シュウィッタース(その他表記)Schwitters, Kurt

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュウィッタース」の意味・わかりやすい解説

シュウィッタース
Schwitters, Kurt

[生]1887.6.20. ハノーバー
[没]1948.1.8. イギリス,アンブルサイド
ドイツの美術家。ハノーバーのダダイストとして知られる。 1909~14年ドレスデンのアカデミーで学び,伝統的画法を身につけたが W.カンディンスキーと F.マルクの影響を受け,17~18年頃にはキュビスム的表現主義の作品を描き,18年には抽象画を描くにいたった。この年の暮れからハノーバーで古新聞,広告などの切れ端や日用品の断片を拾い集めて画面に張合せるコラージュを始めた。 19年に制作したコラージュ中にたまたま見出された語 MERZ (メルツ) をとってこの種の作品の呼称とし,また 23年に出版した雑誌の題名ともした。 18年にベルリンのシュトルム画廊に出品して前衛画家としての地位を確立し,32年パリのアブストラクシオン・クレアシオンに参加。 33年ナチスの弾圧を逃れてノルウェーへ,次いで 40年イギリスに亡命した。がらくたを集めた建築も試み,メルツ建築と呼ばれた。代表作『星座』 (1920) ,『さくらんぼ』 (21,ニューヨーク近代美術館) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「シュウィッタース」の意味・わかりやすい解説

シュウィッタース
Kurt Schwitters
生没年:1887-1948

ドイツの造形作家。ハノーファー生れ。ドレスデンの美術アカデミーに学ぶ。第1次大戦末以来ダダから構成主義へと歩み,廃品や印刷文字を素材にして造形に新機軸を出した。一連の作品をみずから〈メルツMERZ〉(〈コメルツKOMMERZ(商業)〉からの切取り)と呼び,それは詩やコラージュから舞台,建築に及ぶ。それらを集大成したハノーファーの自宅〈メルツバウMerzbau〉(1920)は,音声の構成詩〈原ソナタUrsonate〉とともに代表作である。1923年には《メルツ》誌を創刊。〈メルツ〉は37年の亡命以来ノルウェーとイギリスでも継続された。
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百科事典マイペディア 「シュウィッタース」の意味・わかりやすい解説

シュウィッタース

ドイツのダダイスト。ハノーファーでダダ運動を起こし,雑誌《メルツMERZ》を編集包装紙や新聞,針金,木片などによる〈メルツ絵画〉を制作,後により大規模な構成作品〈メルツバウ(メルツ建築)〉を提唱し,自宅そのものを作品化していく。1933年ナチスを逃れノルウェーに移住,さらに1941年英国に移る。ここでも〈メルツバウ〉を展開し,この〈メルツバウ〉は,彼の死後ニューキャッスル大学に保存されている。
→関連項目ティンゲリーファン・ドゥースブルフ

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世界大百科事典(旧版)内のシュウィッタースの言及

【オブジェ】より

…デュシャンは13年以後,量産の日用品を加工も変形もせず作品化する〈レディ・メード〉で,一品制作の手仕事による個性やオリジナリティの表現という,近代芸術の理念にアイロニカルな批判をつきつけ,ピカビアの〈無用な機械〉と名づけた立体や絵画も,機械のメカニズムをとおして人間や芸術を冷笑した。第1次大戦中におこったダダは,これらの実験を総合し,アルプやハウスマンの木片のレリーフ状オブジェや,シュウィッタースのがらくたを寄せ集めた〈メルツMerz〉,エルンストの額縁に入った金庫のようなレリーフ状作品などで知られる。ロシア,オランダの構成主義の,幾何学的構成物も見のがせない。…

【ダダ】より

… 19年ケルンに移ったアルプは,友人のエルンスト,ラインラント共産党を創立した画家・詩人バールゲルトらと,集会,コラージュフロッタージュオブジェ,自動詩による無意識の探求に集中した。ハノーファーのシュウィッタースは単独で,〈メルツ〉とみずから名づけた,がらくたで構成したアッサンブラージュ,オブジェ,音響詩,タポグラフィーの実験をつづけた。パリでは〈黒いユーモア〉の体現者バシェや奇行好きの拳闘家A.クラバンらに刺激され,19年3月反文学的雑誌《文学》を創刊したブルトン,アラゴン,エリュアール,スーポーらが,チューリヒから来たツァラやピカビアを加えてさまざまのダダ的集会や実験を展開した。…

※「シュウィッタース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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