【泡】

〘名〙
あわ。水のあわ。
随筆・松屋筆記(1818‐45頃)一〇五「俗にあぶくといふはあわぶくの略也」
② 「あぶくぜに(泡銭)」の略。
※怪化百物語(1875)〈高畠藍泉〉下「元が贏余金(アブク)だから、商業(みせ)へさはるやうなことはマアありません」

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デジタル大辞泉「泡」の解説

ほう【泡】[漢字項目]

常用漢字] [音]ホウ(ハウ)(漢) [訓]あわ あぶく
ホウ〉空気を包んだ水の玉。あわ。「泡影泡沫(ほうまつ)気泡水泡発泡
〈あわ〉「泡盛(あわもり)泡雪一泡
[難読]泡銭(あぶくぜに)泡沫(うたかた)水泡(みなわ)

あわ【泡/×沫】

液体が空気を包んでできた小さい玉。あぶく。「―が立つ」
口の端に吹き出る唾液(だえき)のあぶく。「―を吹く」「口角(こうかく)―を飛ばす」
すぐ消えるところから、はかないことのたとえ。「多年の苦労も水の―となる」

あぶく【泡】

あわ」の俗な言い方。

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世界大百科事典 第2版「泡」の解説

あわ【泡】

限られた小空間に閉じ込められた気体分散系をいう。液体中の気体分散系,シャボン玉のように薄い液膜でかこまれた球形の気体などがあり,前者を気泡,後者を泡沫と呼ぶことが多い。気泡は,衝撃などにより液体が気体をまき込んだり,液中に気体を噴出させたり,あるいは加温,減圧などによる液中での気体の発生によって生成する。多くの場合,合一して大きくなり,比重の関係で液中を上昇し気液境界に達したとき消滅する。液体の粘度の高いほど,また気泡のが小さいほど寿命は長く,また界面活性をもつ物質(界面活性剤)の添加により安定化する。

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